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私はいつになく 私であった。
ぽっつり、と何者かが着地した
灯るように暗く冷え切った脳裡に
明滅する、えたいの知れぬ
記憶でみたされた浴槽に身を沈めれば
水平線で限られた空の
青い深さ ....
私は、生かされている
豆腐に
ほうれん草に
魚に
豚に
金色に輝く麦に
鳥に
卵の未来に
これらの死に
そうして、闇と光と水に。
私は、「生きている」
自分の意志で
....
ほの暗い
雲のもとでたたずみ
空をつかむ
透けている火影姿のこぶしから 零れる灰が
無風地帯へかえってゆき
つかみとおすこぶしは
遠い声にもほどかれることはなく
透明 ....