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秋のこがねに
ざざめく山の
ざんざと落ちる
もみじ葉に
分けいりたくもないわと
言うに
うでを掴みし
指の強きに
あゆみ とふとふ
ついて ま ....
電子の気配に
目覚め
点滅する記憶を再生する
あれは 5月だったね
細く開けた小さな窓から
ふたりして夕暮れを眺めながら
またこの季節が巡ってくるといい、と
小声で話した ....
3月だったか4月だったかに死んだ親戚の家を片づけに行った。
特に付き合いのなかった人で幾度か喧嘩腰の電話を受けたぐらいしか記憶がない。そんなもので片付けは事務的に淡々と進む。所帯道具一式、服、 ....
東京より来たる夫のたこ焼きを返す手つきもあざやかになり
年少の子の足下に犬伏せる晩飯時の特等席なり
形だけの詫びにと届くふた箱のいちごが黒くなってく野菜庫
さっき ....
君と手をつないで見てる赤い空 春の毒皿どこまで喰らおか
満ちてゆく月を恨みつその日まで素知らぬふりで花摘む逢瀬
かの人を心で百度斬ったとて力なき手は髪を梳くだけ
つい ....
それは薔薇の花
かもしれない
鼻孔の記憶を痛いほど締めあげながら
目の奥に唐草を描く
たゆたう紫は
いくらもいくらもはいってきて
それは空白のノート
なのかもしれない
サフランの香 ....