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土色に枯れた千の蛾が部屋を覆い尽くす
それに 白粉の殺虫剤を 噴きかける
ぽそぽそと 大小の蛾が 落葉になって
床に重なると 兄さんが 粉で真白の瞼を擦って
真赤な涙を垂らしながら言う
「一 ....
濡れた鋏の翼で ブリキの鳥が
夜を 透明に 幾重にも 裂いてゆく
路上の暗がりの奥と 知覚の裏側に
魂が 横たわって 繋がる
そこに
黒い向日葵が咲き
黒い獅子が眠る
白鳥 ....
女の腹が真珠(たま)孕み 男の腹に指が這ふ
愛ほしいひと、今宵貴方を離さない
貴方をわたしに誘ひたい
迸る極楽浄土を黄金で編んだ煉獄に
火と蛇で撚つた鎖で繋ぎたい
男の胸に日が昇り 女の ....
弱々しい光が まどろみに咲く
鈍く 浅い眠り
左右に滲む 時計の針音
指輪の中に 溶ける指
白い時間に
記憶が 目覚めの中に ほどける時
物憂い 発光は ぬるい痛みを帯びて
....
寒い季節に浮かぶ 旋盤された月 白く散った光の環
環光が
凍りついた街灯を弾き 音叉として響かせ
夜を宇宙の一角へ切れ込ませる頃
分母だ
物差し程度の尺度では敵わない
星の数ほ ....
くらやみのひかれた丘の上で
私は黙想している
近くに大きな河がある
冷たい風の向こうがわ
乳のように深くて豊かな河が
夜に寄り添うように
よこたわっている
河は今、水かさを増している ....
落ちていた金を拾うのは、幸運とは違うだろう
ネコババしたそれで食いつなぐのが幸せとは違うように
寒い戸外から帰って熱いコーヒーにありつける幸運な人の
想い及ばぬ状況が世の中にはあるにせよ、幸せと ....
あなたの周りをがりがりと回る
そしてにたいのぬいぐるみ
あなたの惑星になっている
太陽オア月
かすめ取ることさえできているのかな
クンズホグレツ
プレーンオムレツ
わたしはうすい血の ....
1年生になったら友達が100人も出来て嬉しかったが
2年生になった時にはその内89名が私のもとを離れて行き
残る11名は全員が私の体を目的に集まったハイエナどもで
3年生に上がる直前になって私は ....
人を信じることと
人を憎むことは違うか
考えながら歩いていたら
人を見失ってしまった
姿見をみてもなにも映ってはいない
シンジルコトとつぶやいてみても
だれもいないのだから
もう ....
鉄道都市にある高層ビルディングのてっぺんにて
皇帝ペンギンが一羽
光ったり消えたりしている。
(蛍みたいだ)
西方から見るといくぶん寂しげな東の巨人のなかで
光る皇帝ペンギンは真夜中の迷える ....
壱;
とんがったピンセットを突っ込んで
耳の中をかき回す。
きっとここは中耳であろう
そこから先はぐっと地底に落ち込んだ
炭鉱の坑道であろう筈。
へい、地球人よ、ブラジル人よ
....
戦争の 写真を見せられる
傷ついた兵士 逃げ惑う人々
思ったことを 言いなさいと
先生が おっしゃった
となりの席の 男の子が
かわいそう といった
それを聞いた ....
{引用=
柔らかい命を
踏んで楽しんでいると
いつも不思議な音がする
どこかから聴こえてくるような
すぐ近くのような
ものすごく遠くのような
友人が一人電話をかけ ....
一度乗ってしまえば、後はひたすら上昇し続けるしかない鉛色の集団エレベーター、
もし君が雨に濡れたアスファルト芳しい地上に再び戻りたいと思ったのなら、
神と同胞と家族を裏切り、心変わりしてし ....
みせるためにかいた詩を
二度三度湯で洗い流してみる
だから言っただろう
ときこえてきそうな姿になった
薄汚れた
小さな
じぶん
えさを与えてみれば
いくらでも大きく ....
友人のパペットは詩人です。
有能な助手である腹話術師は、実はシャーマンです。
もちろん彼は左利き。
そして真白いシーツの手術台にいつも乗せられて
セルロイドの顎をカタカタ鳴らして話しているのが ....
みぞれと言うのか
雨が凍っているというのに
こんな夜にも走る男がいる
気が済まない、
習慣に中毒したのか自己啓発強迫なのか
こんな夜くらいはさぼろうという気がない
上空で
雨が凍るという ....
(月を黒い種に、太陽を色彩の影のない輝きの雨にして)
ほんのりと甘い、果物の匂いがした
乾いた風が吹く緑の丘の上から
眼下に広がる果樹園を見下ろす
頭上の雲から誰かに見張られていて
けれ ....
意志の外より働く大きな力よ
私を貫き通せ
この身を引き裂き
路上へとぶちまけろ
この身が土に溶け込み
そこから花が咲き
無数の虫が生まれたなら
....
{引用=
眠っているあなたに ささやきかける
海峡の海鳴りがきっと
霧のような不確かな、消え入りそうな言葉を運んでくる
小さな螺旋の都に吸い込まれるように
淵をなくした深淵へと
言葉な ....
君がオールを漕ぐ
水色の湖にガラス底のボート。
ゆらゆらと
水面に浮かぶ午後の光が
君を映す柔らかな鏡になる。
水中にはいくつも
小さな白い花
手を伸ばして拾いあげる
頬と頬を寄せ ....
小さな後悔を
ひとつずつ折りたたみながら
冷たい雨の中を歩く
しつこい雨音を
ことごとく無視しながら
答えをクシャクシャに丸める
痩せた街路樹は
桜並木になろうとして
つれ ....
私は
水面を眺めるのが好きだ
こころが癒される
趣味は写真撮影
水の流れや
水面に揺れながら
ゆらゆら写る
風景を愛でながら
写真撮影する
今日は
暖かな春風に導かれ
何 ....
わたしたちはいつか死ぬ
ということは
死にゆくわたしが見てるのは
夢なのではないか
+
わたしは空を飛ぶ
鳥だったような気がする
わたしはアスファルトに咲いて ....
ももの花 すいせんの花 ビオラ、すみれ
春が咲いて、歩いてる
じぶんのちからで
背がひくいから、ぼうしだけ見えたよ
花の散歩 よいしょ、よいしょ あるけ、あるけ
人魚が落とした真珠のピアス
水の都の旅人を
沈む陽が遠く海を染めるまで
静かな寂しさに導いてくれる
遠い日の面影だけ映して
消えた貴女を追いかける
黒く塗られた渡し船は
揺れる水面の ....
雨が射抜いたまだら模様の私が
顔のないまま通り過ぎていった
3月の雨は まだ冷たい
たくさん着込んでいるのに
袖口から 襟首から
風も雨もはいってくるから
ふたつの目を開放して 送り出 ....
またひとつ
誰かがクシャミをする
ハナからハナへ
クラクラするよな黄色い粒子
シカイもシコウもむず痒く霞んで
オン着せがましいIgE抗体
もうひとつ
誰かがクシャミをする
....
心はいつも溢れる洪水の岸にあるけれど
この身は独りモロッコの砂丘にある。
鳥が落とした棒切れを拾い上げ
星形の砂漠に
蜘蛛と猿の地上絵を描く。
砂紋を横切るように
てんてんと残 ....
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