からころ
霜天
からころと音のする
そんな欠片が散らばっていて
拾い上げると色とりどり
思い思いに光を反射している
広い砂浜
両手を広げても足りない
誰もいない静けさは
ただ波音を響かせる
波打ち際を犬が走る
何かを見つけたようで
何を見つけたかは見えないけど
きっとからころと音のする
そんなものだろう
私はそんな欠片を
拾い集めなければと思いながらも
まだいいかと乾いた砂に寝転んでしまい
そんなふうに そんなふうで
抱きしめそこねたものが
あちこちに散らばっているんだろう
ここじゃない どこかにも
波打ち際のぎりぎりのところを走る犬が
次第に加速していく
何を追っているのか見えないけど
きっとからころと音のする
そんなものだろう
きっと彼は見つけたのだ