夫が言った。
  「今年のバレンタインは、なしでよろしく。
   おかえしが面倒だから」
   とてもとても、落ち込んだ。

   色恋とは無縁に生きてきた。
   友チョコが流 ....
ちいさな孤独に

ぼくのこえ、届いていますか

木琴ほどのため息に

ぼくのおおげさ、届いていますか

喜怒哀楽のない宇宙に

きみが見えなくなる魔法、ありますか


ふゆの ....
雪の中を
雪ウサギは
穴から
飛び出し
走り回っている

鼻を
ぴくぴくさせながら
立ち止まっている
季節のにおいを
感じ取っているのかな

夜は
穴の中で
寄り添うように ....
 
 
 
  突然
 
 
  愛する人と別れ
 
 
  明日が見えなくなったら
 
 
 
 
  空港へ走れ
 
 
 
 
  ホームの駅員に会え
  ....
うそか
ほんとか
ネズミは「根住み」なんだそうですよ

根の国
地中深く
その鳴く声もチュウ、チュウと
黄泉の国の住人

うそかほんとうか
どちらといえるようなことではないけど
 ....
 
 
みかんをむいて父に食べさせると
ぼくはみかんではないのに
お礼を言われた

咳をするしぐさが
父とぼくは良く似ていた
植物に無関心なところも
石鹸で洗う指先の先端の形も
他 ....
暗闇を優雅に泳ぐ蛍見て星のない夜星になりきる

新聞に書かれた記事は似たような事件ばかりが並ぶ昨今

言の葉の一つ一つは輝いて君のハートの電球になる

よく晴れた何もない日に思い出す何もな ....
空に上がる
花火は
とても
きれいだ

まるで
ひとつの
絵のように
見える

またひとつ
空に上がった

空に
あがる
花火の火

「ドーン ドーン バーン バーン ....
秋が深まる季節
落ち葉の季節
秋が
深まってくる

ひらり
ひらりと
木から
落ちる

なんだか
とても
きれいに見える

落ち葉は
またひとつ
落ちていく

いろ ....
君の命を思うとき
自分の命を考える

この生きざまを
君がすべて見ているのなら

私は決して褒められた生き方なんて
できない人間で
これからもうまい生き方ができそうにありませんが

 ....
 
 
立ち食いそば屋で
夕飯を食った

客のほとんどは
お酒を飲んでいて
立てなくなると
ざるそばを食って
次々と去っていった

素数について
話している客がいた

立て ....
八重川にかかるその橋に

Sherryを聞きながら運転席

雲が朝には似合わない

暗さを作ってしまうから

『空は心の鏡だね』と

心の中で呟いた


長すぎる赤の信号を
 ....
あかちゃんとぬいぐるみが
丸い背中を並べて テレビを観ている写真
あなたのページに
詩と共に貼られている
今だってあざやかに

「どうしてだい?
 どうして、あなたが。」

そんなふ ....
 
 
ぼくらは
うすっぺらな
辞書を一冊もっていて
辞書に書かれていないことは
あってはならないと
願ってしまうものだけれど
たとえばバスに乗るときなど
その行き先が
本当に帰る ....
「ほんとの自分は」っていう人が苦手です
そんなものはペルソナを知らないだけにすぎなくて
だからって知ってることはなにもそんなに偉くない

「あいしてる」って声高にいう人が苦手です
そう思 ....
「スカッとしたい!」

ただそれだけのこと


年上同僚と上司からの絶え間ない
ツートップなセクハラ発言
尻はなでくりまわされ

後輩はクレームばかり持ち帰るから
年々増えていくお ....
海の稜線が光ると僕は
それがある種類の
誘導光だと
感じる
あの光が誘導する物事は
とても難しいのだけれども
僕たちの大事な部分と結合している

そんな時間とはまた
違う別の時間に
 ....
 
 
今日は晴れたので
君と散歩に行く
君は摂氏三度
手をつなぐと
昨日よりもあたたかい

こうしてるうちにも
春が近づいている
なるべくそのことには触れないように
君の手を握 ....
ずっとあなたの
しあわせを願っていたいけど
いざ願うべきときになると
あたまの中がぐちゃぐちゃになる
本当は
わたしがしあわせにしたい
あなたを

ねぇ
ほかの人となんか
しあわせ ....
人がいなくなって初めてその人の価値を知ります
人がいなくなって初めてその人の優しさを知ります

そう思えば
今何気なく過ごしているこの時間も
かけがえのないものとなってゆくのです
光の中に硝子を置くと
影の中に虹が生まれる
それはたとえば
闇の中にも見いだした
ひとすじの希望に似ている

過ぎてきた日々を
振り返る

もうすぐ激動の時代が終わる
これから先は ....

車を走らせていると路面には
頭から脳漿を垂れ流した犬が
しんでいるのをよけつつ
あたらしい仕事を探そうかなどと
ニールヤングを聞く
ちょうどいい音楽だ
ちょうどいい音楽なのに
「h ....
びっぐばんならいんふれーしょいん
ちいさなゆらぎがありました
つまづいただれかひやあせかいて
さいしょのさいしょがはじまりました

もやもやがはれてすっきりしちゃって
むらむらがほしになり ....
 
 
風邪をひくと
風邪の気持ちがわかる
希望がないのだ
夢を見ることはできても
悪夢ばかり
風邪は子供

もう会えない人が
夢の中にいる
もう会えないとわかってるのに
また ....
いやになっちゃうわ

恋人と別れた後の帰宅途中
立ち寄ったブックストアで買い漁る
ファッション雑誌と少女漫画
恋占いの本だけ
あいだで隠すようにして

花が咲き散らばる
そんな一面な ....
          奇数行 奥主 榮
          偶数行 鵜飼千代子


草むらにもぐりこみ
 地平線がゆるむころ
息をひそめた虫たちは
 オパールの海が{ルビ有明方=ありあけが ....
あなたは 私の舟に乗り合わせた

黒髪を潮風に任せ
ペンタックスのディジタル一眼レフを 波間に向ける

あなたは 私を羨ましいと云う

潮風に身を任せ
北の海も 南の海も 旅ができ ....
古い学童保育の前で
私が気付いた影は
小さな二つだった

ちょっと気の強そうな背の高い子と
その影を踏んで歩く、少し小さめの子
見覚えのある景色に微笑みながら
私は、 ....
あかい花、血の滲みただかなしくて
    唇ぬすみ逃げる夕焼け


あかい花、きれいだねってつぶやいた
    水に落ちればいつか見た夢


あかい花、口にしたなら消えてゆく
    ....
{引用=
蓮華草が
一面に咲いていて
夢中で
蜜蜂を追いかけた
時々
朝露が膝に跳ねて
はやる気持ちに
追い付かない足が
まるで
恋のようだと
あがる息に
喉が鳴った

振 ....
みずまくらさんのおすすめリスト(196)
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