暫定
本木はじめ

禁煙するために
両手をじっくりと見た
花びらが散るように
どこかで終わりが開いた
忘れていた夢が疼く朝
雨が降っているので
部屋はひどく暗かった
少し苦い珈琲を飲みながら
この行為についての意味を考えた
煙は見えないが
この部屋は随分前から
呼吸していない
窓を開けるためには
立ち上がらなければならない
どこか遠くの谷間に咲く
美しい花を想った
言い残したことが
たくさんの蝉の死骸のように
放置されたまま
毒薬みたいな予定ばかりが
残されている
黒い行き止まりの部屋の中
巨大な穴みたいな夜が開き欠けている
盗まれた王冠のように
無意味な
無意味な
象のようにおほきな夜が
僕を数えはじめている


自由詩 暫定 Copyright 本木はじめ 2004-09-07 18:15:35
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