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スーパーのかたすみで
君が開発した商品が
売られている

九十八円で
売られている

定価がいくらかなんて
ここで言えやしないけれども

君はこの商品の
発売が決まっ ....
 
 
あんたなんかね
あの時あたしを
見捨てればよかったんだよ

三十半ばを過ぎていた
あの時僕は妻と結婚した
僕の意思で子供をつくったために

安定した職に就いている
幼なじ ....
 
 
見つめてると
雲が流れてきて
君の背中は
いつしか空になっていた

飛べない空が
どこまでも続き
続かないところで
君は思い巡らせている

地上から叫んでも
届かない ....
 
 
夕日が沈むと
真っ黒な紙を空にしきつめ
穴のたくさん開いた
空の向こうから
いろんな色の
ランプを照らしてる
私たちは
それが星であるかのように
夜空を見上げている

 ....
 
 
僕らは出会った
地上から空を見上げる
距離でしかなかった
そんな僕らが

とても遠いところから
生まれてきたような
そんな僕らが

買ったばかりのノート
一ページ分にも ....
 
 
上ってきた階段は
そこで途切れていたけれど
僕らはもっと
上らなければならないので
一段ずつ階段を
作らなければならなかった

家に帰れば
君も一段作り終えてる
翌朝には ....
 
 
かつて古きよき友人がいた
というような
そんな時代でもないらしい
人は大きなしくみに組み込まれ
わたしとあなたとの
小さな友情もまた
しくみに違いはなかったけど

この人と ....
 
 
健康診断の結果
肺に小さな影がありますと書かれていた
早く再検査に行きたかったけど
仕事も忙しくて
時々そのことを思い出しては忘れ
思い出すと泣きたくなる夜もあった
実際泣いた ....
 
 
トランプ遊びしてる
息子とカルタで

きっと何か間違えてる
けれどもそれは
それで楽しい

ためしに
どっちが勝ってるの?
と息子に尋ねると
嬉しい
とだけ答える
 ....
 
 
一つの時代が終わることを
想像もしないまま
わたしは一つの時代に育まれ
育んでくれたいくつかの人たちは
死んでいった

あの一つの時代が
今も変わらず続いていたならば
わた ....
 
 
夜が青く明けてゆく頃
除雪車の音が聞こえている
ひとつの戦争のように
降り積もる雪を魂に置き換えて
作業は続く

まどろむ真冬の月の目は
わたしたちと同じ
出来事だけを音で ....
 
始発のバスに乗ると
一人でどうしたの
と尋ねるので
怪我をして病院に通ってることを
運転手さんに話した

発車時間が近づくと
大人がたくさん
バスに乗り込んできた

知らない ....
 
鉛筆の匂いをさせて
あなたは春になった

尖った芯が
しだいに丸くなって
やさしくなった

声、かもしれないものを
たくさんスケッチした
知ってる言葉も
知ら ....
 
布団の中から
黄色い豆電球を
ぼんやりと見つめてるのが好きだった

とても無機質で物静かな
豆電球と向かい合って
顔のない人と対話してるような
自分の顔をを見つめているような
そ ....
 
ひさしぶりに実家に帰ると
お父さんが
船になっていた

甲板には母がいて
いつものように洗濯物を干したり
いい匂いがしてくる
調理室で料理をつくるのも
やはり母だった

嫁い ....
 
先生おトイレにいってきます
そう言って
だれもいない廊下を歩いていた

ある教室の前で
あれは冬だったのか
夏だったのか
さだかではないけれども
とにかく寒く
暑かったかもしれ ....
 
そらのどこ
とぼくがたずねると
きみは
そらのとこ
とこたえるのだった

だからぼくはまた
そらのどこよ
とたずねてしまうからきみは
そらのとこよ
とこたえつづける
いつま ....
  
友だちは
ついにあなただけだ!

と妻に言ったら
きゅうにあほらしくなって

けれど、四歳の息子に
まだ友だちがいないことに気づいて

お父さんと
友だちにになろうね

 ....
 
素数って
なんだろう

素麺みたいなものだろうか

こどもの頃
母は休日になると
素麺をつくってくれた

ぼくは
いつもわりきれない気持ちで
それを食べていた

世の中 ....
 
おとなの勝手な事情で
離れ離れになってしまった人には
当たり前のようだけれども
子供の頃に出会っているものである

勝手なおとなになる前に
離れ離れになってから
その人はいつまでも ....
 
はじめて会った
日のことを
よくおぼえていない

それくらい
はじめて会ったような
気がしなくて
その日からぼくらは
いつも一緒だった

友だちだった
恋人ではなかった
 ....
 
お見舞いにいくと
ベッドと見まちがえるほど
平らになっていて
痩せていた
祖母と手をにぎりあって
見つめあっていた

帰り際に
手をふった
なるべく笑顔で
いつものように
 ....
 
詩の一行一行に
花を咲かせたような
あの桜並木を歩く

僕には
名前を持たない
姉がいた

姉は木の行間をくぐり
幹の陰に隠れたのかと思うと
花咲き乱れる
か細い枝に立って ....
 
裏木戸が
閉じたり開いたり
冬の言葉で話してる

積もる
雪の音以外
何も聞こえない
意味の欠片さえ

さくさくと
家に帰る足音が
遠くからやってくる
もっと遠い
何処 ....
 
もう長いこと
あなたと暮らしてきたけれど
もし今日が
はじまりの一日だったなら
僕はあなたに何を言えばいいだろう
と考えた

暮らしてきた日々とひきかえに
これからも暮らすための ....
 
ここで暮らしていたことが
夢のよう
いつかそうなる日が
来るとわかっていたから

やさしさは
やさしさでしかないことも
知っていたから
ただ祈るしかなくて
今も祈ることしかでき ....
 
なぐさめ方が
せつなすぎるから
苦笑してばかりいたけれど
ちゃんと泣いてくれる君の横顔を
ろくに見ることもできないで
最後にはいつも涙が零れていた

北風が目にしみるね
ふたりの ....
 
水色の目で見つめられると
溺れそうになる

その海を
器用に泳ぐことが出来たのに
今は浮き輪と
シュノーケルが手放せない

また振り向いて
見つめてる
なにか用事があるの
 ....
 
段差のない
同じような家のならぶ
団地に住む
友人の家に日曜日
遊びに行った

ちょうどお昼ごろだったので
お昼ごはんを
ごちそうになった

手作りの
パンとコロッケと
 ....
 
十くらいはなれた
妹に
よく似た娘に
やさしくしてしまう

やさしくした後で
そのうかれた顔は何だと
誰かに言われたわけではないけれど
きっと僕は
そんな顔をしてる

もっ ....
かんなさんの小川 葉さんおすすめリスト(89)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- 小川 葉自由詩209-5-6
愛の言葉- 小川 葉自由詩609-4-26
背中の空- 小川 葉自由詩309-4-12
夜空から、ありがとう- 小川 葉自由詩509-4-8
別れの距離- 小川 葉自由詩509-4-5
ひだまり- 小川 葉自由詩409-3-31
友人- 小川 葉自由詩509-3-28
日常の味- 小川 葉自由詩709-3-27
- 小川 葉自由詩809-3-25
わたしの時代- 小川 葉自由詩309-3-22
除雪車- 小川 葉自由詩709-3-20
知らない大人- 小川 葉自由詩609-3-16
春の似顔絵- 小川 葉自由詩709-3-8
光のしっぽ- 小川 葉自由詩3*09-3-5
- 小川 葉自由詩809-2-24
おといれ- 小川 葉自由詩709-2-19
そらのとこ- 小川 葉自由詩1009-2-18
友だちが欲しかった- 小川 葉自由詩709-2-7
素数- 小川 葉自由詩409-2-5
おとなの事情- 小川 葉自由詩209-2-2
あなたは僕の- 小川 葉自由詩309-1-31
トンボ- 小川 葉自由詩9*09-1-29
桜並木の詩- 小川 葉自由詩709-1-27
裏木戸- 小川 葉自由詩809-1-15
はじまりの一日- 小川 葉自由詩309-1-10
帰省- 小川 葉自由詩609-1-2
友達- 小川 葉自由詩708-12-29
海辺にて- 小川 葉自由詩308-12-22
段差のない家- 小川 葉自由詩6*08-12-16
- 小川 葉自由詩21*08-12-8

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