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捨て猫は泥濘で踊る

お婆さんの膝の上の心地好さを思い出しながら

捨て猫は泥濘で踊る

水たまりに映る汚れたトモダチと共に


雨降りの病みは、月明かりを遮り
大好きなトモダチを ....
水面の緩やかな起伏をもたらすものは
波の行き来
風の息
プールならば子供たち

入射光による二次元投影
輪郭だけのモザイク
水底に
水底にゆらゆら

瞬間ごとには
結晶 ....
寝つけずに気がつけば
枕元に私の子供が立っていた
一度だけ会えた時あの子は手も足もバラバラの血まみれで
顔なんてもちろんわからなかったけれど
不思議とあの子だ、と感じた
嗚呼、女の子だったの ....
信号を無視してあらゆる交差点を渡った 緩慢な自殺未遂もことごとく失敗に終わり
裁縫バサミで刺した腕の傷も今はもうほとんど目立たない


つながれた大型犬が吠える それにつられて隣の家の
つな ....
こんなに日が昇ってるいるのだから
1時間の誤差はみんな気づかないだろう

ぼくたちも気づかない
世界は
もっと不思議なままでよかったのに
虹の七色
逃げ水
姿見
知ってしまった全てが
恨めしい




君よ
その背中を覆う漆黒は
僕の夜だ
初めに与えたのは君のほう ....
くっきりとあなた
顔 も良く分かり
なめらかで豊かな曲線 も
温かくやわらかな感触 も
鮮やか
昂り も
息遣い も
鮮明に
ただ 熱心に セックス
透明な セックスをすると
夢精 ....
―動物園のライオンが言った
この間 サバンナとかいう所の夢を見たんだ
ワシはここで生まれ育ったから
どんなところかは 実際知らないのだがね
それでも何だか心地好くて
高い空と草の匂いが 
 ....
昨日 いつも市場で会う少年と水遊びをしたとき
「お兄ちゃん、腕まくりが似合うね」って言われて
戸惑って
戸惑ってしまったまま 朝が来て起き上がる
いつもと同じように寝床に向かい
膝を曲げ 腕 ....
りんごのかわ
みかんのしろいの
きゃべつのしん
れたすのしん

くりちゃんのすきなもの
ほんと
どんなりょーりしろっつーの
ひろびろとした
大学の教室の
誰もいない
こと
たしかめて
侵入した

空調は消されていた七月の
ブラインダーの降りた
その場所で
母の作った弁当を

箸の音
なるべく立てず ....
千人の戦士が 
私の靴の下で戦っている
靴底と地面の隙間で
しがない主を護るために

千人の戦士が 
戦い敗れ 斃れ 
最後の一人までが消失した時
私の歩く道が途絶える
前に進めず  ....
鞄の中に 一匹のカブトムシが蠢いていた
しかもヘラクレスだ
数日前は ぶよぶよとした白い固まりだったのに
いつのまに そんな立派な角を得たのだろう

窓から 彼を外に放した
少し黄色がかっ ....


はがき一葉
舞いこみ、大要、

「言語障害が発症しているようです。発作もなく、突然電話中に失言症になり、思う通り表現できなくなりました。脳血管障害なら軽い症状で、希望が持てますが、アル ....
何処か遠くの
坂を流れる
明後日の雨には
耳に馴染まぬ
ぴきぴきが
混じっています

夜の重みで
屋根は脆く
傘の骨刺さる喉が
ひどく不自由で

独りぼっちもまた
手の込んだ ....
押入れに顔をつっこんで
ぐるりと見回したら
天井の端っこに
小さな穴ぼこがあいていました

穴ぼこの向こうは
下から見る限りでは
ただ ただ 暗闇でしたので
なんだか怖くなったぼくは
 ....
あんまり上手ではないね
すぐに 散らかしてしまうもの ね



タプン
跳ねる音を合図にして
東京のすみっこ
ふたつ
重ねた
ひらひらと尾をふって
水泡を吐いて
重ねて
しま ....
もう どうにもならないと判り
前にも後ろにもすすめずに
つり橋の真ん中で たちどまっていた
ここまで来ただけでも いいんじゃない、と
きっと 誰もが口をそろえる
けれど そんなことはどうでも ....
海岸沿いに露出した三十年まえのゴミ山のうえ
新しい嘆きがそっくりひとつ捨ててあった
壊れた自転車
割れたブラウン管
骨の折れた傘
骨折り損のくたびれ儲け
破れた心臓
そんなもののうえに
 ....
星になってしまった圭子が
実は星になり損ねていて

蛍光灯の「けいこ」の辺りに
ぴとって
張り付いて居てくれたらいいのに

けいこ、うとう

今まで「電気」なんて言ってたけど
ちゃ ....
ひとが壊れたり直ったりするのって
おもしろいね

生き物はケガしたり弱ったりするけど
壊れたりしないよ
それなのに人間は壊れる
病気になったり死んだりもするけど
ぶちっと聞こえて
壊れ ....
   


ふ?

{引用=ふ

           と

                   ふしぎ
                     ふかし
           ....
十八歳か六十歳まで四十二年イコール五〇四月
あと十七月
のこり3パーセント消費税なみの忍耐だ
どうか5パーセントなどになりませんように
デジタル化してゆく世界に
しだいに稀薄になりつつあ ....
海を埋め尽くす無数の海獣
それらの移動に
海は慄き
激しく毛羽立つ

逆巻く海鳥の交尾
海獣の胴震いに振り落とされもせず
雌鳥は厚い皮膚の皺の狭間に産卵する
そして独身ものは空中を埋め ....
すぐにテレビ番組の真似をしていた僕らには
ほんとに魔法が使えたのだろうさ
まさみちゃんは七色のクロトンの枝を折って
くるり くるり と回して
スペシウム光線をかわし
ついでに みんな ....
門前町の 御下屋敷あたりに
囲って 折節通い合い お互いに
密かに会っては 愉しんでいると言う
好色一代男に 涙雨

その涙の雨とは言え 早七年
流れる時の魔物 これこそ因縁
とも言 ....
たくさんのガラクタの中から
どうにか使えそうなものだけを拾い集めて
この国を作ってみました

某大統領の
20年前にボツにされたPR用写真とか
某独裁者の
校正もしないで出しちゃった自叙 ....
月曜の夜のことだ
遅番の妻を待って
一人で留守番をしている
俺の部屋のドアを
誰かがノックした
のぞき窓の向こうに立っているのは
刺繍と金モールもあでやかに
何を考えたものだか
バラの ....
駅からちょっと斜め方向の
ひまわり商店街は
活気をとりもどすために
商店街の名前を
マシンガン・ストリート
に変更した

それぞれマシンガンと銘打った品を出す
ことにつき 


 ....
犀川の河原
しゃがみ込んだらあ
対岸の
浴衣色が滲んでるげん
 
うちの気持ち
いっくら解いても
解いても
頑固に
縺れていくじい

いじっかしい


こんな
うちの気持 ....
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