すべてのおすすめ
花束をもらったのは
もう随分前のことだ
大きくて赤い
松明のような花そのあかりが
次第に痩せて暗くなっていくのが
寂しかった
怪我をして入院中
病室まで訪ねて
炎のような花束をくれ ....
苦手ってわけじゃないんだけど
それでもやっぱし
う〜ん
苦手ってことなのかな
毎年この時期に行われるんだよね
以前は建物の裏口に横付けされた検診車のなかで行われていたんだけど
この ....
{引用=わたしの家は 田んぼの田の字の真ん中にたっていて 画家が住んでいます
誰も彼の姿をみたことはないのですが 彼は確かにいるのです
どの故郷にも どの町にも どの家にも 彼は必ずいるのです}
....
飽和した悲しみが、
雨となって降り注ぐ
それは涙/心のかけら
誰も犯すことのできない領域
湿った土から
悲しみを吸いあげて、
よろこびを咲かす ....
四十をとうに過ぎてから
韓国語を習い始めた
昔
英語を学んでみても挫折した私が
日本語と少し似ているせいで
韓国語ならできそうな気がしたから
教えてくださる先生は
日本の男性と結 ....
なまぬるい風に乗って
運ばれて来た くちなし の香り
遠い昔の記憶も
最近のあの悲しい思い出も
呼び覚まされる
優しいのにあまったるい
どうしようもない嫌悪感
やりばのないこの ....
雨音に見張られて
夢に溶けることも
ままならなかった夜も
いつの間にか明けて
乳白色に霞んだ
意識の繋ぎ目に
濃い目のコーヒーを
注意深く注ぎ込んだ
雨の残り香のする
雨戸を ....
あんさん、覚えておきなはれ
京都のおんな、みんながみんな
はんなりしてるおもたらあきません
御着物似合うおもたらあきません
夜の先斗町はえらいにぎやか
酔っ払った兄さんたちがふらふらと
....
ずいぶん前から
四人に分け与えられていた
空間は
たった一人に占有されていた
十七年近く
四人で分担し合っていた
空間は
たった一人に委ねられるしかなかった
残された空間に
話し ....
セックスのあと遠い耳鳴り
あの日の鼓動を耳が覚えている
ふたりで生きてゆくんだと思った
だけどそうはならなかった
月が外灯よりも白かった
青灰いろの道を自転車で歩いた
....
私とはひとつ違いだった
先生の評判を聞きつけて遠方から通ってくる
いわばミーハーな生徒さん同士
どちらからともなく話しかけると
すぐに古くからの友だちみたいに親しくなって
いわゆる「気の ....
僕らは約束をかわしていた
生まれてから今日まで一人で生きてきたつもりになって
世界なんてクソ喰らえって
地面に唾を吐いたりして
反抗心を燃やすことばかりに夢中になって
大切なも ....
砂埃をかぶって
眠っていたはずの感情
ピタリと閉めたはずの蓋
カタカタと震えだす
振動で落ちた
蓋の中身が
目覚める
置き去りにしたはずの
悲しみが
鮮明によみ ....
夜の通りにぼくを探して
通りにでたあなたを連れ去ろう
核ミサイルが発射されたとしても
ぼくらは大物で
こんなときさえ愛の言葉を交わし合っている
酔いどれの無気力が街にこだまする
そのど ....
たっぷりの熱湯の中に
捨て台詞を少々加えて
マカロニを入れる
いつまでも未練がましく
くっつかないように
十分注意しながら
再び立ち直れるまで
何回か掻き混ぜる
アルデンテ ....
まだやわらかに
すこし濡れた髪のうねりも
正確に笑えない口元も
プレミアムカルピスも
だいじにしてね
あなたをかたちづくるもの
やすらかさと
いっぱいの情熱でもって
あなたがすきだ ....
無印で働いてるような彼氏がほしい
英語がもっとしゃべれるようになりたい
体の仕組みを詳しく知りたい
もっとスラッとしてたらいいのに
全部全部ないものねだり。足りない ....
ひとりのおんなのこと
おたがいのからだやきもちを
さわりあってあそんでくらしていると
どこからともなくやってきて
おまえはなんだときいたら
わかりませんという
こいしさだなというと
そう ....
おろしたての石けん。
あわあわでいい匂い。
整体に行くたびに湿布をぺたんと貼ってもらうけど、これがなかなかにして強烈で。
はがした後も大分スースーする。
お湯をかけたらね、もっとス ....
良く晴れた多摩川沿いに走る二車線の都道
歩行者用信号機は青へ変わっているに右見て左見て
みーちゃんの手を引きながら急いで渡る
轢けるもんなら轢いてみなよ…いつもならそんな気概なんだけど
....
手を引かれ歩く。
懐かしい匂いのする君
その面影は記憶の水底
私が潜水夫になって強く握り返すと
つないだ手には水たまりができて
空の色を映す。
薄暗い緑の茂みの奥までくると
....
はつかみる
ほころびさける
言の葉の
うらがれとはず
あをきをいのらむ
I could never be what you need
(譬え、始まりを告げたとしても)
たまゆらの ....
紅い頬を削がれて
恥じらいもなく現れた
少女の実を
次々と切り分けて
皿に並べていく
自らの少女を
どこかに忘れてきた
ふりをしてる母の
秘められた欲望のように
家族 ....
言葉の羅列に侵されてく
そんな瞬間の私
怯えるように痛みの先を舐めて
舌の先に灯った芳香に焦がれた
貴方の瞳が夜明け色なら
私の瞳は最果てを映してた
言わないで口を紡いでて
綺麗 ....
治りかけの痔が
痒くて気持ちいいのだと
祖父は言った
痔は治りかけてるのに
とも
祖父は言った
私は誰もいない公園の
ブランコに乗り
治りかけの痔について
考えて ....
赤い電車も地下を走る
インバーターの
メロディーを奏でて
浅草/日本橋/銀座/新橋と
旧き佳き時代の繁華街を結び
雑多な電車が駆け抜ける
三浦半島から成田空港へ千葉NTへ
インタ ....
女が父親と住んでる家に泊まった
父親はアボジで通称アボ
アボは晩から登山に出掛けている
ひとんちでこんだけ寛いでしまうのは才能だろう
大学のとき開花した才能だ
自宅生なのに家には一ヶ月に数度 ....
しつれんすると
ひとはねこになるのだ
みちばたに
はながさいてるのだ
どんなりゆうで
はなはさいてるのか
きみにこいをしたからさ
ほそいめをして
ないてる
....
茜射す街に
さすらい旋ぐる風の喘ぎ
淫らな葉ずれに
あらがい委ねる罪の囁き
素足のままで
何処まで歩いてゆけるだろう
絡みつく絶望と
うずくまる希望を抱いて
素顔のままで
何 ....
パン作りに悪戦苦闘する教室の扉をそぉっと開くと
可愛らしい眼でこちらの様子を窺いだす
仲間外れされているとかの感情より好奇心が勝っているようで
親指を口に含みながらきょろきょろしてる
手足 ....
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