居場所
暗闇れもん

魔法使いを名乗る人がいた

学校の帰り道丘の上でぼんやりと空を見上げる男

それが魔法使い

知らない人と極端に話すことを恐れ
遠回りに帰る背中の後ろで

魔法使いはただ空を見ていた

いつも独りで空を見ていた

誰かを待っているのなら
それは空から落ちてくるのかもしれない

ある日魔法使いは居なくなった

誰かが通報したという噂がどこからかやってきた

それはただそこにいただけという罪か
私ではない誰かに卑猥なことを呟いたという罪か
はたまた
空を飛んだ罪か

空を見る男の目は濁ってはいなかった気がした


魔法使いが居なくなった丘

初めてそこで空を見上げた

吸い込まれるような青空から

ただ一言

ただいまと聞こえた気がした


自由詩 居場所 Copyright 暗闇れもん 2004-03-15 19:27:55
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