私が
景色を切り取って綺麗にうたおうとしている朝に
母と祖母が冷たい戦争をしていた
庭では 冬支度がすすんでいた
家の中の空気と 外の空気が
同じぐらいの温度の朝だった

無言とは
ひ ....
好きなものを嫌いになろうとしながら
他に脱出法がないのかと考えてみる
しかしあくまでそれに固執することで
鎖が外れるのではという可能性も信じている
損得勘定に身を委ねてみたいのに
犯人が残し ....
木枯らしがからからと乾いた音を立てる
あらゆるものの輪郭がくっきりと描かれ
移り変わる季節への感傷に浸りたいのに
冷えた手は無意識のうちに摩擦を起こし
細胞の根元から発信される欲求を満たそうと ....
 
 
アメリカを好んだ
わたしから
アメリカを除くと
わたしだけが残った
アメリカが
わたしなのではなかった
フロリダも
シスコも
ロスも
わたしが好む何かではなくて
それは ....
セックスがまだ下手糞だったころの話をしようか。

学校帰りには毎日本屋に寄って
ゲーム週刊誌から現代小説まで立ち読みした。
田舎だったあの町には
本屋くらいしか暇を潰す場所がなかった。
町 ....
支配される
夜で
寝床で
ハロゲン灯の橙の中に
うずもれて
心臓のかたちをからだじゅうで描く
まぶたを閉じて
息を受け
からだじゅうで
泣く

いつも
おいてゆかれる心がまえを ....
喉の長さを意識するようになったのは
最近 言葉がやけに痞{ルビ痞=つか}えるようになってきてからだ

喉といえば
喉越しのビールとか
ウソツイタラ針千本ノーマス
あるいは扁桃腺の痛みぐらい ....
雨が降り出して、どうしようもなく温い空気の中
親指の爪の赤い色が濡れていくのをじっと
見つめたままでいるのは、ただ一人きりの私で

傘なんて必要ないと
駆け出した姿を
ガラス窓の向こうで見 ....
珈琲の苦さを知ってから
あなたの良さがわかった気がする

恋というのと
終わりというのと
美しいというのと
並ぶようで並ばないんだ

時折り衝動的に泣きたくなる
お気に入りの ....
軽やかな部屋
羽ばたくように
真鍮の鈍い光の反射

中空にあるのは
現世から浮かびあがろうと
何ものにも縛られたくないと
軽やかな意識で瞑想したいと
でも思っているのか

未熟なま ....
朝目覚めて口のなか乾いているのは
どうやら鼻の具合悪いかららしい
それとも流行の風邪でも引いてしまったのかな

人知れず鼾とかかいていたりして

人知れずってのはいかにも寂しいな
鼾うる ....
週末の三条大橋はちょっとしたお祭りだ
駅から出てくる人と駅に向かう人
遊びに繰り出す人と帰宅途中の人
お酒や香水のにおいが混じりあい
鴨川では小さなジャズライブが行われている


駅に向 ....
ここにいれば安全なのです
ここを出なくても 生きていける
そう、それならば…

違うのです
知っているのですから、外界の情報は、
過多になりすぎるほどに 手に余るほどに
だったら ....
「秋の夜は果てしなく長いのだから」と
あなたは言って
舳先の行く手を確かめながらゆっくりと櫂をこぐ

  おとこのひとに体を許す

例え今夜がはじめてではないにしても
月明かりは艶かしく ....
世界を捉え直すために
空を飛ぶ

風を感じる先に開けた風景は
僕を何処に導こうとするのか

星が綺麗だ
どこまでも視線を遠く投げて
どこまでも行くことができる気になっている

なく ....
君は悪魔
太陽に照らされて君の髪の毛ふわふわきらきら光って
美しさに泣きたくなる
泣きたくなるんだよ
でもラファエロ、私もう秘密を隠しておけない
太陽と夜の秘密にバイバイ


あなたは ....
まほらの幻影を見て
自我を誰かに押し付けて
僕は僕に酔うのです


君が僕を裏切ることも
許容範囲内だったはずなのに
ひとりぼっちになることも
覚悟していたはずなのに


突きつ ....
雨を乞うて
孤独を満たすの
暗闇に押し黙った私には
この空はあんまりにも
明るすぎる

最近貴方の口から
愛しているが聞こえない
不安定な二人の関係
とても曖昧で
このままじゃ悲し ....
さやかで悲しい朝なのに

夏の匂いをかぎました

感謝でむせぶ朝なのに

黒いこころもありました


ひとのこころはどうも遠くて

応酬ばかりのありさまでした


さやかで ....
中途半端な
自分自身のため息に
なんだかわらえた
正午まえ

背中の窓に
耳をすませば
いそがしそうな
鳥のこえ

わたしは
いっそう可笑しくなって
シャツのボタンを
 ....
きりとる窓の
昨日は堕ちて、今日へ辿り着く
限りある空をつかむ 手のひらに押し上げれば 
さやかなる 密な水にみたされた聖域の{ルビ室=むろ}
消毒液の洗礼に息づく朝が やってくる
 ....
昔から
隅に居るような子供だったので
かくれんぼでは
何時も鬼をやらされた
両腕で眼を覆って
だけど
じゅう数えるまでは
どうしても待てない

いち、に、もういいかい

すぐ振り返ってしまう
隠れ ....
安っぽいネックレスに
ラズベリーの色がしみついて
ドライブの途中
夜明けを待たずに
海へ着いてしまうよ
ハイウェイの甘いライトは
ちょっと刹那的だよね
レコードの針が折れちゃった ....
熱い光はただ重なって
そっと重ねられて


渋滞した道でせわしなく鳴るクラクションも
軽やかに散歩する犬の太くて短い声も
光に飲み込まれてかき混ぜられて
珈琲に落としたミルクみたいにぐる ....
目には目を、歯には歯を、

このハンムラビ法典の言葉は

復讐法だとか拡大報復の戒めだとか

そんなふうに言われてはいるけれど

この言葉の連なりに

私はひとの悲しみを感じるのだ ....
ここに一脚の椅子があって

それは懐かしいにおいのする木製の小さな椅子
小学校の教室にあるような椅子
揺らすとかたかた音がした

そんな椅子にあなたは腰かけている
手には一冊の詩集
マ ....
影に追われながら月を追います
切り絵のような林の向こう
夜空の手鏡に手をのばし
まぶしさの向こうに空蝉をさがすと
指先にしがみつき
掴み取るとカサカサと砕ける
乾いた血のような残照の地平で ....
深夜、裸、横たわったまま
きみに電話をかけられるので
わたしは科学に感謝するが
その超軽量・収載辞書数世界一の
電子辞書は捨てなさい
わたしは高度を欲しない
ベル音は
ベルが発明した瞬間 ....
ねじが切れると
メロディは
ゆっくり
終わりを
始める

それは
寂しいけれど
唐突ではないあたりが
優しくて
たぶん
わたしの一生も
こんなふうに
終わりを始めるの ....
わたしの中は

内臓とか
血とか
脂肪とかじゃなくて

海 が広がってるんだと思う



わたしの泣き虫のレベルは
ランクをつけるならAAAだ

本を読んでは泣き
曲を聞い ....
百瀬朝子さんのおすすめリスト(197)
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めぐり会うひと- 恋月 ぴ ...自由詩19*09-9-28
世界を捉え直すために- kauz ...自由詩7*09-9-28
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