すべてのおすすめ
あなたが水草だった頃
わたしは産まれた
あなたは水草の味がした
ここにつどうすべてのいのちは
いのちをきょうゆうしている
だから
それをざんこくなどとおもわないでおくれ
あなたは ....
夢の尾はいつだって手からすべりはなれてゆく
そして明けて
朝、
つかみそこねた少し乾いたその手触りを思い出している
どんなにこごえても
血液は凍らないやさしい不思議だとか
たとえ凍ったとし ....
わたしにふれてと誘う水銀のふれればおかされてゆく毒
水の系譜もとをたどってゆく指先で、彗星ながれる
熱の朝水銀のメモリゆっくりと伸びてゆく儀式、生殖
だれとも手をつながないでどこへゆ ....
夜の粒が
とけだしてゆく
空の底は
うすむらさき色にゆるみ
未来が滴らした
おれんぢが
静かに攪拌されてゆく
ここは
宇宙の果てなのだ
あるいは
巨大なグラスに注がれた
....
じゃりじゃりになっている
蜜のあわれを
さじで救い取る
瓶の中で
結晶になった
白い彼女はきれぎれになり
焼かれたパンの熱でそれは
ふたたび脆弱に溶かされてゆく
朝の甘い官能
....
古い本を開いたら
あったはずの文字が
ところどころ喰われていた
くいしんぼうの羊のやつめ
紙より文字が好きときている
古いインクは美味らしい
いい具合に熟成していて
ひと噛みすれば口 ....
待つということは
ときに苦痛をともなう
その時間を
固いベンチで過ごすのならば
背中は痛むし
柔らかなベッドの上だとて
安らかともいかない
点滴につながれた腕は夢の中でも痛むからだ
....
ひきちぎられたこころたちが
あきのてんじょうを
およいでいる
うめつくされて
ひしめいている
ちいさないきもののように
おびえながら
むれている
ねてもさめても
どこへにげて ....
虫の音は過去から届くメッセージ紐解きながら浅い夢みる
つかめばするりと逃げてゆくとかげのしっぽに似た夜だ
まだら雲見ている猫の背中にもまだら雲がひとつぽっかり
朝起きて歯医者の予約を ....
おそらくもう夏は行ってしまったのに
夕刻になると
埋葬されない蝉がうたう
取り残されるということは
ひとつぶの砂のような心地
苦いさみしさだろう
――さいごの一匹になりたくないのです
生 ....
左手にヘアアイロン、右手にスマホ。高校生の娘は朝の忙しい時にも、そんな習慣を欠かさない。前髪がそんなに重要なのか、ラインでどんな大切なメッセージがあるのか、聞きたいところだが、朝から言い合いたくない ....
夏のあいだ僕らは
危うさと確かさの波間で
無数のクリックを繰り返し
細胞分裂にいそしみ
新学期をむかえるころ
あたらしい僕らになった
けれど
ちっぽけなこの教室の
ひなたと本の匂いとザ ....
かつて まつげに
マッチ三本載せてみせた
少女は
そこへ
小さな蒲萄を
たわわに実らせたという
おとぎ話は
完結してからのほうが
むしろ真実だったりする
まばたきのたびに
....
かなしみのほうに
かたむいていく白い朝は
つかみそこなった
ひなたちが
さかみちを
ころがりおちてゆく
いきさきは
とおい御国か
秋という字の
右耳に
火がともっている
....
放課後、中学校の西向きの図書室には、まぶしいばかりの光が降り注いでいた。
全校六百人ほどの生徒の中で、読書なんて今時流行らない趣味を持つ人は、おそらく少数派だ。調べ物ならパソコンで事足りるし ....
わたしたちが集めていたのは
瓶ビールのふただった
父の晩酌のたびにそれは
どちらかの手に入る
栓抜きでこじ開けられた痕は
同じ方向にひしゃげて
それは何かを証明するように
ひとつ ....
やや黄味を帯びつつ光る宝石が恋しい海を呼んでます、ほら
台風のあとの野原の美しさ触れればくずれ珠の水々
絹糸でつながれた白玉の一番端にわたしをくくる
宝石箱のいくつかはイミテーション ....
自分という存在が、絶対的にひとりだと、気づいたのはおそらく子どもだった頃と思う。
なんでもない日の、なんでもない朝。赤いランドセルを背負い、竹で出来た定規をそのふたの隙間からのぞかせていた、小学校へ ....
あみ戸をほんの少しだけ開けておく。
すかさず外にいる犬がやってきて、
そのすきまのそばで入りたそうにしている。
すきまを少し広げる。
あたまがひっかかる。
犬はあきらめる。
ネコなら手で開 ....
発火する手前で
なんとか世界は持ちこたえている
そんな暑さだ
空へのばした緑の手は
もはや力なく横たわり
おそらく
何もつかめないまま
花さえ咲かすことのないまま
明日には
残骸 ....
もうひとり私の中にいるやつが決まっておまえと呼ぶ近場から
もし薔薇に棘がなければ退屈だ死にそうなほどでないにはしても
おそらくは見えないだけで居るこども「ほら自動ドアちゃんと開いたよ」
....
枝から青くふくらんだ
健やかなる実をはずす
茶色いしみのようでいて
何かを主張している風の
そんな模様を持つ実は
捨てた
捨てたあと
なぜかもう一度この手に取り戻し
親指と人さし指 ....
神様が作った骨の成り立ちを考えれば
猫背であることはとても自然な成り行きであるのだけど
猫背である自分をウインドウ越しにうっかり見てしまえば
あんまり素敵じゃなくて
ちょっとだけ無理をして背中 ....
冷たい窓ガラスに
一匹のヤモリがいた
わたしとヤモリは
互いの存在を
ほんの一瞬で認め合う
空気がほんの少しだけ
動いた気がした
目が合ったのだよ
確かに
あの時
人間と虫
....
{引用=お隣りさんから伸びている皐月の枝に腹を立てて
お父さん、チェーンソーで切ったのよ
根元から
}
母の愚痴のほぼ全ては父のことで占められているから
電話はいつも父への悪口で終わるの ....
夕方にややふくらんだ足があり人も満ちて夜をむかえる
それぞれの耳にはそれぞれの音あてがわれてイヤフォンの白い線
半分にきっちり分けること出来てやっぱり冷たいアイスモナカ
飛び立ったば ....
蒸発しそこなった昨日の雨は
道路の上で
小さな鏡になり
今日を映している
赤犬がうわずみを飲むたびに
現れるさざ波は
やがて左岸に消える
わたしは
人生において しそこなったことの
....
空をゆく鳥が止まっているのじゃないかって
思う時
あるよね
そんな言葉で恋が始まることもある
わたしたちが本当に見ていたのは
鳥でも
雲でも
小刀のような銀の波濤でも
ウインドサー ....
ヤクルトを飲んだあと
必ず底に残るものが
輪となり現れる
どういうわけか
そんなつまらぬものが目につき
飲み干してやろうと
舌の上で
容器をさかさまにして
振ってみたりする
ほん ....
人が奥歯を噛み締める時はどういう時だろう。
何か重いものを持つ時とか、野球でバットを振る時とか、一瞬に自分のありたけの力を込める時とか。
もしくは、口に出来ないような怒りに対して耐えるほかない時と ....
あおい満月さんのそらの珊瑚さんおすすめリスト
(140)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
水草と魚
-
そらの珊 ...
自由詩
18+
15-11-15
ノースバウンド
-
そらの珊 ...
自由詩
20
15-10-31
第12族元素より
-
そらの珊 ...
短歌
12*
15-10-22
リキュールな朝
-
そらの珊 ...
自由詩
16*
15-10-22
冬のはちみつ
-
そらの珊 ...
自由詩
20*
15-10-15
羊とともに眠る夜
-
そらの珊 ...
自由詩
14
15-10-11
死を待ちながら
-
そらの珊 ...
自由詩
15*
15-10-5
不慮の詩
-
そらの珊 ...
自由詩
21+*
15-10-1
秋のあをぞら
-
そらの珊 ...
短歌
10
15-9-11
秋のゆびさき
-
そらの珊 ...
自由詩
15
15-9-9
こらえれば海路の日和あり
-
そらの珊 ...
散文(批評 ...
8
15-9-4
コピーアンドペーストエンド
-
そらの珊 ...
自由詩
23*
15-9-2
まつげに盛られたファンタジー(或いはモナリザの微笑み)
-
そらの珊 ...
自由詩
15*
15-8-31
おとづれ
-
そらの珊 ...
自由詩
16*
15-8-28
【驟雨】志なかばでお亡くなりになられた松山椋さんへ
-
そらの珊 ...
散文(批評 ...
6*
15-8-26
耳さらい
-
そらの珊 ...
自由詩
19*
15-8-23
真珠のうた
-
そらの珊 ...
短歌
9*
15-8-22
夜更けの紙相撲・静かなお盆
-
そらの珊 ...
散文(批評 ...
10*
15-8-18
夏休みの日記より。
-
そらの珊 ...
自由詩
17*
15-8-14
炎天
-
そらの珊 ...
自由詩
19
15-8-12
ブルームーンかと思ったら意外と普通に満月でした
-
そらの珊 ...
短歌
11
15-7-31
キッチン
-
そらの珊 ...
自由詩
18
15-7-18
猫背考
-
そらの珊 ...
自由詩
19
15-7-4
跳躍
-
そらの珊 ...
自由詩
17*
15-6-29
チェーンソー
-
そらの珊 ...
自由詩
15*
15-6-24
水の月
-
そらの珊 ...
短歌
9
15-6-21
紫陽花の季節
-
そらの珊 ...
自由詩
13
15-6-20
由比ガ浜叙景
-
そらの珊 ...
自由詩
19
15-6-18
底
-
そらの珊 ...
自由詩
15*
15-6-15
夜更けの紙相撲・6月4日むしば予防ディ
-
そらの珊 ...
散文(批評 ...
10*
15-6-11
1
2
3
4
5
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