すべてのおすすめ
{引用=
目をさます
{ルビ灯火=ともしび}に光りをともす
夜の帳をとく
忘れれば 万物の命を病めさせる
部屋に家具ひとつなく
静寂に そこは
音という概念すらありもぜず
....
{引用=
詩を詠むように
風を読むものたちがいる
読経の声
いや、それは蜂の羽音にも似た
風だった
見上げれば、しばらく忘れていた空が
いそぐ雲を 連れ立ち ♯
....
{引用=
緑をゆらす
風は、なおらかに こんなにも
美しいものだから
少しばかり
すずろ歩き
季節をむさぼれば
不埒な 出会いが待っている
ちいさな 会釈
往 ....
{引用=
御控えなすって
御控えなすって くださいませ
さっそく御控えくださり ありがとさんで ございます
軒下三寸 液晶一面 借り受けまして
失礼さんに ございます ....
‐‐‐‐ 悪いゆめより その魚は生まれた
風は
葦原のなか
{ルビ老女=おうな}が こっくり
こっくり
囲炉裏に ゆれている
それは、川瀬の流れに ながされ ながされ
....
{引用=
天蓋は燭光の水あかり
心をてらす 後后のゆらめき
ここは、光さえためされ 路にまどう
教室の窓外に 黒光りする鱗の群れが、
古代魚たちが、泳ぎすぎる」
ありふ ....
やせることにしました
夜も昼も
私の体は、重たい気がします
持っているものも これから
持とうとするものも 少しばかり多すぎるから
知らぬ間に
体にたまった/たまる澱は、いつまでも ....
雨に流された街は、
洗礼を受け
軽妙なステップを踏む猫が
聞き覚えのある昔の歌を
口ずさんでいる
秋はもう病んでしまっていたのです
倒れたショウカセンは、
( どんな英語の綴り ....
空色から生まれた風が、
少しの遠回りをして やってきて
季節の話をしてくれる
静寂に波打つ風紋の砂の褥
焼けた肌は、夏を貧欲にむさぼり
求めるそれを手にするまで けして 止めようとし ....
海の向こうから来た手紙
躊躇わない見慣れた文字が、
心に触れるのです
確かに
生きる意味があるように
昔を思い出す、力が湧いてくるような
元気でいらっしゃるのですね
少し怒りっぽい
....
くちにだせない
気持ちは
胸に抱いたまま
Moonlight Express
埋めてしまおう、
柔らかな後悔の穴へ
人が静寂の月に行きたがるのは、そのため
そこまでいけば、小さな ....
{引用=
赤錆びた鉄くずに
音ばかりがしてきそうで、
枝の間にのぞく空の端に
来るはずもない
飛行機をみていた
確かにここでは、ディーゼルの音が
あんなにも していたのに
St.C ....
夏のそらばかりが 身をせめる
南風の吠ゆる 島の岬に
母のかたみの 赤い櫛で
髪を梳く
罪を乞うでなく
罰をあがなう 身にもあらず
まばゆく うれしそうに
紺碧色に待つ 海 ....
「そっか。そうだね。見つかっちゃったんだ」
サッカーの練習から帰ってきたHiromiは、Sayoの話を聞くとそれだけ口にしPenneの頭をなでていた。
Sayoは大きな旅行用のバッグを持ってく ....
部屋に戻るとHiromiは、リビングの三人掛けのカウチに座ってテレビを見ていたが、その横でPenneが大きな潤んだ瞳の顔を上げ、Sayoが部屋に入ってくると、娘と一緒に光沢のある灰色の顔を向けた。
....
黒い空だけが
、羽をひろげられる
あかしだと想ってた
すすけた煉瓦の路地裏
12の時に踊りを ならった ◆―◆―◇
誰もがあきれて 笑っていた
黒煙のあがる炭鉱の街で、
他の子達 ....
{引用=
秋、なのですね
久しぶりにみる陽の
海峡の水の色は、
遊び心を誘った紺碧から
秘密をとりもどし/もどらされた ―◆■□
群青色ににぶく一変していました。
夏を泳いだ ....
どれだけ
つまらぬ嘘を聞いたら
あなたを嫌いになれますか
さびしがり屋の
つよがりをみせに やってくる
そんなあなたを
待ちくたびれ
生きていれば
いいこともあるさって
一緒 ....
髪にふれる
みしらぬ風の 秋
始まりは、いつものたおやかに
あるかなしかの ボレロのよう
音符さえもなぞれぬ 穏やかな
休止符だらけの
ゆるやかに ながれくる空
....
風来は たいふうの
すきほうだいに 人をもてあそぶ
時雨のあらがいようもない
もうまわりは すっかりうす暗がりで、
背にする重たい気圧 に 青ざめてしまうほどに
息をひそめ ....
手にあまる
廃屋の残照
すぼまり 壁のない木の間で
林檎の古木は やせて
皺寄せた彩雲にのばされた からまる腕
実生の木 は、
今 ほろほろと 終わりを迎える
小さな青い果実を せい ....
力のかぎり追いかけるのは、
自分の力をしんじているかのように
止まることをも知らず
一点に集中した想いのはてなのです
おしもどす秋の風に
それが、遠くにあることなど知らずに
駆け抜ける ....
水の中でしか
生きられないと
思っていた
日々
きみの
ゼリーの肌に最初に触れた せつな
素人の二人が 不器用に
一つになって
創造が始まった 夏 ....
肌を逆立てる岩は
海峡のこちらに隠れ
蒼暮雨(そうぼう)の丘は煙(けぶり)の中に
輪郭という硬さを失う
選ばれし紅(べに)の焼印に
私の濡れた唇は、許された水の細粒子をまとっては
なおさら ....
桜が潮風の中で散り、雪のように舞っていました。
この町にも春の終わり、そんな季節がやってきています。
「わあ、きれい」
桜の先に、海峡の光る景色があります。
「ほんとう、いいお天気。気持 ....
想いの求める
伸び散らかった
指に
天空がからまる
藤の房に落ちる花穂は
千を満たす薄紫
揺れ惑う光の穿孔
押し分ける風の僣上
万香が芳しく流れる果てに、
空の軌 ....
紺碧が縁取る横顔
見据える
隻眼の瞳が臨む先には、
空色に侵食された蒼海
逃げ場を求める波は、
止むことを知らず、創痕を刻む
波頭に
光の愉楽をちりばめ、象眼が
飛沫の相好を砕 ....
心の病(やまい)が
昨日を、今日の、明日へ
類(たぐ)う
糾(ただ)した思いは、見飽きた悲しみの拓本
丸い竹矢来の中に縮こまる
それでも、
哮る心が
知らぬ間
わずかばかりの隙間か ....
妹は、
拒食症で27で亡くなりました
小学校の時にイジメにあい
以来、鏡の中に
醜女の自分を見続けました
170cmの折れるような痩身は
35?の体重
でした
あなたが、人の痛みを ....
くぐもる声の
先覚の導き
雪白の肌は
滑り込む
街の明かりを濡らす
船渠のようにゆったりとした褥
鏡の天井
心の疼きの
施与を求めて
愉楽への節理を糾す
欲にあふれる体の
舌端に ....