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てのひらにドアを取り付けた
白くてとても素敵なドアなので
一度遊びに来てください
と、旧い知り合い数人に手紙を出した
一通が宛先不明で戻り
それより早く金を返せ、という返事が来た以外は
い ....
料理を注文する君の声が
空気の振動のような透明さで店内に響く
放っておくと月明かりしか入ってきませんから
と、ウェイターがカーテンを閉めていく
中央のテーブルでは座高の高い男が
大声でメ ....
結露が止まらない
いくら拭いても
壁や窓から滲み出てくる
このままでは
部屋が水でいっぱいになってしまう
僕らは慌てて非常食、ラジオ付き懐中電灯、
釣り竿等々をリュックにつめる
 ....
定期券が消えた
ある日こつ然と定期入れから消えた
懐かしい色の子供たちが
僕の知らない歌を歌いながら
道の一箇所に立っている
煙草を吸う
定期券が消えた
煙草を吸う
君が夕食の支度をしている間
僕は前衛を守る
前の打者が歩かされ
憤怒した僕が強烈なシュートを
右から三つ目に叩き込むと
僅かばかりの利息が通帳に加算される
ご飯よお
僕のいなくな ....
庭の木にセミの抜け殻があった
手にとって握りつぶすと
ぬちゃ
それはセミの抜け殻ではなく
抜け殻のようなセミ
もて余した僕はこっそり
ぬか床に隠してしまった
夕食の時
今日のぬ ....
おおきい かあさん おおきいな

ちいさい とうさん ちいさいな

ひるね ひるね らいおん ひるね

おしろのてっぺん こうじちゅう


+


さとうと えんぴつ けんかし ....
*は空に飛び出すと
*は*であることがいつも不思議なようだ
僕は両腕を精一杯伸ばして
それから海を囲って
さざ波にブリキ色の半月を映してみる
*は丁寧に覗き込み
綺麗だねと言う ....
娘は将来アイス屋になりたいと言う
好物のアイスを好きなだけ食べられるから
ではなくて
沢山の人を幸せにしたいからだそうだ

いっしょにお風呂に入ると必ずその話題になって
バニラ ....
あなたが徐々にしなり
あなたの腕がしなやかに湾曲し始め
それが良いことであり
あるかのようにあなたの腕の湾曲を
私のここから私は俯瞰する

キトキト、糸の車
からまりほつれ
て ....
床屋から戻ると少年はいつも
美しい母の鼻先に
散髪したばかりの頭を近づける

あら、大人のいい匂いね

それでも早めの夕食が終われば
母は仕事へと出かけていく
男の人のもっといい匂 ....
あの人は頭にツノがありました
ある日
頭にツノがあって大変ですね
と言うと
あなたはツノがなくて大変ですね
そう答えました
あれを初恋と呼んでいいものか
今でも戸惑います
ただ、あ ....
触覚の先端ではもう無くしたての繊細な産毛
 幾千とおりの声が転回を始めている
  その閃光は深く深く脳を焦がし
   僕の両手から溢れるハチミツを虹色に染め
    やわらかく着地 ....
桝目をひとつひとつ埋めていく
あなたはまだ
自分が花びらであることに気づいていない
窓の外は想像を絶する想像に包まれ
僕はそれを夕焼けと呼ぶこともできる
かつて靴下をはかない男の子がいた ....
どううぶつえんの檻の前で親友は盤を取り出し
飛車角落ちで良い、と言う
親友の温かい手から飛車と角を受け取り
どううぶつの檻に投げる
どううぶつは隅でうずくまったまま見向きもしない
飛 ....
ありったけの小銭を持って
僕らはオークションに出かけた
実家が火事なんです
と泣きじゃくる男の人に競り勝ち
三匹のサワガニを落札した
一匹は僕が名前をつけて
一匹は彼女が名前をつけ
 ....
本日はお日柄もよろしく
押入れの中は相変わらずのじめじめ模様が続きます
いつまでこの暗闇の中でかくれんぼをしなければならないのか
親方にも僕にもよくわかりません
ただ、かび臭い布団や枕 ....
何はともあれ
やっとのことでお触りバーにたどり着いた
とにかくここまでの道のりが大変だったのだ
目覚し時計にカミキリムシが巣をつくって
がちゃがちゃ長針と短針を適当に動かすものだから
 ....
軒下で鳴ってる
縁側ではいつも同じ場所で躓いてしまう
窓は池
今日も小さな沈黙を保ち続ける
外の通りを
笑わない男の人が歩いていく
僕らの小学校
黒板の右、日付の下では
誰かが ....
日曜日の午後六時三十分
サザエでございます、で始まる「サザエさん」
に新しいキャラクターが登場した
裏のおじいさんの家に下宿することとなった
私立大学生のスベスベマンジュウガニ
これから、ど ....
ある日突然
夜空に輝く星がすべて
音符になってしまった

街中の人々は目を凝らし
よく見たが
空にあったのは
2分だの、4分だの、8分だの
そんな音符たちばかり

テレビでの専門家 ....
今日は見えないゴミの日だ
見えないゴミの収集車で
見えないおじさんたちが持っていく

見えないゴミのステーションで
隣の岡田さんに会ったけど
見えないので何を捨てているのかわからない
も ....
ネギを買いそびれて
僕たちはネギの話ばかりしていた
こんなに真剣にネギの話をしたのは
何年ぶりだろう、なんて

今でもネギを見ると
あの日のことを思い出す
だから僕は
ネギを食べなくな ....
駅前で冷蔵庫が名刺を配っていた
私も一枚欲しくて列に並ぶ

冷蔵庫の中が無性に見たくなって
ドアを開けようとすると
少しムッとしたみたい
ガサガサ音をさせる

もらった名刺には冷蔵 ....
あおばさんのたもつさんおすすめリスト(714)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
記憶- たもつ自由詩1405-1-21
身辺雑記より(六)- たもつ自由詩1004-12-29
身辺雑記より(五)- たもつ自由詩804-12-28
身辺雑記より(四)- たもつ自由詩704-12-26
身辺雑記より(一)- たもつ自由詩4*04-12-23
ぬけがら- たもつ自由詩1704-12-21
ファザー・グース- たもつ自由詩15+*04-12-20
*- たもつ自由詩6*04-12-19
十階の家族- たもつ自由詩100+04-12-11
湾曲- たもつ自由詩1004-12-9
ヘアー・トニック- たもつ自由詩1504-11-26
童話(初恋)- たもつ自由詩42*04-11-17
BEE- たもつ自由詩1404-11-12
花が降ってきた- たもつ自由詩1304-11-3
ゆうううつ- たもつ自由詩28*04-9-22
サワガニ- たもつ自由詩904-9-18
緑のT-TOP- たもつ自由詩1104-9-10
TOKYO- たもつ自由詩15*04-8-6
メダカ風鈴と縁側- たもつ自由詩1504-7-13
スベスベマンジュウガニ饅頭- たもつ自由詩13*04-5-13
ぱにっく☆は〜と♪- たもつ自由詩1203-11-13
見えない- たもつ自由詩803-11-2
ネギ- たもつ自由詩1603-10-30
生きていくこと- たもつ自由詩1003-7-23

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