(暗い、くらいと
ペットボトルを噛みつぶす響き)
クリック感の強い部分を
組み合わせて伝えようとする
瞬く、赤い
待機電灯の暗がりで
水槽のような
窓に浮かび上がるのは
存在 ....
腐った果実の名前を呼んで
食べてあげることはもうできなくて
名前を呼ぶことくらいしかできないけれども
だから せめて
大きな声で
腐った果実の名前を呼んで
もぎたての頃を思い出す
真 ....
最近空を見たんだけども、いくつもの、ちらちら光るモノを久しぶりに見たよ
それらは俺の見ていない時間でも、ずっと光っているらしい
そんなこと、そんな素敵なことを、信じられるわけねーだろ
....
その笑顔
うつり
しんとうし
あたたかくなる
ゆうかんになる
私は私のままだろうが
もう少し生きてみようかとおもえる
たいしてうまくはいかないだろうが
もう少し頑張ってみようかとおもう ....
街の風景を愛しく想うのは
街が僕の延長であるからだろう
あらゆる物を僕は備えている
爪や血管、汚職や罰金の滞納ですら
何もかも僕に似ている
路地や神社や夕暮れの生殖器
傷跡を覆うように ....
私は私という個人
私という集団
私という交差点の
私という雑踏
私の往来から
私を見つけ出そうと
私が手を伸ばせば
全ての私が邪魔をする
私の手は振り解かれる
やがて私の歩行 ....
秋空に
死のようにビールをのみほせ
おばあは杖つき
ひたいに手をあて
昨夜の枯葉を 掃きなぐる
とんびは横切り カラスは火を噴き
仕出し弁当
湯気立つやかん
空の屏風に飛行 ....
冷え切った肌寒い朝に
わたしは毛布にくるまっては
冷え切った足先を
ぬくめる
例えば死というような
ことばの冷たさは
毛布にくるめても
いつまでも温まらない
エアコンやヒーター ....
廃村の外れで
垂れ下がった電線が風に吹かれている。
壁や窓を叩いている。
置き去られたカラーボックスに
アニメのシールがでたらめに貼りつけてある。
清掃車のオルゴールが近づいてく ....
シャッターが切り取るわけではない
それは露光時間を決めているだけで
まぶたのように拒否するのだ
ファインダーが見つめるのではない
いくつかの屈折率を経て
まなざしの限界を教えてくれるのだ ....
{画像=081028104443.jpg}
種の起源を遡る
鯨にあるという地上の記憶のよう
身体の記憶に繋がる原初の記憶
納屋の藁束の上に横たわり
こころを拡げて探り当てる
目を瞑り腰 ....
僕と妻にとてもよく似ていて
そのどちらにも
似てはいない
それが彼なのだ
君はいったい
誰なの
と息子の目を見てそう問うと
不思議な顔をしてる
ふと思い出す
僕と妻は
....
Nさんが日記で書いていた。Nさんが賢治について書いた批評について、批判があったらしい。某所のチャットで、「このレベルで留まれたのなら幸せだったんだろうけど」「賢治について書くなんて怖いものしらず」みた ....
月とか朝焼けが変に赤くなったら
それは世界が破滅する時であるというが
その判断基準というやつは非常に曖昧であり
季節や気象条件によっても微細に変化するため
人々は不安で眠れない夜を過ごしていた ....
あのこの首がもげたときに
ぼくは
なんていったらいいかわからなかった
あのこに向けての言葉どころか
ぼくの気持ちすらわからなかったし
その状況すら 飲み込めなかった
あのこの首がも ....
081025
くつしたが
くつしたがくつしたがと
悲鳴を上げるので
靴下がと
穴の開いた靴下が
靴の中で欠伸する
石ころを蹴っ飛 ....
没入する
汚して食う
汚して食う
かき混ぜて絡ませて
汚して食う
没入する
没入する
汚して書く
汚して書く
切って貼って うごかして
汚して書く
没入する
そ ....
某所で、
>意味がわからんと言っていた軟弱者が何人かいましたが、
>意味を伝えるだけなら詩なんか必要なないじゃん。
>詩は作者と読者の共同作業であるべき。
>僕が1から ....
まぶしい雨が
わたしのひたいに落ちて
ぽとん と
奏でた
それは総天然色の
はかりしれない次元の
やさしさ
おもっていることが
おもっているように
雨は降るのだろう
だとすれば ....
遠い空とつながったきみが
小さな点になる
それは消失してしまいそうな
さびしい孤独であるのに
ふしぎな水色に輝いている
逆さまから立ち上がるときのきみは
やさしい速度でやってくる
淡 ....
平たい海
穏やか過ぎて
生きてることが
煩わしい
貨物船が
買ったばかりの
絵具を広げながら
弁当箱みたいに泳いでゆく
潮風のしょっぱさは
ゆで卵のようだ
茹ですぎたパスタ ....
指先から入る
表面張力の
弾力にはじかれて
はじかれるうちに音もなく
入ってゆく
指の骨の
白い洞窟のすきまから
声が降る
あの声もその声も
白く堆積する
カルシウム ....
{引用=
いつも考える私は黒い上下の服で
見つめる白い棺の中身に顔がない
}
たわむれに
両手でそっと抱いた母の
細さに泣きたくて
三歩
あゆめ ず
たわむれの
....
叱るつもりが
感情に身を任せ怒っている
自分の醜い姿に気づく
ひとは誰でも
誰かを叱ったり怒ったり出来ないはずなのに
自らの思いを通そうとでもするのか
声を荒げてみたり
ときは手 ....
朝なのに黄昏れている
金木犀も消えてしまった
風がほころんでいる
なんだかさびしい気も?
ヨーロピアン・レゲエ、
中国の愛人の
おかしくなったひとり言のよう
....
風の強い日
クモの脳裏に観念が降りた日、
クモは木の葉のうえで
円を描くおまじないのあと
糸をのばし、糸を風にのせ
空を高く上ってゆく。
クモは流れる雲のうえで
海をわたり、山脈をこ ....
月を遠ざけるものを捜して
迷い込んだ森
薄紙で封印された
わたしを引き裂いて
生まれてくるものがある
皮膚がわたしを押さえつけていた
だから、だ
破りとられて流し続ける
温かい ....
動物を観る人だかりふくらんでどちらも命を生きる不思議と
脱力をカラダに命じているのだと池の端には片足の鳥
蓮の葉は秋の陽広く受け止めてどこかに放つことなく黙る
犬を連れ遠く見つめ ....
触れあうと 音もなく
はがれ落ちた 鱗は
ひとつひとつ 淡く発光して
僕たちは 喪失のただなかに
いびつな突起物を
あてがいつづける
いくつもの 鮮烈な傷跡を
つめたい指 ....
そういえば
結婚式しなかったね
ときどき妻が言う
僕は聴こえないふりをする
本当に
妻がそう言ったのか
確証のないまま過ぎてしまう
日々の幻聴のように
出会ってから
十 ....
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