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その日は
お花見の桜より うんこの話のほうが
うつくしかった
お隣さんが用意してくださった花見弁当を囲んで
いっしょに 盲の方と お花見をした
お洒落な桜色のスカー ....
ものもらいの点線、根性焼きの冷たさ、長い水飛沫、
乾いた。鉛筆の色を思い出した。いくつもの冥々はバスタブの中だった。
地面は薄い膜に覆われていた。背理覚えたてのプリーツのマシンガンの掘削で ....
雨を洗う
プラチナの雨
光漬けになってゆくスリジエ
小さく開いた
指を結んで
単純な日々の曲線を
なぞった軌跡
映し出される度に
周りをやわらかくする
ロ ....
きみのオデコはとがっている、おやすみと言うたびに、やだやだされて、それはちょうど夏の虫だったから、掛け違えたボタンが蝉のように、ポックリ病だ、ぼくはきみを目覚まし時計と間違えていた。
縞模様 ....
産業の海は
寒色インク
どぶのグラデーション
おっと
空だよ
自然の絵描きは
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱欝
今日は 鬱
やっつけ仕事で 鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱欝
排水溝から
....
バナナをたべるやつがいる。仕事中だってのにひどく蒸し暑い。暖房をきった社内ではでたらめに剥かれた皮が、黄色い運河のようです。本流から逸れた給湯室でお茶係の女の子たちがバナナをたべている。2階か ....
わたしたちはFEEDされている。
生きるには時間が経ちすぎている、
絶望は希望よりもすこしだけ早く感染する、
いるといないの合間を貪る猫。
不自由で浴びる、
嘘を吐くときは好きではないが ....
自分の指を切り落として火を灯した夜
非可塑のたばこは声ではなかった
ささくれを噛んで飲み込んでみても
ち、ま、ちました皮が歯茎に張り付くだけでもう誰もいない夜
恒星は辛くて吸えな ....
2011/11/14 23:47
夜道、ひっそりと息吹く新芽のことを思いやる。手のしわから生え出た薄緑の突起が、寒さで枯れてしまわないよう温もってやる。ポケットに突っ込んだ手の握りは優しい。握った手 ....
飢えた。中身が蒸発して底にこびり付いた消化不良のカスが、見える。水ではちっとも、うるけない。親指の皮に見えるカスが胃に張り付いていてピロリ菌も息が、出来ない。消化不良。消化不良で飢えた。飢えは続い ....
王国はいつまでもそこにありますように
ありつづけますように
と
(そこ、
という代名詞の罪ぶかさについて考えていた)
尾を振りながら過ぎ去っていくいくつかの流体
真白の雪原がどこまでも広が ....
そう、散らかった部屋。僕の体重に沈むクッション。回転する夜の底から、聞こえてくる羽ばたきの音。反響するサイレンと、赤い光に祀られた地球儀。骨の浮きそうな、肩。世界をデッサンする指先が、背中に子午線を引 ....
小さなころの記憶が
なくてそれは
当たり前のことだのに
問い詰めた先生は血を
責めてわたしはいたたまれない
まま自動ドアに挟まれた
影
が折り重なって
肥大していく樹
を
描いた
....
夕方になると
家の中の丸いテーブルに
収穫した夕日がたくさん並べられた
トントンとまな板で
取立ての収穫を刻む音は軽快で
一日の話題は素朴だが
夕日色に包まると砂糖の香りがした
夕日 ....
三時五十分の角を抜けて、横浜の白塗りを思い出しながら、三歩進む、唾は頤から天に上る、喧騒は耳鳴りのかたちで映されまた描かれ、きみが網膜を着ていようといまいと、忌々しい素振りで、彼女は手首を切り取って ....
お母さん お母さん
あなたは半眼の仏陀のように横たわり
黄金の仏陀のように何も見てはいない
何も聞いてはいない
{ルビΜητέρ=メーテール} {ルビμητέρ=メーテ ....
一、
君はすでにその時、落としていたんだよ、君の、愛ってやつを。店員は私の顔を覗き込んで、少しいらいらして言った。私と店員はごみ箱に落とした万年筆を、閉店後に探さなければならなかった。私の愛 ....
トレモロ、
ふかい積雪のなかに、
なめらかな素足が埋もれている。
雪に焼けていく皮膚が
雪を焼くという反応。
果たされなかった握手と、
連絡の途絶えたわたしたちの氷河期。
pen ....
わたしの背に
連綿とつづく原野
そこに暮らしていた
一匹の仔兎が
今夜
死にました
、
という
あざやかな寓話を
包帯にくるんで
玄関の扉に
吊るしておきます
けれども街には
....
体の大切な部分から
どんどん小さくなる
チャーリーは今、
暖色系の床の隙間に
私には見えない
1ミクロンの狭間に
残されていた最後の
チャールズが
落ちていくのを
眺めていました。
....
雨が、雨の首長が、雨の葬列が、雲々とマンション群の順位を定めながら、一枚の焦げたパンの坂を軸にして、三枚の濡れたシャツの日付へと回転していき、神経の限りない深度を測定していた。それは傾き、音から音へ ....
自宅の風呂である。いつから浸かっているのか、まるで思い出せない。ひだ状に醜くふやけた指を見れば、どうやら相当の間ここにいたということが分かるが、それにもかかわらず、私は、一向に風呂から出ようという気 ....
夜を解体するあなたの腕が、こまやかに分たれて腐食していく、長い髪が放射状に散らばった水面に、月がぬらぬらと白く光っている、その胸に穴があいて、ぽこりぽこりと音がする、潮が満ち、その陰でひそやかに花がこ ....
見知らぬ集合住宅の最上階である。なぜか全くの無音が続いている。どれだけ高い場所にあるのだろう。建物のまわりには、さっぱり何も見えない。目が乾燥していて、視界がかすれる。左右には一つずつドアがある。ど ....
僕は詩人の仕事を知っている
それは薄汚れた靴下の匂いを残したままそのままを裏返しに吐き直し
美術館でこの絵はどうも臭いと鷲のような鼻で素人にはその説明を拒み
賞味期限に剥がれた壁紙の図柄 ....
さといもの葉の上を
するんするんと滑ります
あ、
(あ、)
水滴、すいてき、てきてきてき、
曇り空の弱いひかりに
あなたの瞳はうるんできらめく
つかみどころのない
あいのことば
....
紙の上で紙を耕している潜在する文字たち。私は潜在する文字たちが融けて流れて、視線が紙の上を歩き易くなるのを待つ。耕された紙に植えられた潜在する色面が、潜在する光とともに組織され、私は色面と光とを、潜 ....
すすきヶ原が風の形に擬態して、
空気は
しゅわしゅわと微かなあぶくを吐いている。
どこかの家から、
ほくほくと夕餉の匂い。
紫紺の空は、
星がまたたく一瞬前の緊張を孕んで、悠々 ....