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あなたが残して行ったもの
俳句を連ねた小さなノート
表紙がぼろぼろになった聖書
漱石の「虞美人草」と
若山牧水の歌集
壇の上の 薄い写真の中の
やわらかな微笑み
かつてあなた ....
しまわれている
音がする
きっとそこは
水が流れている
遠いところ
私たちの
さかなたちが
静かに息継ぎしてる
幅も奥行きも
高さも失ってしまったのに
それ以外 ....
かすんだ空よ
教えてください
僕の魂の片割れは
一体どこにあるのでしょう
始まりはネットの海の上だった
人恋しく漂流していた僕に
あなたはメッセージをくれたね
一回り以上年上なの ....
その横顔は
花びらのようでした
春風が、ふわり
いちまい
また、いちまいと
面影を其処此処に
舞い散らせます
花吹雪が、ゆるり
上になり
下になりながら
音階を柔らかく
....
戦後、日本の詩人が言葉にささげた努力のほとんどを、私たちは読むことができません。
図書館に行ってもあの高い本棚にふるえてしまい読むことができません。
インターネットですら例外ではありません。
....
朽ちた木屑のかさなりを
踏みふみ
つづら登る春の里山
行く先々を導くように
萌える山吹
ふとした足元に
大人しくうつむく
鈴蘭の白、きみどり
ひとつひとつの
光りの具合を確かめる ....
幸せを求めている
それが何なのか
わからないままに
爪を立てないようお気に入りのレギンスを下ろしながら
一瞬の冷たさに身震いなんかして
いまどき珍しいよね
ウォシュレット付いていないなんてさ
ちろちろと可愛い音させるのも粋よねとは思いつ ....
唇は
春だった
柔らかくて
惨たらしかった
前髪は
夏だった
煩わしくて
あてどなかった
耳たぶは
秋だった
満ち足りて
素っ気なかった
鎖骨は
....
ついさっきまで
子供達に追っかけられながら
スポンジの棒でたたかれながら
やわらかく笑っていた
おっちゃんが
今
ぼくの前に対峙する
でっかい
でっかい
でっかすぎる
右に ....
冷んやりした部屋の
窓際に椅子を置いて座る
裸電球に照らされた
オレンジ色の壁に
魚の形の滲みが付いている
じっと見つめていると
風が梢を揺らす音に混じって
足音が聴こえてき ....
固い蕾が座っている
春の陽射しのなかで
凛として震えている
パッと咲けという人が
最近はとみに多くなったけれど
慌てなくてもいい
はずだ
じっくりと根を伸ばし
ゆっくりと綻んで ....
浅い眠りの飛び石づたいに
今日の岸辺にたどり着いた
非武装地帯の朝焼けは紫色
ただれた雲が東から順番に裏返る
もう少し痛みが和らいだら
着古した戦闘服を洗濯しよう
レンズ豆 ....
蒼天に浮かぶ美しき表現者
透き通る白
誰もが魅了され
とらえる者を許さない
その柔和な所作
それは不可解な感覚
その美しさは
比類無きもので無い
だが唯一つ
地上の人々を包む ....
1
水溶性の喧騒に混じり入る
マーブル状の
夜の鳴き声
脈が終わって、それでもなお
時は余る
2
疎林のまばらを
記憶で埋める
蔓はどこまでも
遠く伸び
驟雨 ....
泣かないと
決めた
約束守り
桜を見上げて
意地を張る
目が閉じそうよ。
油断したら眠っちゃう。
お嬢さま、おねむですか?
ええ。
それでは寝室へいきましょう。
うん。
疲れが溜まったんでしょう。ゆっくりおやすみにな ....
この両腕で抱き締めてきたもの
大事に大事に持ってきたもの
気がつけばみな鳩に変わって
飛び立ってしまった
あまりのあっけなさに
少し笑って、少し泣いた
はた、と立ち止まると
夢や ....
うつらとする瞼の外で
父が
少し待っていなさい、と
後部座席のドアを
勢い良く閉めて
私は
一人きりになった
車など
運転することはできないから
そこに居る意味など
無 ....
すなおになってしまいなさいよ、と
いうような事を
あなたは喋り続けているのだけれど
僕はそのどこで
愛想笑いをすればいいか
という事しか考えていない
見つけてしまえば楽にな ....
黒は一才
生温かい
混沌
の中で
暗闇
の綻びを
手繰り寄せる
青は二才
ヒモつきの
自由
の底で
意識
は成層圏を
突き破る
黄は三才
幸せな
惰性
の ....
この野郎、ピンポンダッシュしたろかな
マンションだと言われればそんな気もするアパートの角部屋
レースのカーテン越しに人の気配が行ったり来たり
どうやら生きてることは間違い無さそうだけど
....
髪を撫でた
わたしはあなたを支配する
やさしさを武器にねじ伏せる
ひとたび体を差し出して
されるがままにされてしまえば
ほんの少しの自由が得られる
けれども
代償を払い続けるのに
....
しめやかな午前 /
温まらないエンジン
背負い込んで
缶コーヒー中毒者の
重い足取り
煮え切らないナビ
ぶら下げて
揮発しそうな生活者の
白い排気ガス
走れ
せめて ....
T+74.130
Last radio signal from orbiter.{注*=Challenger timeline(UPI)}
切断された管をたなびかせながら
放物線を描いて ....
とおい秋に
実るものはなんだろう
わたしが実家の門を通るときに
ふと、かいだ
祖父が築いてきた
歴史のにおい
短いとも長いともつかない
毎朝はやく
仏壇に水をあげる、祖父
....
紡いでいく
で、あろう/はずの
ことば
と呼ばれたものは
意識、という
こころのざるで
ふるわれたのち
いつも
肝心なところだけを
失ってしまう
....
風の中で震えていた瞳
あの日突然奪ったくちびるを
二度と忘れはしない
美しい少女よ
一生分の愛を君に捧げよう
自分勝手な愛で
君を愛し続けることを許して欲しい
例え永遠にこの ....
そうゆうんじゃない
肌に頬を押しあてて
脈打つ血の
ほんとうの色が浮き出すのを待ちながら
したい理由をききたい
耳もとで
吐く息にまぎれ込ませて
「どうして…?」とききたい
衝動にもゆ ....
君は俺の事を好きといってくれたのに
俺は君の事を好きだといえなかった
君は何度も俺の名を呼んでくれたのに
俺は君の名を呼ぶ事を恥ずかしがった
でも一方で君は
ほかの人にも愛を求め
....
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