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言葉になる前の言葉から
鳥は滴にしたたり降りる
空になり木になり土になり
重なる光にひらきひらかれ
目をふせ ひろく
ひとつにたたずむ


夜の雨音の冷たさが
肩から腕へと流 ....
遮断機が下り
列車は近づき
他の音は止み
鉄路になびく
草の背は蒼
草の背は蒼


薄い曇が
空を覆い
星は絶えず
北へ流れ
呼びつづけても
夜はひとり
月はま ....
土のなかの心臓から
水煙の姿に羽はのび
雨の色
樹の下の冷たさ
したたる音の葉を伝えてゆく


雨の奥を飛ぶ声があり
ゆるやかに近づき通りすぎ
高みへ高みへ去ってゆく
 ....
風を含んだふくらみが
道からひとり飛び立とうとしていた
波は空を洗いつづけて
地平に着いては羽になった


指は闇に触れていき
倒れたままのかたちを知る
波を無色の魚 ....
風と草がつくる螺旋と
屋根の上の鴉をひたし
雨は雨の光を撒いて
ひとつふたつと陸を離れる
水が水に与える冠
ひととき またひとときと
川のかたちの既視となる午後


小さ ....
蒲公英
背の高い蒲公英
雀を追って降り立つ鴉の
姿を覆い
目を眩ませて
揺れる蒲公英



鴉 悲しいか
雀はいない
揺れる緑と緑の隙間に
わずかに震える渇いた土が ....
    


気づくと右手は濡れていて
描きはじめたばかりの夜に
銀色の線を引いてしまった
見る間に乾く三日月の下に
明日の朝には消えてしまう
羽や光を書きつらねていた


隠さ ....
島を結ぶ浅瀬の夜を
かがやくゆがみの輪が照らす
ほつれつづけるふちどりが
わずかに時間を押しのけている


歩きつづける影のそばに
何かを取り去られたかのような
大きなひろ ....
波が波に描く絵が
次々と現われては消えてゆく
海を覆う点描が
鳥を照らし点滅する


蒼い光のひとがいて
歌い舞う花のうしろで
草に沈む岩を見ている
海からも声のなかから ....
井戸の底を
のぞきこむ鳥
わずかに残る
水に映る陽
いとしいしずくであれ
いとしいしずくであれ


うすくゆがんだ光の輪が
影のなかにゆらめいている
にじみと波は
光 ....
肩に触れていたなだらかな重さが
消えていることにふと気づくとき
部屋のなかを見わたす視線は
ほんの少しだけ傾いている


今日も夕空を見忘れて
蒼い窓を通りすぎ
破りとられ ....
隻眼の花にこぼれる
はじまりの波のはじめから
めぐる魚からほどける光
片方の目はまばたいて
沈みくるものを受け入れる


敗れつづけてなお勝つものがあり
不幸せの上に成り立 ....
水の流れに
声は生まれる
ゆっくりとした高まりの
終わりのように反りかえり
声はまだらの身を起こす


鍵の花は水に咲き
傷をひとつずつ閉じてゆく
いつか流れに分けられた ....
林の前を透明が過ぎ
曇をわずかに残してゆく
枝が風に
風が枝になるさまを
雨は照らしつづけている


水と水のふるえのはざまへ
羽はさしのべられてゆく
水を聴かず 音だ ....
黄色い鎖が
何を縛るでもなく
地面に置かれている
廃車と遊具の鉄は響き
午後はゆらりと夜になる


夜のなかを
夜が動く
その高みにある輪郭が
すべるように落ちてくる
 ....
朝は聞こえず
雨は遠く
水平線の陽
かたわらの光


からだをつらぬくかがやきの芯
やわらかくやわらかく変わるかたち
滴の重さの鳥たちが
つまずきながら屋根をわたる

 ....
ふわりと動くちからがある
雪にちらばる削られた木がある
布か機械かわからぬ四角を
抱きしめて眠るけものがいる
ふくろうの後ろ姿をした人が
朝の光に手をふっている



ふ ....
木陰に隠れている子が
まぶしげに顔をのぞかせて
空にも地にも鳴りわたる雲
青のこだま
緑のこだまを見つめている



深緑は灰空に深く緑で
遠い雲を映しだしては
雨のは ....
手をひらき
髪の葉に触れる
手をひらき
道の葉に触れる
手をひらき
手をひらき
離れゆく光の手に触れる



巣にかかった糸くずを
蜘蛛がじっと見つめている
 ....
滴の内にわたしは居て
滴に映るわたしを見ていた
笑うわたし 泣くわたし
音を持たないわたしを見ていた



滴の外にわたしは居て
滴に映る昔を見ていた
歪んだわたし 虹の ....
吠えるものが増してゆく
渦まくものが増してゆく
雨の終わりに流れ込むもの
ひとつの腕に映り込むもの
うねりは低く増してゆく



車輪と鉄柵
夜の雪雲
曲がり角の精霊
火 ....
巡りつづけるものたちの
行き来するものたちの歴史の羽
雨雲の胸に
水草の陰に育まれていく



生きることの終わりとはじまりに咲く花が
鈴のように鳴りわたる
葉の色はこ ....
空を一巡する声は
風のつづき
鳥のつづき
手わたされる糸
瞳の軌跡
夜から朝への
器のつづき



しっかり速く
黄金に変わり
こぼれ落ちる火
紡がれる ....
背中に入り込んだ紐が
誰かに引かれて灯る羽
骨のあたりでちらちらとする



虫のあつまり
綿のあつまりのような光が
鉄の柱とともにつづいてゆく
追う音の少なく
見 ....
空はふたつ
互いを追いかけ
雲はひとつ
高みへのぼる
たからもの
たからもの ふりくる



誰のなかにも
物のなかにもあるものが
聞こえくる
聞こえくる ....
雨を抱えた朝の傷
ただ静かに銀になる
ただ静かに鳴り響く



縦の傷をよけ
横の傷を踏み
円い傷の外周をゆく
点の傷を飛び越え 飛び越え
光のほうへ転ばぬように
 ....
朝と別の朝はつながり
声や水を憶えている
光や傷を憶えている
頬をかすめゆく小さな 小さな
見果てぬもののかけら かけら
定まらぬ世界をゆく定まらぬもの



水色と銀色
 ....
氷と光が交差する地に
人のものではない門がある
曇のような土がある
虹は滝のように降る



まだどこにもつながっていない
建てられたばかりの鉄塔が
空の輪の下
冷たい層を ....
からみあう木の根をくぐり
風のない海に出る
陸のほうへ 陸のほうへ
風は高く飛んでゆく
砂には浪が残される
浪のにおい 浪の色
浪のかたちが残される



雲は深く降りて ....
手のなかの金魚がたどる路
響きのための階段を
宵宮の光が駆け上がる
かわいた飲みもの 食べものの跡
においはずっとたたずんでいる



街にやって来た映画の群れ
ひとつの方を ....
和泉 輪さんの木立 悟さんおすすめリスト(143)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夜の音- 木立 悟自由詩405-6-28
鉄夜- 木立 悟自由詩605-6-22
土と素足- 木立 悟自由詩205-6-20
朝水- 木立 悟自由詩405-6-19
午緑(指先)- 木立 悟自由詩405-6-15
迷い__みどり- 木立 悟自由詩405-6-9
描夜(指)- 木立 悟自由詩305-6-6
灯夜行- 木立 悟自由詩305-6-4
水霊譜- 木立 悟自由詩605-6-1
ノート(しずく)- 木立 悟自由詩305-5-29
失くしたもの____- 木立 悟自由詩405-5-25
ひとつ_小さな- 木立 悟自由詩405-5-21
昇音- 木立 悟自由詩305-5-18
問い- 木立 悟自由詩305-5-15
ノート(夜の土のうた)- 木立 悟自由詩305-5-12
遠く_銀に- 木立 悟自由詩3*05-5-9
ちから- 木立 悟自由詩305-2-11
緑から降る- 木立 悟自由詩305-2-1
小さな手- 木立 悟自由詩6*04-11-25
ノート(三つの滴)- 木立 悟自由詩204-11-24
業歌(ひとつの腕)- 木立 悟自由詩504-11-23
残姿- 木立 悟自由詩304-11-22
飛歌- 木立 悟自由詩404-11-18
夜言花- 木立 悟自由詩504-11-4
たからもの- 木立 悟自由詩404-11-1
傷の季- 木立 悟自由詩304-10-29
かけら- 木立 悟自由詩604-10-25
ノート(青と灰_Ⅱ)- 木立 悟自由詩304-10-22
黄金の子_Ⅱ- 木立 悟自由詩304-10-19
路地の歌- 木立 悟自由詩604-10-18

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