(第1話)アーヤと森とふしぎなひかり
吉岡ペペロ



アーヤは森を眺めるのが大好きでした

森の甘い匂いがアーヤの鼻を撫でています

森のうえでは雲がぐんぐん姿をかえてゆきます

とうとう青空だけをのこして雲は見えなくなりました

森のやわらか色の緑はずっと揺れたままでした

緑は風に揺られるだけで雲のようにはなくなりません

優しく波うつだけでどこにもゆかないのです

アーヤはしたからお母さんの声を聞きました

むこうの森のヤンおばさんが風邪をひいているらしいから、このパンとジャムとバターを届けてきてちょうだい、

アーヤはヤンおばさんと大の仲良しでした

アーヤの笑顔といっしょにね、

お母さんはそう言ってアーヤにお使いの支度をさせました

この森を抜けたらまあるい芝生があるから、そこに着いたら太陽を見るんだよ、じいっと見るんだよ、ちょうど太陽が動いている方に道があるから、その道をすすんでもうひとつの森を抜けたら、

うん、分かってるよ、いってきまあす、

アーヤはそう言っててくてくと目の前の森のなかに入ってゆきました

(つづく)


携帯写真+詩 (第1話)アーヤと森とふしぎなひかり Copyright 吉岡ペペロ 2012-06-06 04:42:01
notebook Home 戻る