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じっと見つめると
あなたのようにあまく
とけてゆく夏を
シロップのように
かき氷にかけると
ひんやりつめたい
つまりね。
あなたに向かって
ただ今咲いています
そういうメッセージ
あの空と海の境界は
いとしさを含んだ
やさしさが横たわっている
きみがすやすやと眠る
わたしのひざまくらも
きっときみとわたしの
曖昧なやさしい境界になっている
くっつかないということは
い ....
{引用=憂鬱な目覚まし時計、日常へ旅立つ自転車のペダル、決曜日
ぽっかり空いた胸ポケットに立葵を活ける、華曜日
眠れる森に訪れたファーブルたちの欠伸、睡曜日
静かなく ....
ただ
無駄にすぎてくような毎日
自分が自分であり続けることの恐ろしさ
過ぎていく
過ぎていく
時間が
そらはこんなに
心変わりするというのに
眩むように
ひそやかで
賑わうように
うら寂しく
微かに浮き立つ
輪郭を描写するような
凝縮された時間の果ての
雪洞にも似た夜の入口に導かれ
僕は
記憶の中、
遠くか ....
生きていく事がひどく
滑稽に思えてきたのです
紡いでいく朝
邪な思いを甘やかす小部屋
この道の先にあるものは
高が知れているだろうに
私は今日も滑稽な光に
身を委ねる
怒声が聞こえない
クラ ....
藤の花ぶさが
紫の光を垂らしている
ささない蜂が
黒い尻を浮かせている
遠目に見ていた
奇跡のような幸福に
実は包まれていることを知ったのは
こんな日のことだ
藤の花ぶさが
紫の ....
白い天井を見つめている
黄金週間の夕暮れどき
一日のさいごの光を見つめている
壁にはパンプキンの絵画
胸にかぶさる世の戯れごと
天井のもう少しさきを見つめよう
少し向こうには
希望のふり ....
花が肉のようだ
植物のさやかな匂いだ
ツツジよ
おまえはだれなんだ
会えない恋ごころ
会えば終わってしまう
ふられているようなもんだ
あざやかな足元の花よ
おまえの秘部ならば
口つけることもいとわな ....
そらのかわに
さかなが泳いで
さくら色のねこが
まえあしを伸ばす
ゆるゆると
はるは
僕の街にもやって来て
雲間のあおに流れていた
あおい蕾が
春の嵐にぽきん、と折れて
公園のくずかごに捨てられている
花の命のありかがわからなくて
こわごわ抱いて家に帰る
光に翳すと
やわらぎながら
ほどけてゆく部屋
輪郭をも ....
# プロローグ
太陽の陽射しとご主人様の肌触り
どちらもあたたかい
ひざの上で寝たふりをする特技は
生まれついたもの
薄目をあけて見わたす庭はいつも
かがやいていて眩しい
さあそろそろ出かける時 ....
昨日の上に
淡々と
今日を敷き詰めていく
清々しさ
今日の上に
黙々と
明日を積み上げようとする
凛々しさ
ただ
目指すことだけを
目指す
雑り気のない
まっつぐな力に
憧れてしまう
君の心に特製ギブス
命の色を消しましょう
痛い、痛いと叫ぶなら
治るまで傍にいてあげる
真っ二つに折れた心
きっといつかは元通り
君の心に特製ギブス
流れる紅(あか) ....
三角耳を
クルルと回して
素知らぬ顔
肉球で
ソロロと歩んで
知らぬ間に
高い所から睨んで
狭い所に詰まって
暗い所を走って
温い所で蕩ける
甘えたい時にだけ
フワワと膝の上
嫌な事すべてに ....
花と線香と手桶を持って
目印に辿り着き
うろ覚えの作法で
てのひらを合わせながら
ついでに
貴方達のことを少し想った
そうだよ
罰当たりな僕は相変わらず
此岸のモラトリアムを
見苦しく這いずり回 ....
泣き虫に大きな壁が立ちはだかった
途方もなく続いている道
下手をすれば踏み誤ってしまいそうで
たったの一歩がなんとも重いこと
行くしかない
行くしかないのだと歯を食いしばる
わたしの 遥か上空 ....
ジャングルジムでの遊び方を忘れたのは
威勢が良いだけの雄叫びが、もう通用しなくなったからで
不安定な足場で怪我するくらいなら
帰り道でつまずく方がカッコいいと思っていた
汚れを知らない白いスニーカーが ....
花を買う悲しみ
ガーデンハウスにたち寄ると
いつも悲しみにおそわれるのだ
花、
ひとつの記号だ
花を渡す、花を育てる、
花を貰う、花を頼まれる、
花を買う、
ぼくらが花を行為とするとき ....
{引用=銀色の月を砕いた細雪
虚飾の街にも、しんしんと
上野発カシオペアはふるさとゆき
すれちがう旅人のなつかしいアクセント
耳の奥では遠い遠い子守唄
かあさんの声、 ....
ぼくは高校卒業まで叔父叔母に育てられた
母さんはぼくと妹にいちども会いに来なかった
誕生日にはお金が送られてくると叔母は言っていた
叔母ぼく妹で買い物に出かけると
きまった店でよく服を買っ ....
空のうえは宇宙でしょうか
ぼくには空のしたしかありません
あらゆる哀しみと同苦したいのです
空のうえなどいらないから
あらゆる哀しみと同苦したいのです
天国なんかありません
地獄なんかも ....
心臓と
おなじ大きさの
ぬくもりを
いつも
探しています
手のひらに
余るぬくもりは
あったかすぎて
いろんなことに
鈍くなってしまいます
手のひらに
なんにもないと
いつのまにか
握りこぶしにな ....
森に行こうよ
そんな口約束覚えていますか
桜の花が広げた両手
こぼれる夕陽
つくられた
寄り添うシルエット
春風に流され
漂泊の想い
今だわからず
四季を忘れた
私 ....
{引用=
*
どの色も気に入らないの。欲しいのは唇をかむ痛みの赤さ
きつね花、天秤にして恋人のふるえる声を謀りにかける
しろはくろ、くろはしろからあ ....
母のことが なぜあんなに嫌いだったのだろう
殴られたことがあるからでもなく
押入れに閉じ込められたことがあるからでもなく
蹴飛ばされたことがあるからでもなく
わたしは母の愛情に満ちた視 ....
金曜ロードショーや
日曜洋画劇場で
「教育にいい」ような映画を
放映する日は
子どもはコーヒー牛乳を飲んで
映画が終るまで
観てもいいことになっていた
たとえば「ローマの休日」や
....
夏の終わりも
あのひとの面影も
消えゆく
こんな
ちっぽけで
ささいな存在でも
神様を信じよう
恐る恐る
生きることを
諦めてしまわないように
白い部屋の
白い窓辺のあなたに
向日葵を届けたい
朔の闇夜の月を
輝かせるほど
明るい向日葵を贈りたい
七色の虹が
黄色であふれるほど
たくさんたくさん贈りたい
あなた ....
ゆく雲が
君を求めてのばした蔓から
ふわりと咲いた雪の花びら
彼方を白く染めるものの
ひとつひとつの小ささを
ひとつひとつの儚さを
まるく含んだ湿り気が
花の波に匂いたつ
....
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