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曲がり角に沿う壁を
鳥の影がすぎてゆく
風のない午後
一羽の午後



少ない雨が来ては去り
灰は薄く街にひろがる
置き去りの光
置き去りの火



黄緑 ....
ひとりの子が
ひとつの楽器の生まれる様を見ている
作るものも
奏でるものも去ったあとで
子は楽器に愛しげに触れる
おずおずと うずくように
楽器は
花になる



新しい言 ....
あちこちに月がひそむ夜
銀を一粒ずつ踏みしめて
雲をあおぎ歩みゆくひと


月の手は風
月の火は雨
ただなごむ
死のように



いのるひと いるりひと
いるり ....
音の無い空
音の無い花
近づきながら 離れながら
混じることなく
川の上に重なる川
川を映す川をゆく


花に触れ
鎮む流れ
陽は分かれ
影は過ぎる
花は音 ....
雨あがりの
見えない水に仕切られた通りを
たくさんの人
静かな人
離れることを疑わずに
歩いてゆく



ずっとひとりで吠えるとき
震えがどこまでものびてゆくとき ....
幻の終わりと塩の光を抱き
鳥はひとり 海にたたずむ
波に重なり ゆらめく陰
待つもののない午後の陰



船を終えた船の列が
小さな声に照らされている
空をゆく声 落ちる ....
春のある日
緑の窓に
映るように出会う
ふたつの音楽



応え以上の応えを浴びて
昨日は突然消え去って
今日と明日は行き来する



花の手をとり まわる声
声の手を ....
この先
いきどまりです


木陰の看板を
すぎてゆく雲


誰かの何かが持ち去られ
小さなものひとつ分だけ足りない世界の
午後のガラスの路を歩む


春は銀 ....
手に触れる花からはじまる
円筒形の歴史があり
空と目の間でまわっている



音が音を奏でている
こすれあう音
すれちがう音



変わりつづけるかたちの夜
とどめおけ ....
光のなかで光を引きずる
あちこち折れた羽のように


増えては
増えては 軽くなる
はばたきに似た歩みの音


灰のにおい
羽のにおい
いつのまにかひとりの道
鈴の音
陽 ....
自らを喰み赤子になる
自らを喰み赤子になる
終わりなく届かぬひとつの舞
くりかえすことなくくりかえす
くりかえすことなくくりかえす



ずっとそこにあるものだから
じっ ....
何もない手に
白が降りて
名前を呼んだ
もくれんよ
もくれんよ


微笑む間もなく
雨は来て
空を伝い
午後を撒いた


灰の鱗
一人歩きの傘
午後の陽の行 ....
燃え上がる舌を晒し
触れるものすべてに火をつけてゆく
光の鎖骨に 首筋に
街と街を結ぶ橋の手足に



遠去かる星
斜めに傾く黒の山から
突き出された光の棘が
天の耳へと ....
ゆっくりと確かめる指のひとから
手わたされる言葉のような
雪の散る道をすぎるひとから
聞こえてくる色のような
朝の水平線に消えかけながら
まわりつづける季節のような
寄せては返す ....
わたしを忘れた光が
昇りつづけて朝になった
目を閉じても冷たい指先
さよならを言う光に触れた

さらさらと
さらさらと


雨雲が川のなかを遠去かり
水鳥を連れていってしまった ....
わたしは投げ出す
わたしは拾う
手は銀になってゆく


つばさ失く飛ぶ火が越えてゆく海
ただ音だけで造られた海のむこう


骨と魔術師との対話
夜に生まれ
朝に消え ....
冷たい水の熱さに触れ
公園に立つ冬を見る
檻のなかの時計と噴水
公園に歌う冬を見る



風は痛く
水は閉じる
風はたくさんのものを集めている
誰もいない道を
ひとつ ....
色とりどりの人々が
角を曲がっては消えていった
降る雪の一粒一粒が太陽になり
地を貫いてはかがやいていた
空に届かぬものと
地に届かぬものとが手を取り合い
壁を巡りつづけるものの目に光 ....
草の原には緑の花が
常に誰かに呼びかけるように
異なる緑にまたたいている


山へ山へむかう道
途切れ途切れつづく道
雨の滴と羽虫がつくる
無音にひろがる水紋の夜


荒れ ....
堕ちた孔雀が集まる場所で
ただひとりかがやくものは傷を得たもの
白く織られた光の羽の
かすかなほころびから見える花
光や音の波の向こうに
見えること 見えないことの向こうに ....
山へと向かう道の角を
一本の木からあふれた花が埋めてゆく


新月の原
うずくまる獣
高く低くつづく夜


響きのなかに現われる
草色の歌
波うつ獣の背の上に
花 ....
散る花と天馬のかたわら舞い踊る
         あなたの名前わたしの名前



一日に何度もひとりで水族館
         イルカ生きとるクリオネ死んどる



 ....
ずっとずっと まわりで
小さな音が鳴り止まない
バスから降りて バスに乗る
またバスから降りて またバスに乗る
いつのまにか隣に
歌がふたつ 座っている



小さな支えを失っ ....
和泉 輪さんの木立 悟さんおすすめリスト(143)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
黄緑- 木立 悟自由詩704-5-17
器の子- 木立 悟自由詩1204-5-7
ノート(夜野原)- 木立 悟自由詩404-5-5
降り来る言葉_XIII- 木立 悟自由詩904-5-4
ノート(夜通)- 木立 悟自由詩204-4-28
隔花- 木立 悟自由詩404-4-24
ノート(ふたつの音楽)- 木立 悟自由詩404-4-23
凹光路- 木立 悟自由詩804-4-21
- 木立 悟自由詩504-4-16
葉音- 木立 悟自由詩604-4-11
- 木立 悟自由詩304-4-10
ノート(木蓮)- 木立 悟自由詩904-4-9
彷舌記- 木立 悟自由詩404-4-5
- 木立 悟自由詩404-3-27
ノート(わたる光)- 木立 悟自由詩504-3-25
銀の手- 木立 悟自由詩704-3-19
- 木立 悟自由詩504-3-15
昇灰華- 木立 悟自由詩304-3-13
緑の輪- 木立 悟自由詩604-3-10
天花(てんげ)- 木立 悟自由詩604-2-24
地の花- 木立 悟自由詩404-2-23
ノート(戯れ音)- 木立 悟短歌504-2-11
ノート(まぶしい日)- 木立 悟自由詩504-1-24

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