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  「紛いもの」

 凪の夜

 寒空が黒いインク
 
 こぼした水面、すべりゆく

 遊覧船は

 まるで冥界の古城



  「中古マンション」

 三階で 物干し ....
 酒房に足をふみ入れたとたん
 行方の知れなかった心が
 戻って来た

  日頃 胸の底に巣喰う黒いものが
  熱っぽく溶けて肉にしみ入ってくる

  私に降る 師走の雨

   ....
 週末の京都駅
 待ち合わせたプラットフォーム
 喧騒の波間みつけた
 あなた

 月に一度も逢えない
 あなたの指が触れる洗い髪
 ムースで整えて
 玄関飛び出して来た
 夏の ....
 ほの暗い空に尖ってゆれ動く
 銀杏の枝先 路端の枯葉
 手袋はめる指先
 冷たさ滲み

 駅前
 ためらうことなく夜を受け入れた街

 バスターミナル 
 無人のベンチ
 男物の ....
 三分咲の桜が好き
 と云う私に
 葉桜が一番好き
 と 笑った彼女

 「なんで?」
 ほのぼの香る色にも
 一閃の青をみる
 硬質感ただよう清らかさ

 結婚前の彼女は答える
 ....
 小さな寺の鐘の音が
 震うともなく 
 ゆれて

 声を出せば
 全て偽りになるに違いない
 はかなさが
 西山の山脈に暮れていくのを見ながら
 一人歩いていると

 酒場の騒音 ....
 
 男と女は
 なるようにしかならない
 そんな事 知ったのは社会人になってから

 季節など覚えちゃいない曖昧な記憶
 空に陽の傾きかけた 
 あの日
 百貨店の正面出口前の交差点 ....
 霜月の
 薄らさむいキッチンで
 蒸気放つ きみと
 僕は今、
 目をはっきり開けたまま
 夜の開ける瞬間をはかっている

 そして
 沸点こえる
 きみの 紅い血は
  ....
 イノチガ フト
 オモタクテ
 窓ヲ アケルト

 ヒトツ フタツ ミッツ
 カゾエテミタラ
 ココロガ カルクナッタ

 アカイノ 
 ホントニ アカイノ
 イマニ コガラシガ ....
 
 薄い霧の 
 晴れない朝
 軽い ハイヒールを器用にさばいて
 女は舗道をいく 

 昨夜 花開いたに違いない女の性が
 そのすんなりした 脚を
 わずかに恥じらわせ
 プラタ ....
 或る 雨の朝

 しぶきに打たれる鋪道の

 流れる水の勢いを 感じながら

 あなたを久しぶりに思った


  夏の始めの山は緑だから

  美しいし

  君は 緑の年 ....
 
 コーヒーは言うのです

 女は専門店の浅煎り豆を使ってドリップした
 ブラックを好み 今朝も
 辛子色のアメリカンダイナー風マグカップに
 注がれる一杯

 キッチンで女のまわり ....
 手をかざし見通す むこうに段々畑
 咲き揃っていた向日葵はもう
 どれも 天を仰がず

 吹き来る風に 
 あぜ道の 緑濃い草影
 ころがる日差し

 ああ、好い天気なのに

  ....
 のうぜんかずら の咲く港
 軍艦の沈んでいる波止場に
 電線の鳴る夜
 暗い地下の酒場で音が はね飛んだ

 けばけばしいライトさえ
 薄暗い いやらしささえ
 初めて訪れたの ....
 特別に悲しいという訳でもない日
 行きつけのショッピングビルの喫茶店で
 夜のムードなソフトジャズが
 無機質に聞こえる 寂しさ

 スプーンで掬って 舐める
 ウインナーコーヒーの ....
 会社の敷地内に植わる樹々の緑
 仰ぎ見る 折り重なったイチョウの葉っぱから
 顔のぞかせている黄色味がかった実

 「今年、実が大きいですよ!」
 詰所の更衣室で先輩へ報告する朝
 「そ ....
 
 にぎわう大通りのバス停
 心無しか暮方の鼓動
 増したような

 とり巻く人影に
 女の脚がふとためらう
 (昨夜、踵にオリーブ油をぬらなかったけど……。)

 コンサートホー ....
 平成二十七年三月エディオンアリーナ大阪
 椅子席S八千八百円のシートに
 午前十時前から座っていた

 切落とし牛肉と玉子焼き、コールスローサラダで作った
 焼き肉弁当を黙々と食べなが ....
 お風呂あがり 
 冷蔵庫から取り出すモノは
 麦茶と 化粧水
 冷たさが掌に残って心地よい

 いつもなら
 美容液とアイクリームをすっ飛ばして
 乳液だけなのに 今夜は
 スキンケ ....
 一雨ごと秋が
 次第に充ちて来る
 野道行く行く
 さらけ出す
 心一つは鋭きものと今更に知る

 (西山は しぐれするらし一陣の風渡りたり
  道端、草葉にやすむ糸蜻蛉)
 ....
 讃えられるべきものが青春であるならば

 それは軌道をめぐって来る
 氷と塵の微小天体の様なものかもしれない

 海が のどかに凪いでしまわない内に
 美しい夢も
 ほっぺたゆ ....
 
 光陰を慕い
 陰光を慕う

 緑の吐息 その悲しみ
 深い山ひだを隠し
 川の流れをむすぶ

 だが その中に
 何を結び得よう?

 あなたの声は
 電話線のむこうに確 ....
 アオギリの葉を鳴らして
 秋がゆく
 時雨ている空にさえ
 時折 輝いている空しい灰色の雲

 風、強かったショーウインドウの前に
 私を待っていた人
 月並みな愛の言葉
 優しげに ....
 日陰にもならない
 落陽高木の側、
 石のベンチに腰掛けて居ると

 その 百日紅のピンクは
 枝先に密生して咲き
 暑さに負けることなく僅かの風も 
 逃さない

 少し離れた所 ....
 
 ふくふくとした その胸に
 暖かな平和が宿っているのだ

 一九四九年に制作されたリトグラフ
 パブロ・ピカソの『鳩』
 その はとは
 羽ばたこうともせず
 目を優しく閉じ ....
  野の花の 優しさが
   あなた

 一ふりかえり見る
 広漠とした 高原の葉ずれの音に
 それは
 しみこみ 又はねかえり
 幻影の様だった 稚い愛

 北方に 連なる山はだが ....
 
 昼間は 陽射しにためらって
 雑木林の奥に潜んでいる
 秋が
 しのび足で 
 次第に満ちて来る夜

 軒ばの低い 村の細道
 懐中電灯をてらして歩くと
 いやに星がきれい
 ....
 澄んだ山の彼方に
 何がある と
 希望して良かったのは
 遠い年代だけの事だったのか

 暗い中をぬけていくと
 ふいに光の中に出て
 あたりは竹、の林
 散りしいた藁に埋もれて
 ....
 ふしあわせ というものが
 とくに こころ美しく
 あたまのするどい ひとに
 みいる のでしょうか

 はんぶん いろづいた林檎の
 つめたい甘酸っぱさを
 あなたは こころ ....
 水死人の捜索船が
 大声でどなり合い
 そして 声の沈まり
 ぞよめく


 夏も終わって
 浜辺も空虚で
 そのさざめきが
 かえって救いの様だ

 この付近の人々には
  ....
そらの珊瑚さんのリリーさんおすすめリスト(250)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
五行歌_二首- リリー自由詩4+*23-12-16
デーモン- リリー自由詩4*23-12-15
蒼月- リリー自由詩2*23-12-14
唇に歌を[まち角28]- リリー自由詩4*23-12-9
さくら- リリー自由詩6*23-11-26
野分- リリー自由詩3*23-11-24
信号機- リリー自由詩1+*23-11-18
Kettle- リリー自由詩3*23-11-17
熟柿- リリー自由詩8*23-11-7
ハイヒール- リリー自由詩4*23-10-15
雨の朝- リリー自由詩8*23-10-14
Weak__Coffee_- リリー自由詩3*23-10-11
遠雷- リリー自由詩2*23-10-10
北の波止場- リリー自由詩3*23-10-9
水曜日- リリー自由詩12*23-10-3
長月の頃- リリー自由詩3*23-9-29
女の脚- リリー自由詩3*23-9-23
花道- リリー自由詩4*23-9-19
戯言- リリー自由詩4*23-9-18
あき- リリー自由詩9*23-9-16
箒星- リリー自由詩5+*23-9-12
電話線- リリー自由詩2*23-9-10
青桐- リリー自由詩5*23-9-3
At__The__Zoo_②〜「晩夏のキリン」- リリー自由詩4*23-8-27
はと- リリー自由詩2*23-8-25
星のない夜- リリー自由詩7*23-8-24
虫の音- リリー自由詩4+*23-8-23
黄色い花- リリー自由詩3*23-8-20
みずうみ- リリー自由詩15*23-8-18
小景- リリー自由詩4*23-8-18

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