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少女は
朝が嫌い
目を覚ますと
いつも
知らない町に
置きざりにされた
気持ちになるから
少女は
朝日が嫌い
朝日は
いつも
こんなにも
世界を歪ま ....
向日葵の前で大きく背伸びする
「月は太陽の恋人なの」
彼女はそう言ってまっさらな掌を翳した
毎日の家事仕事で荒れた肌は
赤くささくれて皮が剥けている
パパはいないから
ママはお仕事だから
あたしがおうちで働くの、と
真っ黒に ....
真昼の烈光は
漂白剤のように
景色も
僕の影も
脳も
真っ白にしていく
何もない
真昼なり
ありがとう、出会ってくれて
ありがとう、本当の私を見つけてくれて
ありがとう、"私"自身の未来をくれて
君に出会えていなければ
きっと私は死んだ魚
乾 ....
はじめて宿泊した日は
洗いざらしのシャツとジーンズで
いつ帰るか予定のないひとり旅だった
大きなリュックを背負い
フロントまでの階段を登った
＊
しばらくして
宅急便 ....
ついこの前
サロンで御一緒したのに
無表情で「こんにちは」をした
人見知りのあっちゅは
比留間さんに
「可愛いこが来てくれた」と
人差し指でおでこをツンと
されて
....
小磯良平描くところの令嬢である
タイトルは「冬の夜」
昭和29年週間朝日
新春増刊号の表紙であるが
ちなみに当時の値段で一冊70円
先日古本屋で50円だった
花森安治や長谷川町 ....
市場の朝は早い
そこには人間の胃袋を満たすという生の根源に直結した欲望の匂いと独特のエネルギーがある
狩人が獲物を担いで去ったあとに残された空間は
歯の抜けた老人の
ように
手持ちぶさたの待ち人顔な ....
アーヤは森を眺めるのが大好きでした
森の甘い匂いがアーヤの鼻を撫でています
森のうえでは雲がぐんぐん姿をかえてゆきます
とうとう青空だけをのこして雲は見えなくなりました
森のやわらか色の緑はず ....
テラスに出て月を見つめる
街明かりは月とは関係なく輝いている
夜を跳ね返そうとしているのだろう
ずっと起きているほうが楽しいだろう
きのうの夕方ぼくは誰もいない家に戻った
みんな俺が蒔いた ....
くそーっ、ムラムラしても何もできないなんて。
昼間、あんたの嫁さん、保険屋呼んで話してたぞ。
あ〜あ、ＴＶ見て笑ってるよ。間抜けだねえ、このオヤジ。
濁音がいけないと思うんだ。
試しにコキフリって呼んでみて。
コキフリって。
母さん、元気ですか？
僕は東京で元気にやっています。
今年の抱負っ？
んなもん、あるわきゃねえだろ！
放置プレイかっ！
オイオイ、このまま年越しかよ！
大掃除はやんねえの？
ゼッテーオナラすんなよ。
顔面直撃だかんな。
そんなことを思考してまた絵を見つめた
思考は霧散して
けなげなほどの静謐が
開放されていた
ぼくは考えて見つめて考えて生きていた
カボチャの絵を買った
白地のカボチャに
きらきら光る青 ....
ちょっと、背中掻いてくんない？
その、ハネの付け根あたり
いまは澱んだ青だけど
あの日も澱んだ青でした
三度書かれた僕の名前
書けばいいってもんじゃない
それを認めてしまったら
僕はバラバラになっただろう
母の手紙を破るしか
僕は僕を繋ぎとめる ....
