すべてのおすすめ
who
おまえは誰だって問われても
わたしって誰なのかな
今のわたしがわたしなのか
ほんとうのわたしは他にいるのか
自分探しの旅路
だなんて聞き飽きた科白だけど
わたしってやつは
....
冬の朝
あのひとを
ミルク色の息が包んでいた
わたしがだんだん透き通る
あのひとを
あたたかいブランケットで包みたい
わたしがだんだん透き通る
わたしがわたしじゃなくなっ ....
(もしこの声がきこえたのならば、
少し耳をかたむけてください
夕焼が目ににじみはじめたから
こちらは見ないで、そのままで。)
あなたはいつでもあたたかかった。
....
誰もぼくを知らないところへ行きたい
優しい人も
厳しい人も
生意気なやつもみんな棄てて
誰もぼくを知らないのなら
ぼくが知っている人たちのところだって構わない
ぼくに関する記憶を消しさって ....
手が、震える
繋がる術を、なくしてしまった
温かい手はなくしてしまった
あぁ、手が震える
この手を握ってほくない
と、言ったら嘘になる
....
わたしは、あなたが思うよりも深く、沈んで、いる。
それは深海のようであり、深遠のようでもある。
あなたはあなたが嫌いで、いつも誰かを、装って、いる。
あな ....
月曜日
わたしには仕事などない
だけど、うちにばかりいると叱られるから
とりあえず、仕事に行くふりをして
たんぼの畦道をよろよろと歩いた
畦道は細くなったり
太くなったりして
歩きや ....
海が海であるように
空が空であるように
私は私らしくありたい
まだ夜の明けないころ
街は少し壊れた
機械の匂いがする
昨夜からの断続的に降る雨が
いたるところ電柱にも
あたっている
いくつかの窓の中には
ささやかな抵抗と
使い古された ....
僕らは ずっと 現在進行形で
色褪せることなく 愛を重ね合っていけたら良いね
姫様は
長い長い
艶やかな御髪を持った
小町と呼ばれる姫様でした
『髪長小町』
私のお育てしたお姫様は
それはそれはお美しく
雪よりも透けるような白さに ....
傾きに鳴る傾きに沿い
鏡は鏡の名を告げる
はざまは全と無にかがやいて
重なりと輪のうたをくりかえす
背後から照らされ
影は躍る
足踏みの姿に揺れながら
より速い夜 ....
冬の木漏れ日の中で懐かしい歌を聴きました
懐かしくてももう泣けない自分がいました
それが寂しくてそっと瞳を閉じました
太陽が淡く輝いた冬の日のことです
太陽 ....
結婚したてのころ
奥さんがバスンバスン布団を叩く音を聞いて
親のかたきじゃないんだから何もそんなにまで
なんて思ったけど
十年目に
「布団は親のかたきなの」
衝撃の告白
親のかたきに ....
耳の奥にある大西洋のような広い海から波音が響く
波は切り立った崖にぶつかり白く砕け きみは毎日の新陳代謝
そしてささやかな発熱を繰り返している
切り立った崖の上にある一軒のブック・スト ....
女は
胎内に新しい生命を宿したら
「母親」になるというのに
男は
新しい生命が誕生してから
「父親」になる権利を得る
のだろうか
それは
目の前に細く頼りない道が一本
....
知らない街で
洗濯物が揺れている
風に洗われて
青空を映しながら
知らない道に
鳥の羽根が落ちている
素通りなど出来なかった
「これは大空の破片なのだ」と
....
どうにもやるせない自転車です。雨水の玉つぶてなサドルの革を「そうでもなく茶色だ」と言って、拭き取ればままよ、と走りました。光、スロウ、アウェイ。そして溶解するするりとした残像を肴に、ウィスキーに言い訳 ....
そらいろの
きれいなびんをひろったので
ていねいにあらって
ひるのあいだ
えんがわにおいてみた
ゆうがたには
とうめいなみずがいっぱいたまって
びんのそらいろが
ゆるゆるととけだし ....
吉岡君
電車の中で思わず声をかけそうになった
よく考えてみれば
こんな時間、こんな場所に
吉岡君がいるはずもないというのに
あの日と同じ顔
学生服のままで
そんな僕はまだ
....
あなたの好物を作ろうと
夕暮れ
サンダルを引っ掛けて買い物にでる
昨夜の 些細ないさかいの 償いに
海老の殻を
無心でむけば
いとおしさに変わるような気がして
という
無邪気な ....
からころと音のする
そんな欠片が散らばっていて
拾い上げると色とりどり
思い思いに光を反射している
広い砂浜
両手を広げても足りない
誰もいない静けさは
ただ波音を響かせる
....
ひとりの子が
ひとつの楽器の生まれる様を見ている
作るものも
奏でるものも去ったあとで
子は楽器に愛しげに触れる
おずおずと うずくように
楽器は
花になる
新しい言 ....
アスファルトを割って
小さな花は咲きました
私は花の名前を知りません
花も私の名前を知りません
花は花の名前を知りませんし
スナック「花」のママを知りません
そうして花は咲きました ....
澄んだ青空を飛び交う鳥達が
どこまでも続く永遠に 涙すると
風に乗る桜の花びらがゆっくりと
地面に落ちてピンク色を 敷き詰める
夏 緑は生い茂り濃い空気の層が
霧となって 大地に降り ....
抱き締めると
温かい
生臭い
小さい
にこにこ
作るのは
とてもかんたん
目をとじて
受け入れる
いろんなこと
目をあけていては
だめ
明るい朝に
プリン食べてね ....
今日失笑した
死ぬことについて考えて笑いそうになった
コノ前友人の祖父が死んだ
そう考えると俺の祖父ももうすぐ死ぬだろう
それから幾年か経つと俺も死ぬだろう
なのに何故み ....
ぼくらは
きっと
あつまっているのでは
ないのだらう
めのまえを
とおりすぎてゆく
ひかりのおびに
みとれるが
あとを
おうわけでもなく
そっと
うちがわから
やはらか ....
魔法使いを名乗る人がいた
学校の帰り道丘の上でぼんやりと空を見上げる男
それが魔法使い
知らない人と極端に話すことを恐れ
遠回りに帰る背中の後ろで
魔法使いはただ空を見ていた ....
にんげんのやることじゃないです
と にんげんがいう
にんげんのこういにたいして
人間だけが原水爆をつくる
人間だけがアウシュヴィッツをつくる
人間だけがサリンをまく
人間だけが手を汚さ ....
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