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「仮面って、 外すこと出来る?」

そう言ったわたしに、

「出来るさ。
その代わり、別の仮面を 被ることになるけどね」

あの日、あなたはそう言ったね。




 ....
缶蹴の缶残されて暮早し 世の中の 大抵の不幸は知らないことから 始まる。
誰かの携帯の音かと思えたが違うようだ。着信は無い
すずむしの声だったようだ

山深くにある この集落の中心には 無数のシデの木が群生している
 ....
屋根のうえで電話した

南の黒い風に吹かれてた

僕はあの頃小説を書いていた

吐き出す言葉はそこだけに注いでいた

僕はそういう道を歩いていた


みんな生きているか

ネットのニュースに人の影

 ....
【たまきはる】


珠さんが きはりましたのや
珠のような肌のお方でしてな
おおけな光の珠のようでしたな
魂というものに あたたかみというのが
あるのでしたら きっと夕日のよう ....
厭だ。平行線なんて
人の話を聞こうともしないなら
まじりあうことも無い
プラスマイナス零なので
今の私は あなたは かなたまで土だ

わすれてしまった きよらかなものが
私の あなたの  ....
これだけ飲んで
これだけ腹を割って

笑えているのだから
明日は明日の風が吹く

野生を奪われずに行きたいね
くすっ
と いたずらに笑う
秋が好き
風邪をひいたら

寝るしかないや

死ぬのがこわかったら

胸に手をおくしかないや

そうやって愛おしむしかないや


晴れた日の西の空が

不安だらけのこの地球に

美しい夕暮れをおく


風邪をひ ....
そらが ぬけて
やまが 切り取られたかのように くっきり 
やまぎわの空はしろく 天頂は限りがない

あきいろの あかねは
だ円のつぶらな目で ぬけたそらをみている

なんて  ....
月がみえなかった

ぼくは淋しかった

だれか助けてくれ

夜空にはほんとは

星がたくさんいる

新幹線で夜をゆく

月がみえなかった


宇宙はなんのためにあるのか

にんげんのためでないような
 ....
少女は
朝が嫌い

目を覚ますと
いつも

知らない町に
置きざりにされた
気持ちになるから



少女は
朝日が嫌い

朝日は
いつも

こんなにも
世界を歪ま ....
上座のない、円卓で話したいね

ぶっきらぼうや
口さがないのに頂いてしまっても

下座もない、円卓で話したいね

ひとつ意見をしただけで
100の説教を喰らわされたのだとしても

おどおどしながら ....
ゆっくりと目を閉じて 息を吸って 吐いて
イヤホンから流れるバラードに
身を委ねた僕は 背景に溶ける

僕の知る世界の矮小さに それでも潰されそうな僕は
誰もが 指差して嘲笑うんだろう

歪む視界は  ....
狭い路地 すれ違う自転車
引っ掛かった鞄 尻餅をついた

睨む双眸 責め立てる 責め立てる

僕が悪い 僕が悪い?

外れたイヤホン 消えた液晶
転がる林檎 厭に生々しく

夕焼けが白く 緑の木々は ....
【あたらしい一日】

ところで
どこともなく金木犀の香りがして
新しい季節の梢で すずむしが
昨日より すこしスローな音色の 今日を謳う

ところてんしきに
としごろてきに ....
わたしはピアノなのだろうか
誰かが
わたしの蓋が開けたら 喜ぶだろう日に
開け放たれたの

なのに あなたったら こころが ふらっとにのっちゃって
わたしをメゾピアノにもさせないで
わた ....
自由にのびのびと泳がせてくれる人と
長続きするのだなと今さら知る

海水魚を飼っていた時
気遣って水槽掃除をしてくれた夫が
水温センサーを水に戻さなかったので
海水魚たちはみんな煮えました ....
【わすれがたみ】
ある夏の日
百合の花柱を
みつけました
薄紅に透ける花弁には
まっすぐな いのちの
いとなみが ありました
それは
ふと おもいだしたくなる
この夏の わすれがたみ ....
向日葵の前で大きく背伸びする からだが疲れているのか

こころが疲れているのか

からだやこころ以外も疲れているのか

そのぜんぶかその一部が疲れているのか


いつから?

いつからそこにいるの?

おまえって死に神?

天使? ....
車の調子がわるかったからショップに寄った

みてもらっている間ひま過ぎて

そこにあった塗り絵の原紙とクレパスをみつけて

ぼくはひたすら塗り絵をした

店内には塗り絵作品がたくさん貼りだされていた
 ....
もう何年も前だけど

癒えない傷を残した彼らを
本当に恨んでいた

この世から消えて欲しいとまで思った
自分の手を汚してでも
居なくなって欲しいと考えた

今では ただただ
生きて欲しいと思ってる

 ....
引っ越ししたい

引っ越しした

引っ越ししたい

引っ越しした


マリア様の空に


引っ越しした

引っ越ししたい

引っ越しした

引っ越ししたい
最後の最後の陽射したち

熱暑がほどけていた

夏から秋へのちぎれ雲

それが交響曲を奏でていた


なんでもない外国を旅する

豊かな悲しみ

なんでもない時間を旅する

暖かな悲しみ

空間時間の ....
空の下で息を吸うのが嬉しくて
冷たくなった手足が熱く感じた

明日もきっと縛られた状態のままで
どうしたらいいのか
そう考えながら電車に乗ってしまう
今日会う人がいる

遠いなつかしさに実感する
戻れ ....
そしらぬ顔で
時間をやりすごした

いくつもいくつも難題につきあたっても
横を向いて これは問題じゃないと思った

窓の向こうはいつも
青くて澄んでゆがみがない
この窓枠と同じ視線で
私はものを見て ....
顔も知らぬ相手と

シェアをしている
貴人を載せた牛車が通り過ぎた

俺はひざまずいてその車輪を睨みつけていた

後続が完全に行き過ぎてみんなぞろぞろと立ち上がる

車輪の轍に行って俺は指先でそれをさらった

そして砂の匂いを嗅ぎ遠くに見 ....
見えない糸でんわで結ばれていても
青い微笑がしみわたる夜ですから
ともだちだけが変わってゆきます


無声音の言葉はみちにあふれ
生きる水位が青い
少女たちの
渋谷の街です


 ....
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