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雨が降ったあとだけ
わたしは
この世に生まれます

黒い空から
産み落とされたというのに
見上げれば
 ――おもいわずらうことなど最初からなかったように
 ――おもいわずらうことは誰で ....
ひと押し
ふた押し
み押しするたびに
深いところから
吸い上げられてくる
手応えがあって
ほとばしる
夏でも冷たい水、水、水

水という命を手に入れるために
用意された
一連の単 ....
小さな靴の愛おしさを
ときおりこうして取り出してみる
小さな足はもう消えてしまったけれど

バーゲンセールは年々前倒しにやってくる
梅雨が明けてもいないうち
夏服には割引の赤いタグがつけら ....
ちゅんとしか
啼けないでなく
ちゅんとしか
啼かない

くちばしの
下にある
君の発音器官が
そう決めたから

多くの言葉を持つ人は
たくさんの選択肢を持つけれど
ほんとうに伝 ....
とても
とほうもなくとても
すてきな小説を読んだ夜
手放してしまうのが惜しくて
胸のなかで
それを抱きしめつつ眠れば
冬由来のゼラチンは
純粋な水によって
隅々までふやけ

迎えた ....
金属製の留め金は
時折きしむ

わたしを
ここに
留めておくもの
家族とか
四季咲きの薔薇だとか
増えていくばかりの本棚とか
愛すべきものたちばかりなのに

長雨のあと
造成地 ....
土砂降りの雨のなかを
蚊柱が
狂ったように うごめいていた

誰かが
地上の火を
消そうと
とてつもなく
大きなバケツをかたっぱしなから
ひっくり返している

抗えないものをか ....
ことがら は 昨日の記憶

そばがら は 今夜の枕のなかで

ひとがら を 朝のヒカリで描きこむ

うまれたての雛のあたまに
残された
一片の から

どこからと問うこともせず
 ....
沸騰させた水が
マグカップの中で
常温を目指している

まだ
ひりつく
くちびるに
おそらくとても
優しく
同化していくことだろう

情熱だとか
とがりだとか
叫びだとか
 ....
この雨が四十一度であったなら裸にシャボン蛙はうだる

いたるところにまち針をしるしておけば明日はそこから

淡い虹ふりむけばもう消え失せてことごとく逝く春も逝く

下敷きに静電気下書きに尖 ....
よそへいくための服は
襟のレエスがまぶしくて
びろうどのスカートが重くて
ぴったりしずぎてきゅうくつで
母さんが
帰宅するやいなや
着替えさせてくれるとき
ほっとして
わたしは
すこ ....
いやさなくて
いいよと
それはいう

かなしみは
いやされることなど
のぞんでやいないさと
筆先でなでていく

涙の成分は
瞳に必要なものだという

いわさきちひろの描く
こ ....
さあ、どうぞと皿が私に差し出される
その上にきれいに盛られている
とてもいい匂いのする料理は
食べやすいように切り分けられている
中には苦いものもあるけれど
健康でいたいでしょう?
それを ....
誕生日に
どこへも行かなかった
髪をくしけずらなかった
うねるにまかせた
口紅をぬらなかった
洗いざらしにしておいた
たいていの人がしみだと呼ぶ
頬にちらした点々を数えた
  (およし ....
よくばりになると
しあわせは逃げていく
くらべると
しあわせは逃げていく
おいかけると
しあわせは逃げていく

手の届かない
遠いところへ
逃げていってしまったと
思っていたら
 ....
空から落ちてくるものたちで
世界が成り立つとしたならば

わたしたちはみな一部なのだ

遠い昔
かたわれを探し歩いた
海に続くこの道に
冷たい魂が落ちてくる
やっと逢えたと思ったら
 ....
どこにも代わりのない
私だけの詩を描いてみたい
心のなかのもやもやがそう言う

私という存在が唯一無二のものならば
出てくる言葉もそうであるべきなのではないか
そうではないということは
 ....
最後の猫が死んだ
冬の夜に

耐え切れなかったのだ
冬の孤独に

私は春の真似事をして紙吹雪でとむらう
おまえにみせてやりたかったよ

桜が舞う空を
せめてこの世の美しい絵空事を
 ....
ふりだしはかろやかにはじまる

 雫が落ちてきた
 まどろんだ鼓膜の扉をたたく音
 あれは雨の歌
 いたづらに
 たのしげに
 むてっぽうに
 今日というちっぽけな空洞を響かせる

 ....
雨上がりの朝 音楽会は終わり あたりは拍手のように光っていた

──終演

濡れた落ち葉は閉じられた楽譜 土に還る日を待つのだろう

    ──静謐

鳥は何の疑問もなく冬へと向かう ....
夜汽車の音を聴きにいく
眠れぬ夜のなぐさめに

長く尾をひく汽笛
行く人のさよならのように

旅のゆくえを指し示す
線路のむこうは闇に溶けている

行かない者のさみしさを
私はぼん ....
春に生まれた掌が
今 燃えている
血管に赤い血をめぐらせて

秋の沸点はとても低い

燃え尽きたあと
何もつかめないまま
地に落ちる たったひとつの
例外もなく
執着もなく
燃え ....
海に心を映してみれば
おんなじだよと
波がいう
満ち足りぬ
満ち足りる
くりかえす 
やさしい
さざ波
消えた家族のその後は誰も知らない
あのあたりの地主だったという 長男が
次々とこさえた借金を返済するために
土地を売り飛ばし とうとう最後は自宅まで
手放したらしい

跡地にはマンションが ....
わたしのなかに泣き女が棲んでいる
彼女はただ静寂なかなしみだけの世界にいる
声も持たずに泣いている
泣くという行為が彼女の全てであるように
花よ、咲くなと泣いている
花が、咲いたと泣いている ....
晴れた日曜日に車を走らせれば
道々に白いけむりが立ちのぼっている
枯葉を燃やしても
人を燃やしても
家を燃やしても
出せなかった手紙を燃やしても
その煙の色は白い
かたち在るものは
燃 ....
赤ちゃんをあやす
なんとか
笑わそうとして
百面相など
繰り広げる

赤ちゃんが笑えば
私も笑う
私は赤ちゃんにあやされている

【あやされる】とは
どういうことだろう
ココロ ....
家を出る時に
ちらほらと
降り出した雪が
そう時間をおかないうちに
吹雪いてきた

三月もなかばだというのに

フロントガラスに
積もってゆく雪を
ワイパーでどける

ラジオか ....
腹をすかせた人に
必要なのは
おにぎりであろう
一篇の詩など
あったところで
なんの役にも立たないのだ

心に空洞をもつ人に
必要なのは
一篇の詩であろう
おにぎりのように
それ ....
赤ちゃんは
眼が見えるようになると
まず
人の顔を認識するらしい
丸の中にふたつの小さな丸があったら
それだけで顔だとして
笑いかけるように
出来ているらしい
そうすることで
世界は ....
あおい満月さんのそらの珊瑚さんおすすめリスト(140)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
水たまりのひとりごと_【詩サークル群青_六月の課題『水』への ...- そらの珊 ...自由詩15*14-7-8
古井戸__【詩サークル群青_六月の課題『水』への提出作品】- そらの珊 ...自由詩14*14-7-7
バーゲンセール- そらの珊 ...自由詩2014-7-3
はずれくじひいたみたいなすかすかのオレンジを憎んでみたりする ...- そらの珊 ...自由詩21+14-6-23
陰翳- そらの珊 ...自由詩2314-6-14
とめがね- そらの珊 ...自由詩13*14-6-13
蚊柱- そらの珊 ...自由詩18*14-6-10
から- そらの珊 ...自由詩26*14-6-5
常温- そらの珊 ...自由詩23*14-5-30
パーソナルレイン- そらの珊 ...短歌9*14-5-26
よそいき- そらの珊 ...自由詩22*14-5-26
水彩- そらの珊 ...自由詩22*14-5-24
差し出された皿- そらの珊 ...自由詩23*14-5-20
そばかす- そらの珊 ...自由詩20*14-5-15
しあわせ- そらの珊 ...自由詩2612-12-23
はつゆき- そらの珊 ...自由詩1512-12-8
アルビノ- そらの珊 ...自由詩17*12-11-29
絵空事- そらの珊 ...自由詩1712-11-23
雨粒- そらの珊 ...自由詩1212-11-20
冬鳥- そらの珊 ...自由詩2012-11-15
夜汽車- そらの珊 ...自由詩1912-11-13
- そらの珊 ...自由詩23*12-11-9
さざ波- そらの珊 ...自由詩1912-11-8
消息- そらの珊 ...自由詩1212-11-7
泣き女- そらの珊 ...自由詩1612-11-6
白いけむり- そらの珊 ...自由詩14*12-11-5
あやとり- そらの珊 ...自由詩17*12-4-21
春の雪- そらの珊 ...自由詩1612-3-13
Life- そらの珊 ...自由詩2112-3-4
- そらの珊 ...自由詩19*12-3-1

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