温泉
葉leaf




温泉に入ると
深く広々と湛えられたお湯が
私を首まで飲み込んだ
温泉の広さと深まりを前に
これが私の水位
これが私の容量
これが私の精神
これが私の闇
これが私の歴史
これが私の栄光
これが私の傷
と知らぬ間に対応させていた
温泉には私の全てがあふれかえっていた
そんな温泉からあがるとき
私はお湯をそっくり捨て去って出て来た
私は自分のなにもかもを
温泉のお湯として投げ捨ててきたのだ
これから新しい私が始まる



自由詩 温泉 Copyright 葉leaf 2015-11-30 05:32:58
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