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こうして何かを書き綴ることで、空間の存在を理解する、机や、コップのある意識に通り過ぎる電車を感じる、この場所で生きているのだ、記憶にある地方の湖で見た花火みたいに。当時は商社勤務で色々な場所に連れ出さ .... 1 草

抜いても抜いても草がある。祖母が亡くなるまでは祖母が抜いていた。いまは私とこどもが抜く。春まだ浅いので、たくさん草があるといってもみな背が低い。ヒメオドリコソウ、クローバー、ムラサキツメ ....
まだ何も知らない頃から詩を書いていた。日記と詩と。いまでもときどき読み返す。あちこちから出てくるからだ。何も知らなかったけど、本当のことが書いてある。知っているよりも多くのことが書いてある。これは .... 物心ついたころは、半分くらい本の中に住んでた。だって外はあついしさむいしうるさいし、はやく走れないし。それから少し成長して少女のころになると、本の中にはいられなくなって、窓をのぞくみたいに本の世界 .... 本当は完結したなりにしておこうと思っていましたが、今回のシリーズを読んで下さった方々のために幾らかの説明責任がある気がずっとしていました。そんな訳で蛇足を足し添えておきます。

 ....
今日はよく晴れていて、スペースマウンテンに乗ってきた。
とても空いていたので3回くらい乗り込んで、馬の骨も、馬の皮もみてきた。
見上げると所々天井が剥がれてきてしまっていた。
ご機嫌な写真を一枚 ....
そして、見知ったような街で生活している。
すべての箱を開けて、埃を拭い、それなりの場所に配置して、箱を潰しきるのには5日あれば十分だった。そのあとは右のものを左に動かしたり、左のものを上へ持ちあ ....
いくつかの枝葉をのこして、花を切っていく。もっと沢山の花を咲かせるために必要な処理だ。
そして、わたしたちはまた違う街へきた。

これまででいちばん短い期間での引越しだった。短い春と長い ....
 詩が書きたいのに書けないという病に陥ることがある。しかし、締め切りがあるわけでもなく、誰も私の詩を待っていてくれる者など居ないし、金銭的価値もないだろう。
 私にとって詩とは何だったのか、と考える ....
さて前回予告したとおり「俺、モザイクキラーを手に入れるの巻」である。あれは二十三の頃だ。しがない日払いの派遣バイトで食いつなぎながらプアーな一人暮らしをエンジョイしていたロスジェネ丸出しの俺はある日、 .... 「実はちょっと天然な所もある」というのは俺の百八つあるチャーミングポイントのひとつだ。例えば中学二年生ぐらいまで、お弁当を上手く食べられない少年だった。おかずとご飯をバランスよく食べるという事が苦手で .... 強烈にどうでもいい事を書こうと思う。って、別に狙って書いた訳ではないのだが、。純粋に昔から疑問で誰かに聞きたかったが聞けずに今日まで来た事を書こうと思う。思 .... 昔から好きで観ていた番組のひとつに「生活笑百科」というのがある。関西発の堅めのバラエティ番組で、「四角い仁鶴が、まあるく解決!」を売り文句にして主に視聴者から寄せられた法律相談を弁護士がジ ....  娘は通院、治療、入院、手術を繰り返して
いたが、だんだん通常に近い生活ができるよ
うになってきた。歩けるようになり、カタコ
トの言葉が話せるようになると、娘とよく遊
んだ。

 一番楽し ....
陽が次第に落ちてゆるゆると薄暗くなった町を歩いている。信号機の赤で立ち止まる。まだ青が潜むうすぐらく滲んだ空に爪のような三日月が覗いていた。じっ、と真上を見上げればそんな空しかないのだ。雲はどこか、星 .... 気まぐれにオカリナを吹く

郊外にある運転免許証センターの駐車場で
これが最後だという妻の免許更新の日だった
ペーパードライバーの妻は
当然、無事故無違反だから
更新は二時間ほどで終わる
 ....
黄色い布張りの表紙のノートは母が買ってくれたもので、すらすら嘘を書くのにつかった。
三週間連続で書きこんだり、7ヶ月間開きもしなかったりしながらで13年経ったのだ。時間と手垢で沈んだ黄色。
ず ....
どっしりしたコート、赤いくちべに、空いてる電車、缶コーヒー。
師走、指をひらいて夜をあるく。ほとんどこわくないよって顔をして(あるいはほとんどなんにも知らないよって顔)。種、草、蔓、実、届く(届 ....
冬がきて、わたしはむすめに、ハムの切り方や三つあみの仕方を教えるのだ。花や色の名前、鍵盤のおさえ方も。こまかいビーズや紐のきれはしで満ちていく部屋。冬はきて、みんな老いる。ほんとうに世界は存在しな ....  それぞれの詩人にはそれぞれの言葉の個人史がある。詩の中で用いる言葉は、かつてどこかで自分が書いた別の詩の中でも固有の位置を占めていたものである。例えば「水」という言葉をかつて別の作品で用いたとする。 .... 宝籤はもうすぐ二歳になる。相変わらず尻尾の先をわずかに白く染めているかわいい黒犬。でも、もう自分の手足を持てあましたようなちぐはぐな動きは消えてしまった。暑い日、賢い番犬よろしくブロックのうえに身 ....  ストーンド

(2007年 某月某日)
「ハロゥ」
「おう、元気か」
「何とかな。お前は?」
「変わりないよ」
「今どこ」
「家。お前は?」
「パリス」
「そう」
「実はな、さ ....
学生時代、福祉系の大学に行っていた友人に誘われて、藤の根作業所(現いぶきやま・当時建物は旧山東町に在しました)にボランティアに行きました。昔、私の母親がしていた内職のような単純作業だったと思いますが、 .... お礼をですね、人に言い始めたら、一生かかっても一番大事な人に言えないのですよ。
大事な最後をとっといてもそれはきっといえない事なので一番最初に、一番大事な人に会いに行くといいですよ。
嫌な奴らがい ....
                               ―――ステファヌ・マラルメ
     全世界が溶解する
                  波涛
                  ....
瑞々しく淡い光。
柔らかな黄金と緑と午後の黄昏。
風と光が静かな歌声で話し合っているのが聞こえる。
詩だけが引き出せる言葉の葉脈、その息遣い、温度、色合い。
まるで預言のような神秘性にも満ちて ....
単純な足し算もできないのか、と言われることは多い。まぁすくなくとも
小学生のころからずっと算数は苦手だったし、ある程度克服したなと思える
現在であれ十数たす十数の計算を即決で間違えない人間に比較す ....
帰り道
若い恋人を見た
正確にはまだ
恋人ではなかった

とても美しい光景だった
青白く月に照らし出された二人が
自転車置場で明るく語りあっていた
自転車のハンドルを手にし ....
「何叫んでんだ?」

海人が現れる
全部聞かれていた
私はもちろん
赤面
夜で多分見えちゃいないが
海人はわかってる
その事を
恥ずかしい

「じゃあ、俺も叫ぼう。おぃ、桜!!  ....
初出:2000年「詩人専用シナプス」


 ヒマな時によく、詩のサイト巡りをする。ちょっと前まではwebringの営業のために、投稿コーナーのあるサイトを見て回ってた。Googleという検索サイ ....
mizunomadokaさんの散文(批評随筆小説等)おすすめリスト(33)
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