すべてのおすすめ
過ぎてゆく夜と
越えられない思いが
2人の間を揺らめいて
唇が熱を帯びるほどに
瞳が濡れてしまう
優しい言葉とはうらはらの
あなたの視線に焦がされてゆく私
動けなくて
言葉より ....
列車の窓が
長いネックレスのように煌き
横たわって走っている
街はもう影を落とさない夜更け
きみがほら、こころ震わす音楽を
あなたがほら、光り輝く宝箱を
見つけて、染めて、頬を ....
いつでもよみがえるし
いつでもそこにゆける
天体の運行は
まだ気象みたいに
崩れてないから
五年まえの金曜の夜
冬の星
こんな散らばり方してた
きみ ....
流れる水辺にあって、冬の光が
点っている。てらてらとここは
静か。見えないものに、触れた
ことのない。めくらの。薄く紅
挿す頬のあどけない。水掻きの
広く、長い指の掬えない。指間
指間から ....
あなたの前で
ぼくは溶け出す
ほんとうは
ほんとうは
こんなはずじゃ
なかったのに、
薄い膜に
包まれているから
遠くがよく見えない
ぼくが近づかなければ
あなたの顔は ....
そんなコト言われても、困る。
キミが納得できなくたってそれが答えなのだから。
ボクの言ってる事が伝わってないように、キミの言葉も伝わっていないんだよ。
誰もが皆、キミの話を受け入れてくれるワ ....
本をたたんで
ペンにキャップをつける
はさみをひらいて
つけねで指のあいだをぐりぐりとする
くつ下をつかんで
ゴミ箱に向かって
投げる
たばこを吸う
たばこを消す
少し眠りたいけ ....
こもれび/こもれび
紅く小さく南天の実
こもれび/こもれび
足元に散らばる団栗
うたっているのは ひばりか
うたっているのは すずめか
こもれび/こもれび
軽いハレーション
....
死んだらエサになってやるんだ、と幼稚園の本堂でお釈迦様へ向かって言ったんだった
もし、死んだら、あんなふうに焼かれないで箱のなかに囲まれないで
死んでまでひとに囲まれないで
大地に
....
そしてボクはさかなになった
流線型にふちどられ
いつまで続くかわからないうねりを眺め
光の乱反射を遠くに感じながら
このまま泳げたらいいなって
明日も明後日も
ずうっとずう ....
林の向こうに星が落ちた
遊びつかれたカラスが
西の方へ飛んで行った
あたりはワイン色になって
夕闇に沈んだ
遠くで一匹犬が鳴いた
町に人影がなくなった
青白い三日月がひとつ
水銀灯の上 ....
無鉄砲な人ほど
やさしい人はない
人を撃つことの
痛みを知ってるから
無鉄砲な人ほど
ひどい人はない
人を撃つことで
守ることができたのに
社会は答えを
ただのひとつさ ....
だれに愛されるわけでもなく
だれを愛するわけでもない
あなたはあなたのままでいて
わたしはわたしのままでいる
独り歩くということの
ゆき場も見えぬ哀しみの
....
まるまっこいカラッパ体型の蟹は
食べられなくなければ
食べられるのだろうか
毒なんて毒でさえなければ
自前のものなのか
エサからせっせと貯めこんだものなのか
こまやかな食物連鎖の中を
....
咳がふたつ
階段を上ってきた
夜の真ん中で
ぽつり
行き場を失ったそれは
猫の眠りさえ奪わず
突き当たった扉の
その向こうで
遠慮がちに消えていく
八十年余りを働いた生命 ....
泣きながら入った
ちっちゃな喫茶店
「お客様、ご注文は?」
「あたたかいものを、ひとつ」
「かしこまりました」
(ウェイターの顔が見えない)
彼からゆっくり手 ....
・
空が晴れていると
どこへ行ってもいいような気がして
ふらふらと遠出をしてしまいたくなる
そんな時はスーパーへ行って
掌にちょうどおさまるくらいの大きさの
果物をふたつ買って帰る
右と ....
ビーバップ・みのるが好きだ。
ビーバップ・みのるはAV監督だ。
ビーバップ・みのるはすこししゃくれている。
ビーバップ・みのるの声が好きだ。
ビーバップ・みのるはドMだから、
自分のしてほし ....
あなたに出会いたい
だまって真実だけみつめている あなたに出会いたい
玄関に かたい錠をかけたままの あなたに あいたい
あなたは だれの 姿もみようとはしないで
窓を ....
毎日尻の穴からぶりぶり汚いものを出している
ぶりぶり=うんこ
中学のとき初めて触った友達の電子辞書で
ちんこのついでにうんこを引くと
「うん」は息む音、「こ」は何だっけ
何かそういう風に ....
秋鮭って捨てるところ無いんだよね
骨や皮まで美味しくいただけるし
そんなこと話してみたら
「人生だって同じだよ」
あなたは秋鮭のルイベを美味しそうに頬張った
だと良いけどね
な ....
先生
今年も忙しさに思想が流されてしまう
そんな季節が来ましたね
あなたは貴婦人だったり豪傑な男の人だったり
駆けだしの幼い人だったり するのだけれど
先生は 忘れた頃に
夢枕にきりりとた ....
さかなの星空はいつも
境界線でゆらめくのです
星空を落ち葉がよこぎり
岸辺のすすきも
月明かりに
にじみながら手を振って
失ってしまったときに
ひとはさかなになる
月だってゆら ....
書くことが多すぎて彼女は手帳を黒く塗り潰してしまっている。目の前で起きていることを記さなければならないという気持ちに突き動かされて、あるがままをあるがままに写し取ろうとし過ぎている。対象に目を奪 ....
とてもしなやかに
折れ曲がる森があったので
そうではない多くの部分は昼と呼ぶことにしていた
迷い込めない、かくれられない、だからみんな怯えて
おびえるべきであって
きみが ....
セレモニーで祝福なんかされたって
嬉しかったかもしれない花束が
ずっとずっと枯れなくって
蜂がクラスにやってくる
沸き立つ窓際
なんだかんだとイェイイェーしている
爆弾つくりそうな ....
昼の月が
うすく広げた空に突き刺さって
鳥がはるか弧を描く
海には舟が帆を上げる季節
だけど二人して手を振るよ
ナイフを研いで
ランチョンマットの上で旅をする
私たちの恋ははじまったばか ....
第一楽章
ホ長調の音符引き連れた春が
草原に咲く
いつか播いた喜び
これから花開く出会い
朝靄去って
ピアノに向かっている君
....
{引用=
霜の匂いを纏って
母さんのおさがりのコートを着て
毛玉だらけの手袋で
髪にはすこし粉雪をつけて
息はぼんやり白くて
頬 ....
ゆく道がまわり道だったとして
いったい何を失うっていうの
ふえていくことがあっても
失うものなんてないじゃないか
ゆく道で傷ついたとして
いったい何を失う ....
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