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鳥のそばに鳥が降りて

と つぶやく


すると色は
色をやめるのだ
指さえ かなぐり捨ててまで


目は とうの昔に
泡のものだから
灰を踏みしめ 灰を廻る ....
蜘蛛の糸の生きものが
紙の壁をのぼりゆく
少しずつ少しずつほどけながら
夜の明るさへと近づいてゆく


歪んだ空の台形が
高みの曇に照らされている
斜面が斜面を
金属 ....
水底の傷
陽を見つめつづける
水底の傷


霧の奥の棘
言葉を抄えない
霧の奥の棘


空き地をわたる風が
目を潤ませる
昨日の雨
昨日の文字


 ....
見えないほど小さなひとつのかけらが
ずっとどこかで匂いつづける
次々に場所を変えながら
部屋の一部だけが揺れつづける


誰のものかわからぬ指跡が
火のようにあちこちを焦 ....
泣いた夜の
径に現われる白い珠
先をゆく 先をゆく
色のない足跡


片方の動きから生まれくる
羽のかたまりのいのちたち
夜の熱をつかまえたまま
夜の辺を昇りゆく
 ....
鳩を鴉に差し出して
また一日を生き延びた
誰も居ない橋の下に
ただ雨だけがやって来た


苦労知らずの三十路の子供が
にこやかに自身のことばかり言いつづける
聞いている ....
大きく重くやわらかい
三角形のパンの塔を
月あかりの径に倒してゆく
眠りに至らぬ眠り気を
眠りはひとつ抱き寄せる



(ひとつ 嘘をついていますね)
はい パンの塔 ....
壁の隅の夜を
蜘蛛のかたちの水が昇る
ひとりの蜘蛛が
従者のように着いてゆく


緑の坂が八月を擦る
指は棘 長い長い棘
水の抵抗に反り返り
鍵盤の主に突き刺さる

 ....
雨の光が近づいている
屋根を何かが通りすぎる
動かない空気のなか
かけらが降り
消えてゆく


灰が灰を縫っている
ひとつのなかのふたつの目
花の生まれる瞬を見て ....
紙の鏡が風のなかにあり
風ばかり映して黙っている
光の重さに
歪みまたたく


覆うことなく
重なることなく
ただ端は端に
先は先に触れ火を放つ


地に降 ....
空が
ひとつの滴に落ちてきて
片目の上から動かないまま
やがて 消え去った



何か
わかってもらいたくないことが
あるようだった









 ....
花を照らす灯が消えて
風がひとしきり吹いたあと
花は土を
濡らすように照らし出す


幾何学の家
同心円の小さな灯り
地の風が雷雲を追い
やがて窓は静かになり
 ....
物悲しいかたまりが
からだの奥をふくらませている




水がどこまでも
水であるのは悲しい

言葉の色が
明るく消えてゆくのは悲しい

むらさきだけが
 ....
歪んだ音符のかたちの窓に
陽も浪も午後も打ち寄せる
果物の恐竜が
燃え上がる


坂を下りる人
灰色の人
宴には決して
近づかない人


楽器を出入りしていたけ ....
エメラルド エメラルド
弦をおさえる指
年が改まる前の
閉ざされた窓



みすぼらしい小屋を風が揺らす
小さなかたまりが
ひっきりなしに打ちつけ
ひとつしかない灯 ....
雨の名残りが漂っている
光がすべて上を見ている
半分は暗く
半分は泳ぐ


蜘蛛が青空をめくり
午後をのぞいては閉じる
空は泡に分かれゆく
見るものの目に分かれゆ ....
片方の指の半分が
いつまでもいつまでも濡れている
むらさきの
二重の光

そっと頁の上をおさえる
小さなけものの前足が
沼のような暗さを湛え
土を少しだけ歪めている

 ....
そんなに力を入れなくとも
自然につむればいいのだから
おまえはおまえの片目くらいは
ちゃんと面倒みなきゃならない
ふたたびが
ふたたびをくりかえし
起こる風が
花を揺らす


ふと 指が
虫の羽の陰をすぎる
そのあいだは
切り落とされたように感覚が無い


季節を剥がし ....
街を知らず
けだものを知らず
街という名の
けだものと交わる



汚されているのではなく
汚しているのだ
尾の根元まで
いま
こうしているあいだにも


 ....
くちびるに触れる鈴の粉
遠雷 器
雫と滴が
すれちがう径


ひとつのなかの無は増して
響きはさらに高くなる
窓の鉛 壁の銀
水の淵を照らす粉


分かれる前の ....
舟から生える樹
川岸の影
海を描く霧
器の水に
沈む糸くず


雪が雪を追い抜いて
土や花を振り返る
土にも花にも
雪は見えない


酒に勝つ甘味が見つからず ....
蝶の影
枝のかたまり
倒れた船から
ひろがる色


午後の空
ひとつの鈴
森が鳴り
去る光


色のない径
曇と交差する
草笛 石笛
穂に似た雪


 ....
湖面の霧が
家を描いては壊している
幾度描いても
家のなかに人は居ない


鉄の羽と雪の羽
ついてくる影
角を曲がる影
曇を持ち上げるひとつの腕


光に消えては現 ....
霧を燃して
橋を渡る
斜めの羽の
風はらう午後


遠く枯れた森を乗せ
空と地の歪みは波打っている
二本の指でひらいた手帳に
交互につづく文字と焦げ跡

 ....
鉛筆で描かれた髪の毛を消す
ここにも あそこにも
描かれている



一本書き足せば笑みになり
二本書き足せば花になるが
気がつくといつも指には
水銀と涙が握られ ....
蒼がふるえ 灰になり
灰がふるえ 手のひらになり
折れた蝋燭の火を護っている


時を迂回しようとして出来ぬ径
水に照らされる灯のない径
暗がりをすぎる異なる影
黒が黒 ....
鉄の響き
小さな双つ
朝の川岸 曇と廃城
丘に散らばる 無数の楽器


鏡を持ち
水のそばに立つかたち
姿も鏡も
映らぬかたち


陽は中州に落ち
樹々を ....
空気のかけらが
蜘蛛と遊ぶ
羽根のむこうの星
巨きな双つの白い影
空から地を見つめつづける


花がひたいに触れ
夜と話す
窓と壁は消え
ひたいだけが熱い


遠 ....
丘を下りる 隠者の音楽
川に浸かる 色の指
まばゆく細い
月の虹彩


ここに在るものは
ここに無いもの
夜は語り
夜は刻む


登るたびに
ちらつく光
さ ....
ただのみきやさんの木立 悟さんおすすめリスト(206)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ノート(午後のかたち)- 木立 悟自由詩914-9-11
うつわ_しずく- 木立 悟自由詩514-9-10
午後と手のひら- 木立 悟自由詩6+14-9-5
夜のしるし- 木立 悟自由詩714-9-1
水へ_水へ- 木立 悟自由詩414-8-29
ノート(金網)- 木立 悟自由詩514-8-22
ノート(嘘と絵本)- 木立 悟自由詩614-8-13
降り来る言葉_LXVII- 木立 悟自由詩614-8-11
ひとつ_辿夜- 木立 悟自由詩514-8-1
ひとつ_湛える_Ⅱ- 木立 悟自由詩514-7-17
ノート(空が)- 木立 悟自由詩614-7-13
ひとつ_降夜- 木立 悟自由詩614-7-9
ノート(物悲しいかたまりが)- 木立 悟自由詩714-7-4
水辺_さまよい- 木立 悟自由詩314-6-25
ノート(ephemeral)- 木立 悟自由詩214-6-22
ひとつ_金緑- 木立 悟自由詩314-6-18
ひとつ_ひもとく- 木立 悟自由詩514-6-11
ノート(51Y,5・20)- 木立 悟自由詩214-5-21
ひとつ_かたわら_Ⅲ- 木立 悟自由詩314-5-17
ノート(51Y.5・14)- 木立 悟自由詩214-5-17
ひとつ_滲夜- 木立 悟自由詩414-5-1
ひとつ_冬辺- 木立 悟自由詩414-4-23
冬とまどろみ- 木立 悟自由詩414-3-29
冬と蒼紋- 木立 悟自由詩514-2-6
凍徨軌- 木立 悟自由詩414-1-26
ノート(呪い)- 木立 悟自由詩214-1-17
夜と冬- 木立 悟自由詩414-1-3
はざま_うつわ- 木立 悟自由詩313-12-30
ひとつ_ひとり- 木立 悟自由詩213-12-26
ひとつ_まばたき- 木立 悟自由詩413-12-15

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