すべてのおすすめ
軽い足取り
幼い照り返し
蹴飛ばしながら
進む
シャツの袖まくり
緑のさざなみ
産毛を立てながら
泳ぐ
弾む呼吸
迷走神経の舗道
気取りながら
急ぐ
....
朝、目が覚めたら
右の手のひらがチクンとした
キップだった
日付はちょうど1年前の今日
行き先は書いていなかった
チクン
今度は胸が痛かった
その日付を忘れるはずがない
忘れら ....
前は、会う時は少しでもかわいく見られたかった。その日の一番ベストな状態であなたに会いたかった。
あなたの気持ちが手に取るようにわかったから。今日もいいなと思われて私も嬉しかったよ。
だけど ....
ガ行をかっこよく響かせて
古い電車は止まった
あたしは
何もかも捨てる気持ちで乗り込んだ
発車のベル鳴り響き
電車はゆっくりと出発
と思うやいなや
駅や人や風景が
あたしと電車 ....
「寒いと涙が出るのよ」
視界はこんなにもやわらかいのに
肌を突き刺すような気温、風
散歩に出かけても
猫に出会えなかった
濃い珈琲を舌にしながら
見 ....
太陽という名を持つその花は
光の輪郭を持っていて
「笑って」
と、ほほえみかけてくるのです
大切なものを失って
すべてを噛み殺して
悲しみよりも深くたたずむその人の
かすかな ....
見分けのつかない昨日と今日の間に
安物の叫びをはさんで
思いっきり口に押し込むのが
朝の儀式
律義なレタスと陽気なマスタードの間に
上品に叫びをはさんで
耳まで残さずに食べるのが
....
上澄みをそっとすくう
余分なものはなく
柔らかくしなやかで
手のひらからさらさらとこぼれる
太陽の光で酸素を作り
葉は濃緑を強める
表面の細い産毛には
小さな雫が張り付いている
....
小さな巻貝の奥に
灯りがともる
小さな海の人が
書き物をしている
波から聞いた話を
青いインクでしたためる
書き終えると
小さくてごく薄い紙片を
丁寧にたたみ
小さな封筒に入れて
....
私の小鳥が死んだ
何度か獣医さんに診てもらったりしたけど
これが胸騒ぎなのだろうか
部屋の錠を開けるのももどかしく逆光に沈む鳥かごへ駆け寄れば
初夏の陽射しのなかで彼は小さな亡骸と化していた
....
シャボン玉
悲しい歌とお母さんが教えてくれた
風々吹くな壊れるな
虹色に揺れながら
くるりと回って
弾けて消えた
洗濯のりを入れると壊れないよと
お父さんが教えてくれた
だからね
....
湖面にさざ波が立って
透明な魚がうまれた
それは夏の風
開け放した窓に
大群となって飛び込んでくる
君は薄い身体を持つ
果物をひときれ口に入れる
今朝もあまり食べないんだね
病んで ....
昔 大きな戦いがあり
そのせいで手首の骨が曲がったままついている
と祖父が言う
痛かった?
そりゃ痛いよ
(おじいちゃん人を殺したの?)
とは聞けない
昔 大きな戦いがあり
みな人を殺 ....
僕は不器用だから。
君に近づこうとしているのに、君が離れていくのが解るから。
もう、どうしようもなくて。
自分の力ではどうにもできないと、決めつけて、諦めて。
僕は、閉 ....
からりからりと晴れた空
君は何を思うのだろう
溜まった洗濯物は風が揺らし
休日の私は君に揺らされる
いっそのこと
忘れてしまえば良いのに
忘 ....
レトロな花柄ワンピースに
包まれたあたしが踊るのは
腹黒のワルツ
赤いハイヒール三拍子に乗っかって
追い詰められていく
逃げ場のないダンスフロア
遮るものは何もないのに
....
毎日を
流していこう
昨日を残して
汚さないように
小さな傷は
気にしない
ピカピカに輝く
明日のために
電車はもう乗り終えた
飴の袋もからっぽ
歩き出す
足元の道はごつごつしている
日の光は花や木にばかり当たっている
ような気がする
水が飲みたい
と思った矢先に
湧き水の立て札
山深く ....
どこから始めようかと
腰に手を当てて考える
片付かない過去と
まだ空っぽの未来
どうにでもなる
なんとでもなる
自分のことは自分で決める
汚れた顔を拭いながらでも
ありがとう。って言葉
本当に不思議で
それだけで
一瞬で
心
が
潤う
嬉しい涙も
悲しい涙も
切ない涙も
やさしく包み込んで
....
リンゴが手に取られて
そのままではいられないのか
とふと考える
ずっと木にぶらさがり
太陽を浴びる人生と思っていたら
収穫されて市場に出荷され
知らない場所へ運び込まれ
....
花がいままさに
ひらかれようとしていて
うたが人知れず
うたわれていても
読みかけの本の
頁がひらかれて
そのつづきが
つづかれてある言葉が
読まれようとしていても
なおもひ ....
気付いていなかった
守られていること
包まれていること
てのひらにいること
振動を感じて見上げると
電線で翼を動かす雀
池の鯉は大きく跳ねて
しぶきをきらきらと飛ばす
特別 ....
サーカスのピエロが
玉乗りをしているような
安定しない足元を懸命に
バランスを取りながら問う
上手く乗れていますか
泣きそうな顔で
周りを見渡すと
拍手が返ってくるから
....
{引用=嬰子の褥
闇のひとつ奥に蠢動する白光体がたしかにあった
血に焼かれた嬰子が視えない手のひらに止まって
私の身体に続いている
いやへその緒はぜんまい状に闇に溶けて
それはもうわ ....
毎日同じ時間に起きて
同じ道をたどり
同じ席につく
そして
退屈な時間が流れだす
ここは私の場所であって
私の場所ではない
晴れた日には知らない道を歩きたい
見たことのない景色に胸 ....
橋から眺める桃色の桜の道も
光を揺らす透き通る青い緑たちも
隙間なく滴る薄い藤も
きらきらと跳ね返る川の音も
さわさわと奏でる薄い紺色の空も
君に見せ ....
浴槽で
あかい金魚が泳いでる
と思ったら、
自分のちでした。
ハローハロー。今月もよろしくね。
いててて。
一針
また一針
言葉の
日向と日陰を
縫い合わせる
一針
また一針
自分の
頂点と底辺を
縫い合わせる
ときどき痛くて
たびたびくすぐったくて
ちょくちょく嘘で
....
夜空の色彩
輝く星々が
空に溶けていく
それが、“消えた”ということを
僕達は教えられずに生きていく
星達は、お空と一緒になったんだよ
僕のママはそう言っていた ....
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