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するどい刃は
闇のなかでじくじくふくらむ
夕暮れ時、しろい壁には
おおきすぎる影がひろがる
電話越しに言葉をぶつけながら
床にはみにくい落書きをし ....
夏の花びらはたやすく落ちて
コンクリートで分厚い影と
ひとつにかさなった
きみは塀にからだをもたせた
なんだかひどく疲れたみたい
ぼくは膝から胸に ....
透明な鍵盤に置くかのように
あなたの指が宙にとどまる
噎せ返るほどに暑い八月
そんな形で朝は始まる
夢のなかでそれは確かに
風靡く草原を鳴り渡って ....
煙突
その柵のむこうに
無数にうごめく夏の虫たち
とうめいなシャツをぬいで
ひとりきみは走りだした
煙突
イメージそれははかない
イメ ....
マフィンはいらないよ
くたびれた風のように
もうここを出ていくから
皺のとれぬシャツのために
ハーモニカを吹いてくれよ
冷めたコーヒーをすするよう ....
天窓からの陽射しでカレンダーは
上のほうだけが日焼けしてしまった
うんとこしょ、どっこいしょ
ヤマメが冷たい川の流れを
いそいそと掻きわけてゆく
うんとこしょ ....
いたみ。
それがひとつ、
水たまりにうかんでる。
とろとろの月といっしょに
サンダルをひっかけて
コーヒーを買いにでたり、
すこしだけひらい ....
汽車にのって
なまぬるい水筒にぼくは口をつけた
鞄からとりだしたおむすびは少し
いびつな形にへこんでしまった
ほおばりながら見まわしてみるけれど、
このなかに ....
しろい壁に
夏がからみついている
目に見えないほど小さな
花々が咲き乱れ
呼びかけたはずの声はどこか、
遠いところから戻ってこない
あざやか ....
草の皿に
いっぴきのいなごがとまっている
ぼくはいつも色んなことを
すぐに駄目にしてしまう
砂団子のように丸く脆く
君への思いを胸のなかに固めて
....
がれきを噛む
直角の月光がきみの
糸切り歯を白く燃やしている
かなしみを心にとめ
そして死ぬように忘れ、
忘れるように死んでいく
もろく、
....
朝、
調律をはじめると
雀がどこかへ飛んでいった
かなしみのあまりこぼした涙が
きみの胸のうえでかわくみたいに
冬の蛇のように
ゆるやかなとぐろを巻き
光たちはもう、
眠りに落ちてしまったから
わたしは雨の音だけが
心を満たしていてほしい
歌をうたうくちびるのよう ....
道ぞいの用水路に
浮かぶ月影のうえ、
きみの冷えた笑いがはじける
おざなりな微熱もいま
ぼくの胸から消えてうせる
おわかれだね
おわかれだ
まるで ....
砂漠
あなたの両の胸から
月あかりの残り香
ねえ、
アスファルトに臥した
さびしがりの虎もわらうよ
口のはじにちいさな
白い兎をくわえ ....
僕のなまえがとけてゆく
きみの
鎖骨にたまる、
やさしげな影の湖で
カタツムリの殻のような
気だるい模様を描いて
きみのなまえもとけてゆく
....
ひかえめな大きさの
山の中腹に建つ小屋で
ハリネズミと時を共にする
ところどころに開いた隙間から
緑色に澄んだ風がしのびこんでくる
ひどく惨めな小屋
私 ....
かなしみに塩をふる
ほんのひとつまみ
朝の光を浴びるとき
雨に濡れたいくつもの言葉が
「うれしい」という言葉に変わる
あなたのえくぼが深くなるとき ....
赤い女が
椅子に座っている
詩のような塵と
塵のような詩が
電子のように周囲をまわる
アーモンド
バームクーヘン
傷ひとつない夕暮れ
....
よれよれの野球帽をかぶった
一人の男が歩道に立って
車の往来を眺めている
肌寒い初春の朝に
ジャンパーのポケットに突っ込んだ
両の手をもぞもぞさせ ....
井の頭の夜に
ラブホテルがひかっている
いのちのかなでるはかないワルツ
塵が山になり
山はまた塵になる
井の頭の夜
黄色くかがやくラブホテル
木の ....
縁側に置かれた
座布団にひなたと
猫のにおいが残っている
どこかで水が流れているのに
影も形も消えてしまったみたいだ
風に運ばれ
気まぐれな ....
筏を組み上げて
稲穂の海へと浮かべる
あなたの両眼にはいつも
息をのむほど静かな炎が灯っている
風が吹いて黄金の波が揺れる
考えていたことを忘れてしまう
....
きみの親指と
ひとさし指の間を
一羽の兎が往復している
冬の夜がするどい針金を張る
白い煙がきみから蕩け
それからあわ立ち、
草原を{ルビ艶 ....
数匹の
空を走る鼠たち
太陽を追いかけて
アンテナ
風と風が起こすかすかな摩擦熱
あなたの悲哀はゲーセンのメダルと同じ形
あなたの歓喜は書物 ....
魚を燃していたのだと
きみが言う
誰にともなく
酸化をはじめたばかりの
鉄の表面に似て
せつないくるしい
いとしいさびしい
かなしいや ....
春の光が曇天を縫い
硬い空気を細く通り抜けてくる
すべては卓上に出揃った
いくつかの瞳、
いくつかの臓器
毟り取られた数枚の花弁
床に落ち埃 ....
雨が降り木々の葉は濡れた
川沿いに張られたガードレールの錆び
秘密を抱えるように口を噤む家並み
けれども日記帳にしみこんだ太陽の匂いを
夜がきてもこの胸に憶えている ....
毒は出ていった
二階の部屋の窓から
小さくてかたい何かが
机にしまわれる音をのこして
ゆうべの雨がつくった
川になりきれぬ、ささやかな
水の ....
時計の針が午後にすすむ
ぬかるみに片方の足をつっこむ
目に見えぬ羽虫をよけるような、
ぞんざいなしぐさでカーテンを閉めた
部屋の卓上に置かれていた
....
ただのみきやさんの草野春心さんおすすめリスト
(272)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
嫉妬
-
草野春心
自由詩
4
13-8-31
花のかげ
-
草野春心
自由詩
2
13-8-31
天籟
-
草野春心
自由詩
7+*
13-8-4
煙突
-
草野春心
自由詩
5
13-7-20
マフィン
-
草野春心
自由詩
8
13-7-13
ヤマメが冷たい川の流れを
-
草野春心
自由詩
7*
13-7-7
とろとろ
-
草野春心
自由詩
8
13-7-6
汽車にのって
-
草野春心
自由詩
9
13-7-5
赤いビードロ
-
草野春心
自由詩
4
13-7-5
いなご
-
草野春心
自由詩
5
13-6-29
がれきを噛む
-
草野春心
自由詩
6
13-6-29
調律
-
草野春心
自由詩
4
13-6-1
雨の日の花
-
草野春心
自由詩
8
13-5-29
月影
-
草野春心
自由詩
3
13-5-26
砂漠と虎と兎
-
草野春心
自由詩
5
13-4-27
きみと出会った日
-
草野春心
自由詩
6
13-4-20
ハリネズミ
-
草野春心
自由詩
3
13-4-17
塩
-
草野春心
自由詩
6
13-4-10
赤い女
-
草野春心
自由詩
3
13-4-7
影のような男
-
草野春心
自由詩
3
13-4-7
ラブホテル
-
草野春心
自由詩
4
13-4-4
座布団
-
草野春心
自由詩
11
13-3-28
筏
-
草野春心
自由詩
5
13-3-25
指と兎
-
草野春心
自由詩
5
13-3-24
アンテナ
-
草野春心
自由詩
4
13-3-21
魚を燃す
-
草野春心
自由詩
7
13-3-20
祭壇
-
草野春心
自由詩
6*
13-3-20
潮
-
草野春心
自由詩
9*
13-3-19
毒
-
草野春心
自由詩
5
13-3-9
鏡
-
草野春心
自由詩
6
13-3-3
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
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