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掲げた手首に引かれた風コンパスと炎の赤道は喉を掻き切り流れ出す椰子の黄色い核が浮き沈みする痕では半人半霊の拝む太陽の焦点も焦げている瞳孔と溶けるチョコレートの肌に押し寄せる波濤そして火傷するほど疾 .... 彼女は彼を愛していたし、
彼もまた彼女を愛していた。
傍目から見れば完璧な二人だったけれど
どちらも鋭く光る牙を
その身に隠し持っていたから
二人の恋はいつも死闘になった。
顔を逢わせ ....
7日に蛭木の浜に下りていき
ヨガをする。
足の爪先から、踵まで、ゆくりと着地する。
干潮を合図に背中を反らせ、アーチを模る。
オヒルギとメヒルギが
音をひらいて絡み合い
嘆いて赤土を溶 ....
                    
内地から釣りに来た太陽と恋人たちを
島尻の斎場御嶽にガイドする。
財布から百円玉を取り出し受付機でパンフレットを買うのを指笛に
午後の観光が踊る。
 ....
今夜は神日和{ルビ=カンピューリゥ}
神日和{ルビ=カンピューリゥ}は物忌み
神日和{ルビ=カンピューリゥ}の夜は家の外へ出てはいけない
村の年寄りは若者に諭した

けれど若者は
十三日の ....
女の面影や身体の柔らかさのことを
夜道を歩きながらぼんやりと思い出そうとしていた

半月に照らされた王都の白い石畳が
南島の短い冬に冷えていた

(あれは、まぼろしではなかったのか)

 ....
君はいつか僕に会えるだろう

人は意外とかんたんに
見知らぬ遠い場所までいくことができるから

僕も毎日、想っていた

父さん母さんに連れられて
テニアンやサイパンにまで
砂糖黍畑を ....
あなたが送ってくれた手紙を読みながら
まだ一度も会ったことのない
あなたの笑顔をかんがえる

そういうときの私は
太陽に向かってノーテンキに咲いている
この島のハイビスカスなのです
弥勒の雨の降り初め
緑青の音階が透きとおった
川はもう
市街地に集合して海に戻りたがっている。
手のひらに(砂の塩)
29℃の残り香が開け放たれた窓を過ぎ、
鉄の雨が降った
クリーム色を ....
くらやみのひかれた丘の上で
私は黙想している
近くに大きな河がある
冷たい風の向こうがわ
乳のように深くて豊かな河が
夜に寄り添うように
よこたわっている

河は今、水かさを増している ....
鉄道都市にある高層ビルディングのてっぺんにて
皇帝ペンギンが一羽
光ったり消えたりしている。
(蛍みたいだ)
西方から見るといくぶん寂しげな東の巨人のなかで
光る皇帝ペンギンは真夜中の迷える ....
一度乗ってしまえば、後はひたすら上昇し続けるしかない鉛色の集団エレベーター、

もし君が雨に濡れたアスファルト芳しい地上に再び戻りたいと思ったのなら、

神と同胞と家族を裏切り、心変わりしてし ....
友人のパペットは詩人です。
有能な助手である腹話術師は、実はシャーマンです。
もちろん彼は左利き。
そして真白いシーツの手術台にいつも乗せられて
セルロイドの顎をカタカタ鳴らして話しているのが ....
(月を黒い種に、太陽を色彩の影のない輝きの雨にして)

ほんのりと甘い、果物の匂いがした
乾いた風が吹く緑の丘の上から
眼下に広がる果樹園を見下ろす
頭上の雲から誰かに見張られていて
けれ ....
君がオールを漕ぐ
水色の湖にガラス底のボート。
ゆらゆらと
水面に浮かぶ午後の光が
君を映す柔らかな鏡になる。

水中にはいくつも
小さな白い花
手を伸ばして拾いあげる
頬と頬を寄せ ....
人魚が落とした真珠のピアス
水の都の旅人を
沈む陽が遠く海を染めるまで
静かな寂しさに導いてくれる

遠い日の面影だけ映して
消えた貴女を追いかける
黒く塗られた渡し船は
揺れる水面の ....
心はいつも溢れる洪水の岸にあるけれど
この身は独りモロッコの砂丘にある。

鳥が落とした棒切れを拾い上げ
星形の砂漠に
蜘蛛と猿の地上絵を描く。

砂紋を横切るように
てんてんと残 ....
太陽の下で、町には向日葵が咲き乱れていた。

待望の赤ん坊は、女の子だった。
腕のなかに眠る小さな娘をみて
母親は待ち望んだ願いがついに叶えられたことを知った。

夫は、妻である母親を顧み ....
僕は今、月のパルス・エピデミアルム、病の沼に来ている

病の沼なんて、とても不吉な感じの地名だけど。

ここは月ではずいぶん南の地方になる

僕の銀色の船はこの病の沼の北西部、
 ....
気がつくと、俺は漂流していた
大洋のど真ん中に、俺ひとりだった
広い海は恐ろしいほど青く、そして黒かった

小さな板切れに横たわっていた
頼りなく波間に揺られながら
自分が置かれている状況 ....
口笛を吹いて、絨毯を呼ぶ
輝く絹と金糸で幾何学模様に織られた、翡翠色の絨毯
絨毯は主人である僕のもとにすぐさまやってくる

魔法の絨毯に乗り込むと僕は
月夜の花に埋もれて眠る
君の夢の ....
千夜一夜
回転しながら
浮き沈みするリビドー。

スルタンの青い宮殿の奥深く
幾重もの厚い石壁に隠され
永遠に閉じ込められた
千人の女たちが抱く
太陽の宝石
飽くなき欲動。
薄いヴ ....
まず、声を変える
あー、あー、
自分にとって、いちばん低い声を確かめる。

鏡に向かうと、
バリカンで髪の毛を短く刈り込む
思っていた以上にサッパリとする。
大仕事はこれからなのに
 ....
青灰色に輝く海岸沿いに
小さな赤い屋根の家が立つ
その家には
ブラウニーの妖精たちが棲んでいる


小さな妖精たちは
茶色のボロ着を身にまとい
いつからかその家に棲みついている
 ....
私のふたつの乳房は
アムリタの豊饒に満たされている
明けたばかりのこの夜
現世が終焉するその前に
私のアムリタをあなたに飲ませたい
真っ赤な舌をチロチロと動かす毒蛇のように
長い
この腕 ....
傾いた春の海、季節の春分点から誕生したばかりの
太陽を浴びる雨

真珠色に輝く鱗の人魚より、二足の人間に目覚めるための進化の探求

我が子の足跡を追いかけて
夢の境界から、氷の白地に這い出 ....
出勤まえにアイラインを引く
鏡の向こう側で
いつも私の代わりに私を演じてくれているもう一人の私と目が合う
季節外れのプールみたいな彼女の眼球の中央に
黒い硝子の宇宙、
私の魂の出先機 ....
君の直感を信じている


世界でいちばん鋭い君の直感が
僕のアンテナをひっぱり続けている


だから赤色のタワーは日ごと夜ごと
どんどん成長し空に向かって伸び続けている


 ....
僕の銀色の船は、雨の海を北上し、
目的地の虹の入り江にたどり着いたところだ


虹の入り江は、とても綺麗に湾曲している入り江だ。


ここは本当に美しい月の名所で
地球にいた頃から ....
あなたの頭蓋骨を、かき抱く
この胸に熱く
柔らかな髪に包まれた後頭骨に
私の上腕骨を回して
冷たい額の向こうの前頭骨に、頬骨を寄せる
あなたが考えていることが、私の心に伝わってくる
 ....
ハイドパークさんの楽恵さんおすすめリスト(37)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
星の航海術(スター・ナヴィゲーション)- 楽恵自由詩910-10-14
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スマイル・ハイビスカス- 楽恵携帯写真+ ...7*10-4-11
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メソポタミアの遺丘- 楽恵自由詩15*10-3-17
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腹話術師の唇- 楽恵自由詩910-3-11
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月面航海記(虹の入り江)- 楽恵自由詩14*10-2-15
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