居場所
暗闇れもん
魔法使いを名乗る人がいた
学校の帰り道丘の上でぼんやりと空を見上げる男
それが魔法使い
知らない人と極端に話すことを恐れ
遠回りに帰る背中の後ろで
魔法使いはただ空を見ていた
いつも独りで空を見ていた
誰かを待っているのなら
それは空から落ちてくるのかもしれない
ある日魔法使いは居なくなった
誰かが通報したという噂がどこからかやってきた
それはただそこにいただけという罪か
私ではない誰かに卑猥なことを呟いたという罪か
はたまた
空を飛んだ罪か
空を見る男の目は濁ってはいなかった気がした
魔法使いが居なくなった丘
初めてそこで空を見上げた
吸い込まれるような青空から
ただ一言
ただいまと聞こえた気がした