すべてのおすすめ
「実はさ、」から始まる声は、
ドアノブを委ねている心
「それでね…」から始まる文は、
見せずにつないだ第三の手
宇宙よりも遥かに広い
引きだし続けて尽きることない
道が生み出す声を聞か ....
深紅のイチョウが
月夜の湖に鮮やかな
色彩を描き出す
底の見えない水溜まりに
興味本意に足を突っ込む
そのまままっさかさまに
落ちていずれ反対側にたどり着く
....
良く晴れた多摩川沿いに走る二車線の都道
歩行者用信号機は青へ変わっているに右見て左見て
みーちゃんの手を引きながら急いで渡る
轢けるもんなら轢いてみなよ…いつもならそんな気概なんだけど
....
慌ただしい朝
出勤前に身だしなみを整えていたら
妻から声がかかる
バァチャンガナクナッタ
僕らの結婚当初からお世話になっていた
九州から出てきた妻は母親代りに慕っていた
おばあち ....
ブラックスモーカーの
熱い暗闇のほとりで
スケーリーフットを枕に
わたしは不思議な夢を見た
空っぽの背骨を
滑らかな夜風で満たして
わたしは空に浮かんでいた
手足になり損ねた ....
手を引かれ歩く。
懐かしい匂いのする君
その面影は記憶の水底
私が潜水夫になって強く握り返すと
つないだ手には水たまりができて
空の色を映す。
薄暗い緑の茂みの奥までくると
....
みえるものは
たとえば、光るに足らない星たち
それは遠く、遠くにいる
だいじなともだちの
からだに巻きつく
スパンコールの糸でんわ
暗がりでもこわくない
ほらね きみがいる
....
ゆっくりと、撫でてゆく
背中から本能までの
または、今日から命果てるまでの
測れない距離を、あの人の言葉は
簡単に届いて、そして、
明日に色を書き足してゆく
友情、と言っていた
....
分厚い書物に文字を書いている
たくさんの人を下敷きにして
本当でも嘘でもない文字を書いている
歴史とか文化とか
忘れ去られてしまいそうなものを
なぞるように書き記していく
....
マニラでの仕事は十分で終わった
事務所に顔を出しただけで終わらせたのだ
日本の社長の心ない言動で
まったくやる気を失っていた
まあ自分で指示を出しておいて
途中で梯子をはずしてきたということ ....
若い青葉に滴が冴えて
ぬるい空気のなかで雀たちの声が朝露に濡れる
そうやって世間はあたらしい季節にそわそわしているのに
留まろうとしてるひともいる
分かるはずもないんだ
誰によってあ ....
3つの画面
3人の大人と
3才の子供
他の人生を道具に使う
輝きを持っているそれを
悪魔の手が握る
悪魔だって必死
悪戯な神は
悪魔にだって容赦しない
3つの画面は大 ....
夜桜がきらびやかに
うすい光のなかで
景色を染めていた
咲くから散るのか
散るから咲くのか
いずれにして儚い物は
うつくしかった
爪先立ちした兎は
背伸 ....
商品棚に並べられた
きれいなゼリー状のものに囲まれて
カイちゃんが笑ってる
時々ふるふると震えて
何も言わない
床に落ちている
貝殻や干からびたヒトデを
二人で拾う
昔 ....
退廃的に胸は動いて
物語に首を絞められる
どこにもない物語の
粘膜が私をのんで
溶かそうとするから
(まだ見たいものがあるのか)
つまらない人間として咲いている
....
透明な糸が
のびていく
あてもなく
まっすぐと
洗い髪の先端が
とぎれる音と
あなたのためいきが
寄り添って
わたしを流れていく
たしかな明日を
手探る右手が
ふるえる
....
さよなら
といってしまうと
追いかけてこないこと
わかるから
エレベーターの中の
25秒間を
感じることに使うべきだったって
偶然は
つくってみるもの
ねえ
と問いかければ
....
すうっと堕ちていくような感覚と
鈍いしびれがあるという
それでいて苦痛ではないらしい
幼なじみのあの子も
隣の席の委員長も
さらにはわたしのママまで
患ったことがあるらしい
大人 ....
彼女と仕事をしてると楽しかった
たぶん仕事が終わればそんな気持ちもなくなるって思ってる
ぼくはクリエーターだ彼女は実務をしてくれてる
この広告の小冊子づくりが終わればチームは解散する
ちょ ....
背中を引き破り
翼を産み出しても
僕らは飛び方も
場所も知らない
翼も血にまみれ
ドロドロとした
赤い液体に絡まる
何も知らない子供が
汚れた大人が
ひきこもりの科学者が ....
テレビドラマを見ていたら
あまりにもつまらなくて
消してしまった
今までの人生を見ていたら
あまりにもつまらなくて
自殺してしまった
***
そんな彼女の
ラス ....
僕は許せないでいる
そのことに執着している
それは精神的にも肉体的にも
道徳的にも絶対によくないことなのに
そこから抜け出せないでいるのだ
じぶんがどう見られているのか
そんなことに価 ....
パン作りに悪戦苦闘する教室の扉をそぉっと開くと
可愛らしい眼でこちらの様子を窺いだす
仲間外れされているとかの感情より好奇心が勝っているようで
親指を口に含みながらきょろきょろしてる
手足 ....
ノートの一番後ろのページに
言い表せない想いを小さく綴っては
どんな風に貴方に伝えようかと
やるせなく頬杖をついた
本当はこんな言葉なんて
グチャグチャに丸めてしまえば良かったんだ
....
薔薇をあなたに
五月の薔薇をあなたにあげたくて
私はひとり庭をさまよっている
ハーブの花畑を通って
クレマチスの花園へ
キングサリのアーチをくぐったら
そこはもう薔薇迷宮
色とりどり ....
スライドする
月が笑う
夜の窓辺
憂鬱を孕んだ
胸が冷える鼻先
わたしはわたしの行方を
ポケットに押し込んだまま
吸い込まれる
終電の渦
たった1mgの錠剤で
繋ぎ ....
電話のあなたの声がしゅるしゅるとしぼんでゆく
タイムリミットは15分
「ウルトラマンのカラータイマーみたいね」
3分の5倍あると思っても
沈んでいくあなたを掬いあげられないまま
電話 ....
舞い散る花びら地に堕ちて
黒く消え行く定めなれば
次世もまた闇から闇…
あなたがいなければ
あやまらないでくださいな
わたしに光をくれた人
....
駅東端の改札を抜け昔ながらの踏切を渡ると
南口商店街の低い軒先を飛び交うツバメ達に出逢った
桜は散ったばかりだと思ってたのに
あっという間に日傘手放せない季節となってしまったんだよね
....
私を忘れないでいて、どうか
この囲まれた世界の中、どこかにいるのだから
もう結ばれなくても
あの美しい奇跡を忘れないで
私はもうこうして生きていくのだから
だか ....
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