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真夏日、沿岸部には波浪注意報が発令され
世界中の溝口さんが落下していた
親戚の少女は大きな中華鍋を持って
兄と一緒に家を出て行く
重い、と言うと兄は悲しそうに首を振った
牛の死体を引 ....
皿の上には電灯があった
鶏肉がなかった、と
きみは言った
どうやって食べるのか聞くと
説明書をくれた
そのとおりに取り付けてみる
電灯はきゅこきゅこ音をたてた
飛べやしないのに
 ....
駅前の商店街で産まれ育った
近くには八幡神社があって
お祭りの時には店の前の広い道路は
歩行者天国になった
ふだん車の往来が激しい道路を歩くと
何だかくすぐったい気持ちになって
誰 ....
薄く陽光がさしている
植物園では植物がよく育っている
今日は花が少ない、と言って
きみはラッパズイセンを植えている
母親に手を引かれた女の子が
しきりに言葉のようなもので何か話している
話 ....
父は歩き続けた
角を曲がったところで左腕を失い
コンビニの前で右腕を失い
市営住宅の駐車場で両足を失った
やがてすべてを失い
最後は昨年まで歯科医院があった空地で
一輪の花になった
 ....
笑っていれば良かった
好きなものに
好きなだけ名前を書いて良かった
右手に持てないものは
左手に持って
それでも持てなければ
空に放して
それから、かえる
透きとおった卵の日のこと ....
たくさんの人が眠っている
重力に抗うこともできずに
背から腹までのわずかな高さの
影をつくって
僕らの毎日は孤独な戦いだ
星の中心へ向かおうとする力との
今日もまた爆音が響き
崩れていく ....
たくさんの固形物が
群立するビルの谷間に
在るものが在るものを
こえようとする瞬間
世界中の言語は黙秘した
こだまする
吐息と靴音
家に忘れた裁縫箱を取りに
少女は走った

 ....
晴れわたっていた
ページをめくるたびに
空はその青みをまして
澄んだ悲しみのように
雲ひとつ見つからない
その向こう側から
誰かが僕の名を呼んでいる
今朝旅立つことは
すでに決めていた ....
表情の中を魚が泳ぎ
わたしたちは
知らない名前まで
食べなければならなかった
表情の人は会釈をすると
良い色のうちわをくれた
その夏は
たくさん扇いだ

(2006.6.9)
水面でも生きていけた
音も音以外のものも
やがて最後は雨となって
わたしはいつもの
退屈な境界線になった
明日は全国の会議室で
美しい花が観測されるでしょう
予報士は丁寧にお辞儀をすると ....
雪の真似事が得意だった叔父は
危ない、と言われていたのに
ある日原っぱのようなところで
なくなってしまった
話をする様子がいつも苦しそうだった
幼い私を見ても
たかいたかい、しか
 ....
かつて見送られるもののために
窓はあった
そしていま窓は
残されたもののためにある
窓を開け放ち
潮の匂いのする風を迎え入れる
誰かが忘れていった
化石の海が
ひとつ置かれている

 ....
階段は増え続けた
僕らの知っているところや
知らないところで
やがてこの街は
階段で埋め尽くされてしまう
のではないかと思う
そうしたら君と
階段の無い街に行って
日にあたりながら ....
屋根が卵を産んでいる
やがて孵化した屋根は
その下に家をつくる
中では人が
また息を始める

山木の斉藤さんと
いとこにあたる人が訪ねてきたので
午後からわたしたちは
外に出て遊 ....
加瀬さんの実家にイチゴ狩りに行った
シーズンが過ぎると職場の同僚とその家族を呼び
完熟して出荷できなくなったイチゴを取らせてくれるのだ
妻も娘も毎年その行事を楽しみにしている
昨年も一 ....
 *

朝起きて色を塗る
テーブルの上にある
野菜ジュースの中を
遠くまで行くことは
とても難しい

 *

虹を壊し
虹に壊されながら
走る子どもたちの足音が
回覧板でまわ ....
五年かかって庭の木にやっと
たわわにおっぱいが実った
刺身、焼き、しんじょ、シチュー
いろいろあるなかで
やはり茹でて食うのが一番うまい
マヨネーズは味が濁っていけない
つけるのなら酢醤油 ....
発車ベルが鳴ると
髪の毛が風に笑ったね
誤算だったね
脚の長い女の子の
脚が長くてきれいだったね
「栞」を「おしり」と読んで
男の子がはしゃいでいたね
それはきっと僕だったね
 ....
間違っている気がして
冷蔵庫の乳製品を並べることにする
自分に似ているものは右側に
似ていないものは左側に
それ以外のものは
バスタブに順序よく沈めていく
ひとでなし!
口のよう ....

村って
手伝うの

っこの僕
を渡り
きって
切りすぎると
手が痛くて
って
今朝は
ネクタイが
うまく
結べない

人がいて
人のように
背格好
があっ
 ....
横顔しかない女の人が
土木事務所の壁に
縦書きの落書きをしている

ビニル袋いっぱいに
梯子を詰め込み
狭い路地を走る子供
その影の跡を
母親が掃除しながら
やはり走る

隣 ....
たべかけのくっきいに
ゆうひのはがた
これは いったいぜんたい
こんせいきさいだいの なぞですぞ
そういった はかせのくちもとから
うつくしいゆうひが こぼれてる

*

わ ....
四つの脚をたて
温度の低い床に
椅子が停泊している
いつまでも出航しないのは
その方法を忘れてしまったから
ではなく
航行すべき海が
椅子の内に広がっているからだ
水が溢れ出さ ....
まだ小学校に入る前だと思う
うちによく関さんが来た

今度の日曜日、関さんが来るそうだ
父が言うと
あら、じゃあ美味しいもの用意しなくちゃ
それが母の決り文句だった

僕は関さ ....
河口のある町に産まれて
背中が痒いことも
何度かあった
自分に似ているものがあれば
それだけで少し嬉しい

昔の知り合いに
夢の中で再開した
春、と呼ばれて
会話をすることなく
 ....
女房と二人で梅干づくりをする。
台風が近づいている。
空は青く晴れているが、蒸し暑く
窓から入ってくる風は生暖かい。
梅の実のいい匂いがする。
昨日、兄嫁の実家からいただいてきたもの ....
今月末、女房の実家に墓参りに行く。
仕事の都合などで、もう三年ほど実家には帰っていない。
鹿児島なので、千葉からそう簡単に行けるところではない。

墓地は高台にある。
眼下にはきらき ....
先日、父方の伯母が亡くなった。
父は十人兄弟の六番目。
兄弟のなかで、この世を去ったのはこれで二人目になる。


雨が降っていた。
最初父は、「お前は来なくてもいい」、と言っていた ....
博士が遊びに来た
難しい話と
難しくない話を
わからない比率でしていった

翌日、
明日遊びに行きます
と届いた博士からの手紙には
二日前の消印が押されていた

お待ちして ....
あおばさんのたもつさんおすすめリスト(714)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
詩禁止令第三条- たもつ自由詩9*06-6-26
鳴く電灯- たもつ自由詩8*06-6-25
赤い自転車- たもつ自由詩1306-6-22
植物園の風景- たもつ未詩・独白9*06-6-19
父の日- たもつ未詩・独白16*06-6-18
儀式- たもつ未詩・独白12*06-6-17
戦い- たもつ未詩・独白10*06-6-16
黙秘- たもつ未詩・独白8*06-6-14
旅立ち- たもつ未詩・独白14*06-6-11
- たもつ未詩・独白6*06-6-10
雨にさらわれた明日へ- たもつ未詩・独白6*06-6-8
たかいたかい- たもつ未詩・独白6*06-6-6
潮風- たもつ未詩・独白17*06-6-4
ひだまり- たもつ未詩・独白706-6-3
屋根- たもつ自由詩606-5-30
僕たちは声を押し殺して手をつなぐ- たもつ自由詩14*06-5-28
朝起きて無題- たもつ自由詩1306-5-23
おっぱい- たもつ自由詩906-5-17
(´・ω・`)- たもつ自由詩18*06-5-17
- たもつ自由詩1506-5-7
はしっこの村- たもつ自由詩506-5-3
ジョーク- たもつ自由詩806-4-29
ファザー・グース(3)- たもつ自由詩19*06-4-23
その、平穏- たもつ自由詩2306-4-18
関さん- たもつ自由詩8+06-4-16
春を見に行く- たもつ自由詩1206-4-14
台風が近づいていた- たもつ散文(批評 ...8*06-4-11
託されている- たもつ散文(批評 ...1406-4-9
当たり前のこと- たもつ散文(批評 ...1206-4-7
博士からの手紙- たもつ自由詩1206-4-5

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