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冬の雪の下
土の中で正座していた足を
今ゆっくりとほどいていくように
私の足にも
春がおとずれている
痺れる感覚に
気を失いそうになりながら
すみずみまで血がめぐる
生 ....
わたしたちはいつか死ぬ
ということは
死にゆくわたしが見てるのは
夢なのではないか
+
わたしは空を飛ぶ
鳥だったような気がする
わたしはアスファルトに咲いて ....
父は風呂に入りながら
トランジスタラジオを聞いていた
湯船に落としてしまっても
乾かせば直ると言っていた
実際お湯に沈んでも
ラジオの音は止まなかった
僕も父の真似をして
....
立ち食いそば屋で
夕飯を食った
客のほとんどは
お酒を飲んでいて
立てなくなると
ざるそばを食って
次々と去っていった
素数について
話している客がいた
立て ....
ぼくらは
うすっぺらな
辞書を一冊もっていて
辞書に書かれていないことは
あってはならないと
願ってしまうものだけれど
たとえばバスに乗るときなど
その行き先が
本当に帰る ....
今日は晴れたので
君と散歩に行く
君は摂氏三度
手をつなぐと
昨日よりもあたたかい
こうしてるうちにも
春が近づいている
なるべくそのことには触れないように
君の手を握 ....
風邪をひくと
風邪の気持ちがわかる
希望がないのだ
夢を見ることはできても
悪夢ばかり
風邪は子供
もう会えない人が
夢の中にいる
もう会えないとわかってるのに
また ....