喧騒のなか
細い雨のメロディ
梢にしがみついて
姿を変えてみる
みんな
どこへ向かうのだろう
遠い、稜線をこえて
あしたも、あさっても
きゅうに
手をつなぎたくなって
あなたの ....
バスをおりて
はしをあるいて
ははとわたる
なぜかは
おぼえてないけど
たしか
こうじかなにかだった
はしをわたると
またバスにのって
となりまちへいった
....
忘れかけている遠い記憶のあの子
白いワンピースがお気に入りだった
生まれつき色素が薄かったようで
肌は陶器のようにつるりと白く
髪は太陽に透けるような茶色だった
大人は口をそろえて
....
光の跡を指で辿って
途切れては、また
切なる時間の中にいる
瞬きに願いを乗せることもなく
水面に寄り添うのは
想いが透き通るから
清水に耳を傾けるのは
貴方の声を ....
水槽の底の
薄く撒かれた石床を
胸に抱えたまま
いつまでも
眠りにたどりつけない
硝子の鏡面に映る
瞳の奥、の奥
私は
銀色のマトリョーシカを
組み立てる
+
あなた ....
どとうのようにフル雨の音に背を向けてぼーっとしていると 伽羅伽羅とアルミの手すりに言葉がぶつかって鳴いてる音だったりした 胃下垂の胃にはすべてが重たすぎてひっかからないまま落ち ....
私はいつになく 私であった。
ぽっつり、と何者かが着地した
灯るように暗く冷え切った脳裡に
明滅する、えたいの知れぬ
記憶でみたされた浴槽に身を沈めれば
水平線で限られた空の
青い深さ ....
わたしの中の真昼の闇
闇の中の狼の虹彩
虹彩の中のおまえの影
ふるえている
耐え切れない心を
掻き毟るための
1/4拍子を宿した指先
どうかわたしの爪を切っ ....
骨のような夏が街におりてくる
空はまぶしすぎて暗示しない
目を細めて輪郭や影を
確かな物にしようとしているだけで
湿った風は川からあがってくる潮の香りがする
どこか遠いところまでいつ ....
空の背中に
茜色の翼が生えて
夜が終わる
オーケストラの余韻のように
薄れゆく星たち
ああおはよう
今朝のミルクはいつもより冷えて
そんなことが
秋へと読み進むセンテンス
明 ....
雨の日の電車はさながら異空間である
外からは紫色の魚がプランクトンをつつくように群れ
中には放心状態になったぼやけた人々がずぶ濡れになった四肢を
無言で時折ぶるりと震わしている
そんな静寂 ....
090611
○を書きなさいと言われて
ちびた鉛筆を取り上げる
年老いた今は
ダンガーバルブのように
安定した放電が望めない
ではなくて ....
扉が
壁になった
観音開きの合わせ目には一ミリの窪みもなく
錠前も、蝶番もなく
光も、ざわめきも、向こう側の気配はなく
ひた駆けてきたあなたの
汗と、一千万秒が
消散した その静寂で
....
世界には
寂しい男の数だけ
寂しい女がいて
哀しみを抱く人の数だけ
それを解する人がいる
誰も信じられぬ
人の数だけ
信ずるに値する人がいて
探している人の数だけ
幸福 ....
朝の庭は
淡い彩り
甘い匂いを
ほのかな空に
夢見る花は
微風に揺れ
ふわり
ゆらり
羽ばたいて
蝶よ
....
6月4日AM0時05分
玄関の鍵をあけ、
わたしを窮屈な女に閉じこめている
ストッキングを脱ぐときが楽園。
爪をひっかけて伝線、
1回500円の過ちにイライラする。
....
そこそこの底にはいつも君がいて
そこそこの底ではいつも雨
そこそこの底の君が濡れないように
そこそこの底までおおう傘をひろげる
闇にも鮮やかな黄色い傘に
金の糸で縫いつけた心星が
そこ ....
私はおんな
毎日のお天気が気になる
紫外線にお洗濯
毎日のお天気とも闘う
私はおんな
キラキラしたものが大好き
可愛いものも大好き
だから自分が一番好きで
一番嫌い
....
スライドする
月が笑う
夜の窓辺
憂鬱を孕んだ
胸が冷える鼻先
わたしはわたしの行方を
ポケットに押し込んだまま
吸い込まれる
終電の渦
たった1mgの錠剤で
繋ぎ ....
夏祭りですくった金魚は
10年以上経った今でも元気で
水槽の中を気ままに揺らぎ
ときどき思い出したように
視線を合わせてくる
特に感情は見受けられない
小さな家の小さな水中で泳ぐお ....
心地よい浮力を感じながら
どこまでも流され続けようと覚悟する
その心意気だけで日々を過ごし
世界を変えようとしている
隠れたセオリーを白日の元へ引きずり出す
幸せに繋がる/がらない/のか ....
そらまめ そらまめ
ぎゅっと つまってる 大地のちから
ぎゅぎゅっと つまってる パパの汗
ぎゅうぎゅう つまってる ママの愛
ぎゅうっと ....
人の子たちは時間をうまくやり繰りして
表側を重ねるだけのヨーグルト(乳清だらけ)になってしまったね 昼間から
ほのかに腐った匂いにときめけ すぐに腹を下せ
ば
酔いから醒める 体脂肪も減る
....
湖面にさざ波が立って
透明な魚がうまれた
それは夏の風
開け放した窓に
大群となって飛び込んでくる
君は薄い身体を持つ
果物をひときれ口に入れる
今朝もあまり食べないんだね
病んで ....
電車はもう乗り終えた
飴の袋もからっぽ
歩き出す
足元の道はごつごつしている
日の光は花や木にばかり当たっている
ような気がする
水が飲みたい
と思った矢先に
湧き水の立て札
山深く ....
私は、生かされている
豆腐に
ほうれん草に
魚に
豚に
金色に輝く麦に
鳥に
卵の未来に
これらの死に
そうして、闇と光と水に。
私は、「生きている」
自分の意志で
....
090429
バナナの実をもいで
大人たちが笑う
バナナは
食べられても
痛くない振りをしている
南国の
強烈な太陽で
鍛えられているのだ
....
群青をひとつ、ひとつ
飽きるまで数えてみる
雨上がりの夜
余計なものは流れてしまい
ぴんと張り詰めた大気
群青
水際を囲うように
涼やかにひらひらと
色を落とすあやめ達
群青 ....
君が僕に嘘をついた
僕は気づかぬふりをして
騙されていてあげよう
それでも僕は君を信じる
君を信じる
君が僕を裏切ったなら
それには
きっと理由があって
君には必要なことなんだ
....
{引用=
明日生まれる予定です
あなたが生まれる予定です
わたしも生まれる予定です
多分息する予定です
胎内は塩辛くどうにもこうにもいけません
早々、外に出られるわけでもないの ....
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