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柱時計の六時の針が
伸びたり縮んだりしている
途切れ途切れに
夕暮れの鐘の音を聞く
濃い水色の闇を滴らせ
裏庭を
引きずりながら運ぶものがある
木戸を開けて尋ねると
お前が見よとい ....
お線香をひとつつまんで
おばちゃん ごめんねと
ぼくはいった
ごめんね
あら いたるちゃん よくきたね
おまえはしんでからだと
よくおいでになるね
いきているうちは 何か不都合でもあ ....
今日は土手を歩く
土手を歩いて風を数える
おまえと 僕と
懐かしい春の風を行進する
川面の丸い光を
後退する四角い針の葉の林を
居眠りする土手の潅木の列を
風はまんべんなく揺らして渡 ....
十月のある晴れた昼下がり
どこかで聞いたような一行だが
襟首をきれいに刈り上げたような小さな図書館で ぼくは
真夜中にマクドナルドに行くお話を読んでいた
フォト用紙みたいな装丁の
指紋の ....
いいじゃねえか TPP
いらっしゃい TPP
ヨダレ垂らした海ン中
かみきれないステーキにぶら下がって
あっぷあっぷもあきただろ
国の出入りが自由になりゃあ
あっちの国こっちの国からわ ....
水をお飲みなさい
と
彼女は言った
黄昏の重い扉の手前に立って
指先をしっかり伸ばして
振り返りながら
水をお飲みなさい
と 彼女は言った
この町は
たっぷりの水が流れていく町だ ....