移住
草野春心



  土嚢でも背負っているのだろうか
  きょうの町は、肩の辺りが硬く強張っている
  木陰のところで音楽は重なりあって死んでいる
  物欲しげな野犬は吸い殻に鼻を近づけやがて立ち去った
  雨だけではない 風も陽の光も あなたの笑い声も
  気配だけを残して別の町へ移住してしまったかのようなのだ




自由詩 移住 Copyright 草野春心 2014-08-24 09:50:38
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