私たちは小さなものであり
小さなものであることの上に
居座っていた
当然のような顔をして指をなめ
ずるがしこい風を読み
来た道を戻っては
前と同じような幼い顔をしてみせた
そうして世界は ....
電話のあなたの声がしゅるしゅるとしぼんでゆく
タイムリミットは15分

「ウルトラマンのカラータイマーみたいね」

3分の5倍あると思っても
沈んでいくあなたを掬いあげられないまま
電話 ....
たまゆらたまたまたさきのひかるたまをたくしあげわたくしたくされたまままま
とごのまねごとのようなまやかしをまのあたりにしましたのよまままごつきまい
たたねもたらちねのははもたびたびだいたたまごのゆ ....
海に刺されたその日
雲は裏切り
風は行き過ぎた

生意気な
月が笑うた次の日
一緒になって笑う
星達が


  いい加減
  頭にきたので
  砂を
  生贄とした


 ....
私には
鉄が足りないようだ
あらゆる物には
磁石が内臓されているのだが
微量の鉄を
引き付けるほどの磁力は稀なのだ

動脈血のような西の空を見ると
私は逆方向に飛ばされ
光沢のある少 ....
緑の色腐れていく
食事に混じった泥に気づかないでいる
彼女が飛べると言った日から
俺はずっと彼女の街の上で
ぐるぐる回っている
意味のねーことさ
気持ちの悪いことさ
彼女が飛べると言 ....
虫が
蛍光灯の光を求めて
スパイラルに昇ってゆく初夏

おれと
おまえは
ひまわりの
双葉になる

みずいろに
蛍が
ゆらいでいる
今日
トーキョー
川のようなもの
手のひらに残ったすれ違う人の一片
  あれが私たちの足跡の塊
    掴もうとしなかっただけ、なんて
    強がりの溶けた夕暮れの音


誰かが落としたぶ ....
目覚めのひと呼吸が
かなしかった日は
ふい、と
砂漠に連れて行かれるようだ


そこは盛り上がった砂地/育ちかけたトマト/の/墓標が整列/黄色い花が手向けられている/生ぬるい南風が/背中/ ....
認めなきゃ
じぶんより志しの低いひとに
誹謗中傷されようと
認めなきゃ
ぼくはその毒にやられてしまう
夜も寝れない口惜しい気持ち
そんなものを認めていても
ぼくはその毒にやられてしまうだ ....
体液の水たまりのなかでまだあたたかい動かない体を揺さぶって果てた
土を掘り埋めたあとでその上で何日も寝起きした
最初の三日は泣きそのうちの二日は雨だった
僕たちの関係はいったいなんだったのだろう ....
川はおびただしい死体の群れでおおいつくされて
おれたちは水に触れること無く向こう岸までたどり着くことができた
あまりにもまぶしすぎて影を無くしたまま
光を失ったコンビニエンスストアーの自動扉を手 ....
夏の縁側に腰かけて
入道雲が真っ青な空に湧き上がるのを
見ている

背後の部屋は暗くて
ひんやりとしていて

もらい物の生菓子を食べようと
手を伸ばした瞬間

チリリ

(一陣 ....
君がこの白地図を撫ぜたときに
世界が始まる気がしたんだ

ほんとさ。

悲しい幻に似た
鬱屈した午後の空気
燻ぶり始めた誰かの夢が
君の首筋を冷たく伝うときは


呼ぶといい
 ....
近すぎるよ
近すぎて、
世界ときみとの境界が曖昧だよ
私たちが細胞でできているように、
世界が私たちでできているのならば、
私たちはさっさと境界を捨ててしまおう
間違うなよ、
縁取ってい ....
禍々しく106ミリ無反動砲を六門装備した
巨大な蟹のようなM50オントスの装軌式車両が一台、
まったく人気のない夜の街を過ぎて
ビルに潜んだ甘い夢を殺しに、兵士たちは散った

すべての忌わし ....
番いの猫を見た、真昼の雨の中、二匹は体を寄せ合って、互いの毛並みを舐めあうように、お互いを確かめ合うように、彼らは存在した。短く、途切れ千切れて、俄に声が聞こえる。わたし達は繋がっている、いちばん下の .... 足首から透かして真っ青な血潮が猛るように遡ってくるのが、
みえるよ!
気付いていたかい?知っていたんだ、きみは!
今摂取した食物が喉を通って捻れ巻かれた管を通り越して、
降り注ぐことを!
 ....
夜汽車に揺られているということだ
どこかから離れて
どこかへ近づいていく
珈琲を飲み干しただけの私は
すでにさっきまでの場所にも居ない
どこにも居ないのに、ここにいる
誰かの居なくなったそ ....
人の子たちは時間をうまくやり繰りして
表側を重ねるだけのヨーグルト(乳清だらけ)になってしまったね 昼間から
ほのかに腐った匂いにときめけ すぐに腹を下せ

酔いから醒める 体脂肪も減る
 ....
世界地図を定規で測ると
あなたとわたしを遠ざける
この距離は五センチにも満たない

この地球には海があって
広い広いそのどこかに
憧れているあなたの町が
浮かんでいる

上空に照らす ....
私は三ツ矢サイダーやカルピスウォーターがのたまう青春に惑わされずに生きてきた。

それが甘いことに腹が立つからだ。

水に砂糖を混ぜるのは

テレビで人を騙すのと同じ

アンタはそれを ....
電車はもう乗り終えた
飴の袋もからっぽ
歩き出す
足元の道はごつごつしている
日の光は花や木にばかり当たっている
ような気がする
水が飲みたい
と思った矢先に
湧き水の立て札
山深く ....
事実を知ろうとしない者は、偽りにほろぶ。
と惑星が、述べる

言葉を
使用しているのに通じない
場合もある。
常に、とはいかないまでも
一言一句正確に発音しているのに、だ
私の内耳も
 ....
落ちた数を数えるよりも
水滴の生まれた場所が知りたかった

ささやき声も空気を振動させるような
ぎりぎり均衡を保っているこの小さな空間で
破裂する寸前の風船みたいな緊張感の中
今、きみが生 ....
     こころの 襞を はなれて
     この場所から は ただ 
     あわいひかりだけが
     みえています、




     ひかりは きみの頬を 
     嬲 ....
昼の太陽が
無神経に通り過ぎる
カーテンの隙間
シーツの影
あなたと遊んだ
思い出ばかり


どんなに柔らかな風が吹いたって
どんなに素晴らしい歌を聞いたって
何もない
情けない ....
 
春が死んでいた
花びらもない
あたたかな光もない
ゼニゴケの群生する
庭の片隅で

地軸の傾きと公転は
果てしなく続き
生きていく、ということは
傲慢な恥ずかしさの
小さな積 ....
半世紀も祈り続けて
鳩が太っていく
公園の木は
故郷から引き離された子供のように
ぽつん、ぽつんと育って

生きていこうとする力に
種類なんか無くて
他人の生き様を非難できない
太っ ....
 
 
海の匂いがする
わたしが産まれてきた
昔の日のように

テレビの画面には
男のものとも女のものともわからない
軟らかな性器が映し出され
母は台所の方で
ピチャピチャと
夕 ....
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