さくらがみたいのと
おまえは呟く

けれども
おまえの為に
こんな時期に
桜は咲いてくれないのです




ようちえんにいきたいの
とおまえは呟く

しかし幼稚園は日曜日に ....
一、 銀色の背中


飯も喰わずに、カピが月ばかり見ているので
座敷に上げて訳を聞くと
長い沈黙のあと
神妙な顔で
片想いなのだという

いったいどこの娘かと問えば
まだ逢ったこと ....
ムーンは名犬ではなかった
おれが不良にからまれたとき
まっさきに逃げた
のびているおれのそばにきて
目のよこの傷をなめた

ムーンは名犬ではなかった
堀内と土井と高田の
サインの入った ....
毎度のことながら、
女にふられたので、
ラブホへ行って死のうと思った。
どうしてラブホかといえば、
情死かと思われるかもしれないからだ。
死んだ後のことなどどうでもよいかと思えば、
にんげ ....
女にふられたので、
川へ行って死のうと思った。
留守番電話に就職試験の結果が入っていた。
今日が面接だった。
洗濯物がたまっていたのでコインランドリーに行った。
着ていた服も汚れていたので、 ....
筆先で湛えきれず
液体が
ぽたり、ぽたり、と
滴るので
両の掌をくぼませて、ふくらみをつくり
上向きに 
すこしかさねて
それをすくおうとしてみるけれど
わずかな隙間を
液体はすりぬ ....
小さな人が困った顔をしていた、きっと困っていたと思う


ケチャップでしょうかマヨネーズでしょうか幸せにいつも足りないのは


君と手を繋ぎ星空を眺めていた一面のペンギン畑


自転 ....
スーパーのレジで
おつりのコインを数枚受け取ると
「わあ、お金が増えたね」
と娘は目を輝かせる

自動ドアから出るときも
「あのおばさん、きっと親切な人なんだよ」
ふわふわと歌う
 ....
ひつじを踏んだ  声はなかった
ひつじは足下で  ばたばたしていた
ような気がした

「元気かい」とためしに声をかけたが
ひつじはひどく疲れていたか
もしくは踏まれて不機嫌だったのか
答 ....
腕を

上げ下げする時モーター音が少しうるさいでしょう
ごめんなさい

今日はどんな一日でしたか?

駅でまたお腹が痛くなったんですか
大丈夫ですか

私ですか
私は駅のホームか ....
送電線の下をくぐって
アスファルトの海を
ぼくたちは、
泳いで、


はりめぐらされる
緯度や経度に
足をとられながらも
ひたむきに
日帰りの旅をくりかえす
ねむる前、ときどき
 ....
真夜中に目が覚めて
水道の蛇口をそっとひねると
そこから
海の匂いがする
喉が、渇いていたので
それでも飲み干すと
いろんないちにちが
搾り取られるように抜け落ちていく

冬の海はな ....
わたしが

うまれてから

なみだを

 このてで

  ふくまで

ちちははは

どれほど

こころを

 ぬらした

  ことだろう


いきていく

 ....
正月に日本酒を飲みながら詩を書いていたら
火曜日に詩を教えているキムからskymailがきた


「幹さんやばいっす、オレ犯罪犯しちゃいそうです」
『ちゃんと詳しく説明してミソ』
「ちんこ ....
距離にたたずむ私の{ルビ首=こうべ}は
ついに飛び去ることはなく
天と地を結び
{ルビ収斂=しゅうれん}を{ルビ咽下=えんげ}している

星々がめぐり連なる
境界
深く眠る視線は果てを知 ....
満水の夜に
感覚をとぎすませながら
無数の魚が泳いでいる
距離と、位置と、
上昇する体温と、
そういうものを
止めてしまわないように


蛇口に口をつけて
あふれ出すカルキを吸うと ....
目がさめると
世界は半透明だった


そうか、ゆうべ 
基地をつくったのだ
求めていた体温に
ほどちかいぬるさと
液体でも固体でもない感覚の
その場所で
眠ることは
ひどく ここ ....
ぞくぞくするものだから
風邪をひいたように思ったのだけれど
なんだ
背中に離婚届が貼り付いていたのか
ついでだから
その上から婚姻届も貼ってしまおう
少し温かくなるかもしれない

それ ....
(ここでは宇宙をスプと言います)
最前列右の左のスプを見た見たもの全て衛星で死亡



(ここでは宇宙をンと言います)
ンの声がロケット破壊しつくしてβ・γ線上の{ルビAir=アリア}
 ....
いつも 足りないと
つぶやくような目で
半透明 だった
校庭も
平たいホームの直線も
影をうばうばかりで

屋上にでるたび
そらに 手をひたして
紅くそまった冷たいゆびを
にぎ ....
さいきん
私をみつけます
なまいきで
じょうだんみたいな手足で
おもたいランドセルをゆらしてる
あなた


胸のまんなかのスイッチは
押したら たぶん
おたがいへんな音が出る
だ ....
ふと遠いところへ行きたくなる

通過電車に手をのばせば届きそうで届かない
本気で身を乗り出すと本当に連れ去られてしまうから
「危険ですから、黄色い線の内側までお下がりください」
というアナウ ....
買い物袋から
オレンジが転がったのは単なる偶然で

私の爪の端っこに
香りが甘くなついたのも単なる偶然で


果実が転がり出さぬよう
そろりと立ち上がった頭上に
飛行機雲を見つけ ....
紅さし指で
この唇をなぞっておくれ

宵をにぎわす祭りの夜に
提灯ゆらり


光はたぶんに
正しいものだけ捕まえる
ほら
燃える可憐な蛾がひとつ

短命ながらも風情をもって ....
十二番目で
いつも言葉を間違えてしまう君は
その次の交差点では
左折ばかりを繰り返している
東京
狭い夕暮れで
夢から覚めたばかりの抜け落ちた体を
ついでのような角度でドアの隙間に潜り込 ....
どうしようもないくらいの
空の返還が
わたしに帰ってきた
わたしの唇は青いことでいっぱいになる

空に着歴がある
それは長い長い数列
雲は遠くの蒸気と会話したりするけど
やがて話が尽き ....
コンクリートの丸いもようは、踏んじゃだめよ
って、
しあわせになれないから
って、
きみが言ったとき
さっき
二度ほど踏んでしまったぼくは
ちょっと泣きそうになって、あわてて
声をだし ....
もう大人になった気がして二本足で立つことにした誕生日


「生命線を持って生まれたかった」スクラップされていくロボット


大福だと思って食べたら素甘だったという悲しみを背負う
 ....
楽しいショーの始まりだ!と言いながら僕らは産まれてきたはずだ


僕に名前が無かったころ、魂は行き先を欲してなかった


たくさんの人、たくさんの名前、溺れそうになって君の名を呼ぶ ....
兄さんは無口だけど
冗談が得意

風が吹くとカララと音をたてて
少し回る
その度にバカ男はゴンドラの中
一番高いところから
きれいな景色を見ている

風が吹かないときにバカ男 ....
辻野克己さんのおすすめリスト(86)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
さくらはなぜさくの- 自由詩92*06-10-27
カピバラの事情- 佐野権太自由詩41*06-10-18
ムーンは名犬ではなかった- しゃしゃ ...自由詩2006-9-10
ラブホへ行って死のう- しゃしゃ ...自由詩1906-6-17
川へ行って死のう- しゃしゃ ...自由詩1606-6-9
水墨夜- 望月 ゆ ...自由詩50*06-4-14
幸せ- バカ男短歌1506-2-28
おつり- たもつ自由詩54+06-2-26
ひつじ踏んじゃった- 夕凪ここ ...自由詩12*06-2-21
私の好きな詩- ふるる自由詩41*06-2-6
ブレス- 望月 ゆ ...自由詩55*06-2-4
いちにち- 霜天自由詩906-2-4
きねんび- まほし自由詩22*06-1-27
金(キム)- 馬野ミキ自由詩90+*06-1-22
臨海イズム- こしごえ自由詩10*06-1-11
夜明けの水位- 望月 ゆ ...自由詩57*05-12-10
寒天の内側- 望月 ゆ ...自由詩1205-12-3
風邪流行ってます- tonpekep自由詩28*05-10-25
ここでは宇宙を- ふるる短歌50*05-10-19
うしあめ- はな 自由詩13*05-10-6
しましまを描く- はな 未詩・独白12*05-10-4
夜の地下鉄は海の匂いがする- ベンジャ ...自由詩53*05-8-31
家路- 千波 一 ...自由詩53*05-7-27
薄灯りはまもなく消える- 千波 一 ...自由詩25*05-7-23
トーキョータワー- 霜天自由詩4305-7-12
空の形- tonpekep自由詩45*05-6-25
空をみていた午後- 望月 ゆ ...自由詩49*05-6-8
二足歩行- バカ男短歌1605-5-18
誕生- バカ男短歌23*05-3-25
家族(兄さん)- バカ男自由詩605-3-23

Home 次へ
1 2 3