金魚になるのは
おとなになって初めてです
金魚の糞みたいに
いつもお母さんにくっついていたので
彼女は金魚ちゃんと言われていたのです
そんな話をしたら
さっそく金魚ちゃんと呼ばれてしまいま ....
夜の空が皮膚のようにめくれていくのをみている
地平線に
ゆれている骨たちのあかり
ふさふさの影
それぞれのドアの鍵が存在する
接触したいだけの数の
不安と安心が
便器の中の ....
静脈を流れていった
幾度かの夏がありまして
網膜に棲みついた
((ただそれだけの))海があります

無人の駅舎―――ああ、思い返せば
入り口でした この仕掛け絵本の


 ....
裂いたスカートの行方は
右の親指だけが知っている

布を食卓に磔刑して

右手に
左手に絡めて引き裂く

これが誰かの髪であったら
どんなにかいいだろう
ちりぢりになった悲鳴の
 ....
空は青くなかった

よもぎをもいでおばあちゃんにあげると
緑色の団子をつくってくれた
おいしかった

風の音が邪魔をしていた

小野くんはズル剥けだった

佐川急便のふんどしを触る ....
 
初夏の光
ひとつ前の駅で降ります
虫かごもないのに


+


栞はかつて
誰かの魚でした
本の中で溺れるまでは


+


夕日のあたたかいところに
古いネ ....
紫煙の記憶が折り重なる木枠 
スピーカーに雑草が繁茂する
煤けた天井から黒い茎が垂れ
席のすぐ上で円錐の花が開く
ここは暖色の蜜であふれている
白い蜜に沈む 緑の無邪気な囚人たちは
小さな ....
恐ろしい絵本を読みたくて
深夜の本屋に忍び込んだ
硝子を割ったのにセコムは作動しなくて
別世界にきてしまった気がした
 
グラビアから世界地図まで
滑るように見つめていると
ふとした拍子 ....
笑点を見ながらくつろいでいると
夜間責任者から電話が掛かってきた
どうやら稼働を見間違えていたらしく
約十五分間怒鳴り散らされた
しかしこちらも制服を返した後だったので
気を取り直して出掛け ....
たべかけの
チョコレート

蟻が寄っている、よよよ

たべかけのひとかけら
蟻の
所在地は
調べ
られません ペロペロ
スティックつきのチョコレートに
のりかえた 洗濯物 ....
瞼から首まで、赤く咲く恋は、踏切の前で溺れている。


中脳の機能、眼球、信号機、青だから、君、白いスカートで。


「最初から感情なんて要らなかった」。後頭部からざわめいて、五月。

 ....
 カメラに向かい
 天気図を背にして
「午後から雨になります」
 と伝え
 小さく頭を下げ
 辞表を提出し
 その日の午後
 先生は雨になった
 
 それは小さな雨だったが
 傘を ....
 
テーブルの向こうには
崖しかないので
わたしは落とさないように
食事をとった

下に海があるということは
波の音でわかるけれど
海鳥の鳴き声ひとつしない
暗く寂しい海だった

 ....
わたしの棲む場所を流れる川に
水はない

誰かが
橋の上から捨てた言葉を
灰色のさかながついばんでいる


     *


夏の暑い日、わたしは
忘れてしまいたい過去の過ちと ....
深くしわの刻まれたいかつい顔の男が夜の行軍

いないばあさんを探しに夜の行軍

他のばあさんの部屋をのぞきながら夜の行軍

ばあさんの味噌汁に入れるカボチャを探しに夜の行軍

寝ている ....
そこらへんうまくやんなきゃいけないと慌てて折った黒のクレヨン



吹く風にふかれてるだけママチャリが原付バイクに進化しただけ



あおりんごりらっぱいなっぷるびいよかん → コ ....


英単語帳の表紙を飾る茶色い犬の目が
わたしを見ているようで
たまらない気持ちになって
そっと本を裏返す

だからと言って
何から逃げられたというわけでもなく
明日の朝わたしはい ....
言葉はそれ以外の何かだ、と昔、朝日新聞が言っていた。
コンビニエンスを麦芽たっぷりのパンズで挟んだバーガー
が、転がることも出来ず置いてあるここは路上。路上。
平日の昼下がりにはゴミと人妻しかい ....
人がいた
音を立てていた
枯れて崩れる葉を踏み
枝を折って歩いていた
いらつく声を
口から発していた

連中は音を隠さない
俺を呼んでもいいのだろう
喰われても構わないのだろう
 ....
人参をいれないカレーつくれます隣のうさぎの売り出しコピー


いつまでも夕焼けみたいなものばかりほしがる鏡のむこうのほうは


洗濯機まわしてるだけ部屋中に散らかっている歌う恋人

 ....
ボトルの内側に貼り付いた
水滴がつるりと滑り 落ちる
そんなあっという間にも僕たちは
死にあい 生まれあっている

細い点の中にある、線を描く息の中にある

骨が飛び出そうなくらいの
 ....
夜が燻る
夜が放火する



わるいゆめ
ほんのすこし掠めた
ささくれが毛布にひっかかるような
ひっかかるようなきがして
指を舐める

夜が燻る
夜が放火する


にがい ....
学研ムーの編集局に仕掛けた地雷が
いい塩梅で爆発したよ
分かるとは
不感症になることと似ている
15の頃は
マンフレッド・マンで反射的にイケた
今の俺の反射神経じゃ 
月面すらも行けやし ....
世界がひとつになると
さらさらと
砂の崩れる音がする

幼い頃
ひとり布団の中で
聞いた音と同じだった

朝、家族に
おはようを言う

こんなに幸せな朝なのに
さらさらと
 ....
 

 一線を引き続ける僕らの鉛筆が迚も長いことを全部夕景のせいにして、要らない考えを消去しなければ。こんな小さな東京でどうして君には遭えないんだろう?僕は馬鹿に冷静で、狂うことすら覚束ず、右手の ....
学生たちが
そこここに円くあつまって
華やいでいる
どうしたら
あんなふうに笑えただろう
そういえば、もう
何年も卒業していない

花壇のすみで
孤立無援だった球根さえ
新しい黄緑 ....
魚を丸ごと
皮も内臓もぜんぶ食べた
それは
ゆうべのことだ


目覚めると
私の骨が泳いでいる


なんたるこった
私を食べてしまったのは私だろうか


どこをどうやって
 ....
満月に映える団地の鉄格子 その荘厳さバスティーユにも似て


百幾の魂を吸う土の上 色鮮やかに夜桜ぞ咲く


息子散る場所に両親夜毎来て手向けるコーヒー
湯気立ち上る
         トンネ            暇 
       では   ル内      渋  余    
      会       で    滞  の  
     都        も ....
1.


上履きの色は赤か青で
たまにみる緑が
私はうらやましかった
ぺたぺたと
音もなかった
たくさんの足
あの
はためく日の丸をもう
みることがないから
ここがどこかわから ....
日月さんのおすすめリスト(76)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
金魚すくい- yo-yo自由詩5*08-6-27
かなこ- モリマサ ...自由詩808-6-27
仕掛絵本- Rin K自由詩33*08-6-27
メリメ- ミゼット自由詩3*08-6-26
煙突から煙が出ていた町- にゃんし ...自由詩808-6-25
海の伝言- たもつ自由詩2508-6-21
かすれたフルート- 氷水蒸流自由詩508-5-23
命と本屋- ゆるこ自由詩508-5-23
高架下サウナ- 1486 106自由詩3*08-5-23
ペコ- 友里納自由詩108-5-16
脳幹と脊髄さえあれば生命の維持は可能- 士狼(銀)短歌7*08-5-15
水の空席- 若原光彦自由詩12*08-5-15
遺書- たもつ自由詩2408-5-15
水の空席- 望月 ゆ ...自由詩49*08-5-13
夜の行軍- 六九郎自由詩4*08-5-9
成長- 春日短歌2*08-5-6
そうして大人になる- 春日自由詩2*08-5-5
超人パワー5000万・乳白色の憂い- キリギリ自由詩208-5-5
人音(ひとおと)- 楢山孝介自由詩408-5-5
こいびとの眉間- westneri短歌308-4-30
渇き- 唐草フウ自由詩8*08-4-28
夜が燻る- 杠いうれ自由詩908-4-24
偽物ロケット- Tsu-Yo自由詩5*08-4-16
砂の音- 小川 葉自由詩808-4-9
ポワソン・ダブリル殺人事件- 雨を乞う自由詩4*08-4-2
春の準備体操- 佐野権太自由詩10*08-3-28
しおざい- yo-yo自由詩15*08-3-28
高島平いんそむにあ- 紅林短歌208-3-28
都会_四首- ピッピ短歌808-3-28
春離れ- 簑田伶子自由詩17*08-3-27

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3