観察日記、懐かしい人への手紙
小池房枝
ひとが壊れたり直ったりするのって
おもしろいね
生き物はケガしたり弱ったりするけど
壊れたりしないよ
それなのに人間は壊れる
病気になったり死んだりもするけど
ぶちっと聞こえて
壊れた時刻を特定できるような壊れ方をする
誰かが誰かであることって
一つの機械みたいなところがあるんだね
そのくせ直る
治ったりする
機械なら修理もなしに直ったり絶対しないよ
意思や努力には関わらず
目のとれた眼窩に触角を生やしたりしながら
半分に欠けてしまったなら残った半分だけで
生き物なんだね
ひとがなおっていくところを目の当たりに見て私は驚いたよ
祥っちゃん
わたしまだ生きてるよ祥っちゃん