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 いま・・・
卒寿となった おひとりさまは
      腕組みをしながら
 そっと 胸のうちでたばねる

   早苗月の裏庭にひろがる
    新緑のそよぎでもって
     半生でもて ....
冷笑しないでください

卒寿(おいぼれ)ともなると
ゆめとのぞみは萌えにくいのです
青い年
とちがって・・・・

謳歌はうまく唄えないのです
赤い「根明」(ねあか)の齢(よわい)
と ....
   庭木がかもしだす
     日陰と日向が
   その鮮明度を増し
   遥かに漂っている
      卯月の雲も
田の草月に移行するとき
  いままで眠っていた 
     老残の ....
 浅いひびわれができた
ベランダの三和土でみる
       一匹の蟻
   単なる散策なのか
       それとも
  餌を探すためなのか
  まるで卒寿となった
    おひとりさ ....
  年季にとうがたって
    玄関のタイルは
    ひびの隙間から
虚しい「時間」の中心に
 深く積もってしまった
     ペンペン草の
    顔をのぞかせる
        そ ....
連日
本曇りの弥生が続いている
気温はおとなしくなったのだが
体温は気ままにとはゆかない
卒寿の身では
冬装束で身構え続けている

遠くで鴉がうなっている
   森の息使いは まだ
 ....
    
    伊勢湾の一辺をになっている
(比較的 温和な風と光にめぐまれた)
            知多半島は
           丘の稜線から 
いま 伊勢湾の貨物船を望遠してい ....
卒寿の冬に耐えて

陽はまた のぼる
    陽はまた のぼる

されど わが身は
    されど わが身は

縮みゆく ばかり
    黒い時のま(間)に

 ....
   旧市街を突き抜けてみられる
       地平の群(むら)には
改築・新築の家並みが点在しはじめ
       地平の線(果て)には
   青い空の白い雲が・・・・・

       ....
         なぜだろう 
 臨死はひとけたになったのに
卒寿のおひとりさまにむかって
  遠くから鴉が揶揄している
  近くで番犬が威嚇してくる
   
       そして 反対に ....
    現役であったころは
      不眠にこだわり
  とらわれ続けていたのに

  卒寿ともなってしまうと
    むしろ 過ぎ散った
    影法師を まさぐり
     続けて ....
  平均余命が 一桁となって
諦観の半旗が たれさがるなか
      いまさら なにに
     こだわり とらわれ
     とまどっているのか

   過ぎ散ったかげぼうしは
 は ....
       つつじが丘のひだに
       住みついて 三十年
       いま 卒寿となって
        しんみりとおもう

    九十の齢(よわい)の歩みが
   (おかげ ....
    きさらぎは昼さがり
     北風の挑発もなく
    ふゆびのさざなみは
ベランダのひさしをすどおり
 やわらかなひかりとなって
 おだやかに三和土のうえで
  尾っぽを引きずっ ....
散策の道すがら
  杖をつついて 卒寿が呟く

近頃になって
  つつじが丘の街はずれは 
新興住宅の建設ラッシュで
  昔の歩道のつつじの群が
めっきり粗野になっちまったと  

 ....
連日の 真冬日にも
   番狂わせがある
      「小春日和」という

きっと
「宇宙」自身も
 時として 一服したいのだろう

こどもたちが
   確かな 日向を選んで
   ....
     原っぱが 広場となり
         しばらくして 
 四号公園と 立ち札がたてられ
 こどもの遊具が 設けられると

       どこからともなく
   子雀たちが見学に訪 ....
午前中まで鬱病だった空が
     芥子色の北風に
  引導をわたされたのか
     裏庭のこずえを
        誘拐して
     近くで 戸惑う
     人影をひきつれ
   ....
      毎日 毎日 ただ毎日
  卒寿の大脳は 撫ぜられている

           白い群像の
ポジティブだった 蒼いひかり と

           黒い塑像の
ネガティブだ ....
     広場の木立ちが さけんでいる
       黒い北風の渦まくなかには
           行くなゆくな と
             両手を振って
          だが・・・・ ....
    冷笑されるでしょう が
      卒寿となった いま
  すがりつくしか ありません
        過ぎてしまった
脆い群像の 淡い言動のかげ に

     卑下されるでしょ ....
 「未来」「永劫」の概念をわすれて
    四季の移ろいだけにこだわる
           余命わずかの
    卒寿となったおひとりさまは
    つつじが丘のひだにたたずみ
      ....
 卒寿の軽薄となってしまった想いは
       足踏みを繰り返しては
      うしろばかりをふりむき
まったく前を憑こうともしなくなった

     かくして あぁ・・・・・

  ....
   芥子色の北風をついて
       冬至の太陽が
    レースのカーテンに
   無味乾燥の原版として
      いろつや褪せた
  庭木のかげをはりつける
       卒寿と ....
 いまごろになって
         やっと
 起床直後の呪文が 
         癖となった
 仏壇にたてかけた
         亡妻の遺影に
 「おはよう」と
        口 ....
         昨夜の夕食は
      なにを食べたったか 
             なぁ
       あぁ そうだった
    カレーライスだった か
            いぃ ....
東海は 渥美半島の 砂山から
    真昼の渚に 乱舞する
  海鳥たちを ながめるとき
     太平洋を覆いつくす
    「悠久」のふた文字が
       こころにしみて 
    ....
    遠くで鴉が騒いでいる
近くでキジバトがうなっている
    そして 里山の林には
    小雀たちが戯れている
  深閑を讃美するかのように

 カラオケのさざなみをたてて
   ....
     東海は 知多半島の 里山に
      野の鳥かげがうすれるなか 
     昼夜の区別もとぼしくなって
   背の伸びきった「時」はただよい
 間の伸びきった「空」が拡がっている
 ....
手入れが欠けた裏庭には
跋扈したぺんぺん草が 王者となって
むなしいかげを ふるわせている

神楽月というのに
優雅な舞楽は 聴き取れず
沈滞した深閑だけが 満ちみちて

丘のひだにも ....
ただのみきやさんの信天翁さんおすすめリスト(154)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
望郷③- 信天翁自由詩216-5-16
望郷(二)- 信天翁自由詩716-5-8
望郷(一)- 信天翁自由詩516-5-8
早春賦- 信天翁自由詩516-4-24
年季に- 信天翁自由詩216-4-2
老細胞の呟き(十)- 信天翁自由詩316-3-8
色鉛筆_九- 信天翁自由詩316-3-1
色鉛筆_八- 信天翁自由詩216-2-27
色鉛筆_⑤- 信天翁自由詩216-2-18
色鉛筆_四- 信天翁自由詩416-2-17
色鉛筆_③- 信天翁自由詩316-2-15
老細胞の呟き_四- 信天翁自由詩316-2-12
老細胞の呟き③- 信天翁自由詩416-2-11
色鉛筆①- 信天翁自由詩416-2-9
老細胞の呟き①- 信天翁自由詩416-2-6
老細胞の呟き- 信天翁自由詩2+16-1-31
風と光の変奏(9)- 信天翁自由詩316-1-25
芥子色の北風_十- 信天翁自由詩416-1-18
芥子色の北風_九- 信天翁自由詩316-1-16
芥子色の北風(八)- 信天翁自由詩716-1-9
風の舌__(十)- 信天翁自由詩516-1-7
芥子色の北風_七- 信天翁自由詩415-12-30
風の舌_九- 信天翁自由詩215-12-27
風の舌_八- 信天翁自由詩415-12-25
風と光の変奏_⑤- 信天翁自由詩415-12-24
風と光の変奏(四)- 信天翁自由詩515-12-21
光のまつげ_(七)- 信天翁自由詩815-12-10
風の舌(七)- 信天翁自由詩215-12-7
芥子色の北風⑥- 信天翁自由詩515-12-5
風の舌(六)- 信天翁自由詩515-12-2

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