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誤解を解いてはいけない
それが誤解であることを知られてはいけない
誤解は誤解のままでなくてはいけない
誰にも打ち明けてはいけない
それが誤解であることはあなた以外が知っていてはいけない ....
あの頃、君に告げられなかったことを今
***
ねぇ、君
冷やし中華を誰よりも早く始めたいの、とはりきる君の姿が僕は好きだったんだ
ねぇ、君
扇風機の首フリに合わ ....
女がクレヨンを奪って逃げた
必要のない色を奪って逃げた
生活はなにも不便にならない
箱をゆすると音がするだけだ
「生活はなにも不便にならない」
念のためフタの裏にそう書いた
....
ああ、そいつは俺の事だと思っていたのに。ふふん、
と猫が笑ったのが見えて、ああ、そいつはお前の事だと
わかった。お前のひとことにしびれた世界中の奴らが、
今でも夢の世界で揺らされているというの ....
約束されたことは、なかった
ただ一度も、なかった
噛み合わない歯車が磨耗を呼び
嬉々として
それを食い潰した
約束されたことは、なかった
約束されたことは、なかった
なだ ....
脂喰坊主は地下鉄の端で
ホームに顔を突き出して遊んでいる
駅員が慌てて止めるが
大丈夫
脂喰坊主は死なない
脂喰坊主はバツの悪い顔で笑う
それから
目を閉じてかっきり一秒
....
目、ぬれてる
ポケットにひばな、突っ込んで
夜が死ぬのを待ちました
ワルツされる 砂の中で
心底待っていました
(水溜りで溺れます)
(水溜りで喜びます)
林立した子供の列はファ ....
うみねこはねこじゃない
うみうしもうしじゃない
うみぶどうもぶどうじゃない
うみほたるは魂じゃない
そのほたるも海には帰れない
漁り火はほたるじゃない
燐光もほたる ....
おとうとの写真
って
いつも
いまいくつだろ、とおもう
ろうそくに
火をつけて
手をあわせて
いまいくつなの、と聞くと
それよりも
ねえちゃん、はだかだよと言う
....
あなたは、
簡素な手順でわたしの胸倉を開き
匂い立つ土足
こればっかりは慣れないものです
その度に鮮やかに毟られる
あなたと遭難したい
篭って
香しき動揺が眼に見える位置で
わ ....
いつの日かの憧れであった
本郷で道に迷った
しめしめと にたり顔で
坂道
のぼるとお稲荷さん
帰りたい
帰れない
僕の場所でない場所に ....
私たちは一葉の記憶装置だ
生い茂る木々の端で
保存することのうしろめたさを
知りながら連なっている
陽光が差すその瞬間に
私たちはいつも照れている
風の戯れに私たちは
....
裏口で
手の小さな娘たちが漬かっている
娘たちは時々小便を漏らす
娘たちは小便に浸り萎びてゆき
それは、娘たちの味を濃くする
髪と爪を切り
毛の手入れをする
安価な食材と ....
ほら、
いともかんたんに
あなたは
左手のくすり指を
さしだして
わたしは
それを
いのち のように
噛んでいる
あなたは
まるで
あいしてる の延長
みたい
....
帰りの地下鉄は
あたしのおっぱいを想う
一生懸命に急ブレーキをかけたり
できるだけからだを揺らすのに
おっぱい、日に日にとけていて
今日もきみの相手はできない
満員電車は酸素がすくなく ....