すべてのおすすめ
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■箱とは、隠すための手段だ。箱とは■■
■、入るための手段だ。箱とは、入れ■こ■
■るための手段だ。箱とは、遮るため■の ....
一人でいることに、何年も飽きなかった。シートの、海に伝わる神話を読みながら、永く暇をつぶしていた。精霊の女、の横顔の表紙。空腹の中、海に向かう道、カセットで、オペラを聴きながら、わたしは車を走らせた ....
夜更けに
タンタンとタイヤを鳴らし
鉄の階段を降りて
僕の自転車が
外へと出掛けて行きます
(ほんとうは僕の自転車ではない
きみから借りたままのもの)
マウンテンバイクだから
....
ビルディングの肩はとうに壊れていて
投げ損ねられた昼がアスファルトで砕け続ける
どれが致命傷なのかわからないくらいの夜が始まる
黒々と割れたビルディングの窓は
誰かの死に愕然としたまま死ん ....
三番線に十両編成の
パフェが到着した
中から降りてくる人たちはみな
クリームまみれ
母親に手を引かれた幼い男の子が
頭にフルーツをのっけて
昨日からだよね、昨日からだよね、と
....
エレヴェータ に乗っている
ねても さめても いつでも
エレヴェータ の透明なガラスは
都市の骨を映し出して
エレヴェータ は昇る
いき あっても いきたえていても
エレヴェータ は香りに ....
くそ じじい と
おまえは また そのすこし
ぽってりとした くちびるを ゆがめて
はきすてるように いうのだろう
なんだよ と
ふたりのあいだにある へだたり ....
ほうっておかれて、いいのだ。
忘れていてくれたほうが
ほっとするのだ。
猫じゃらしなんかを
そよがせて
雲の影を
ひたいに映して
空想していたいのだ。
本日はお日柄もよろしく
押入れの中は相変わらずのじめじめ模様が続きます
いつまでこの暗闇の中でかくれんぼをしなければならないのか
親方にも僕にもよくわかりません
ただ、かび臭い布団や枕 ....
午後には、カーテンに漂白され、
白色に、夏の気はふれてゆく
目蓋で覆い尽くすも、白光する夏、白光する、午睡混じりの
夏
色など要らないと叫びたかった私は、
今は、誰
....
胸をえぐる
取り出されてしまった青空
放物線を描ききってしまった天体の下で
重力がしばる
ほどけていく
君の輪郭が
徐々に
それでも
しっかりと残していく
太 ....
誰の所有でもない
扇風機が回っている
建売の新築住宅の壁にこびりついた
電信柱の影は
皮膚病
二階の窒息のベランダに干された
布団は
....
人の向こう側に横たわる人よ
横たわる人を跨ぐ人よ
潰された眼は見ていただろうか
白く透ける少女の抜け殻を
地下水脈の夜光虫を
皮膜に隠された結晶体を
地は焦げるほどではなく ....
煙草を灰にするように
死に体の鴉たちが一斉に飛び立ったので
空が夜みたい
狭い空ばかり見ていたから
わからなくなるのです
こんなとき
天井がもうきついそうなので
僕は唾を飲み込んで
君 ....
猫が逃げました
ボヤが出ました
便所は汚すな
と
親切な貼り紙のアパートの
隣の部屋の人の顔
まだ見たことありません
のような午後の世界に
河川敷の花火
の音が聞こ ....
学校の坂を
手をつないで駆け降りると
二人は、体ごと海になった。
作務衣のまま飛び込んで重く
泳ぎ疲れた僧侶は
制服を脱いで藍色の水着になった少女を
波打ち際に横たえる
少女 ....
わたしはかつて
とてもあまくて湿った土から生えて
花を咲かせることをゆめみた
猫が足元におしっこして
とてもあたたかくてしあわせだった
ちがう土から生えてそだつわたしたちは
た ....
鳥と世界が
左目を語ってやまない
他のものが皆
目を閉じている夜も
砂浜では
さまざまな色をした風が
透明な凧をあげている
砂の羽が
ひらいては散る
雲が波に近づ ....
ひつじが鳴いていた
ひまわりが咲いていた
人がいた 好きだった
目を閉じる
陽だまりのなか
明日なら
死んでも良かった
街路樹の木漏れ日の
軽い暗号から、単なる錯乱への
変質
街路樹の木漏れ日の
軽い暗号から、単なる錯乱への
変質
の
染み込まない
土瀝青
指の隙間から覗く ....
守られないことを知りながら
またひとつ約束をする
もう切る指をなくしてしまったらしいので
嘘つきなのは僕のほうだよ
と
嘘をつく
今日はしゃがみ込んだ君の足もと ....
降りしきる雨の中
傘もささずに俺たちは歩いた
死ぬほど歩き続けた
けれどそれで
俺たちが死ぬことはなかった
俺たち いい奴だった
俺たち 輝いていた
俺たちは生の肉だった
俺た ....
夏の日が
この白いカーテンを掴み引くことを正しいと言い切り
この白いカーテンを掴み引く私の手の甲を
えぐる、痛い、傷口は
眩しい
白
下垂した詐術を失った途端
険しく ....
泥のついたじゃがいもを手に取り
母さんはわたしへと目を向け
折り返し台所の窓に映った自分へと
そして再びわたしへと目を戻す
心なしかじゃがいもの泥を洗い流すときの
母さんの手は力 ....
雨の香いにかすむ苑 手燭かざして彷徨えば
皆水晶の沼の端 黒髪すすぐ鬼女を視る
玻璃の簪 からむ草 青くうかぶは藤の花
逝く春しめす五月雨の あわいにひそむ明けの月
私が真冬を歩いていると
太陽の童貞が落ちていた
私はそれを慌てて拾う
そして忘れてしまう
私が真昼を磨いていると
青空の処女が堕ちてきた
私はそれを慌てて隠す
そして再び忘れてし ....
からびた つる
ならく の よ
とけられた え
さき にご す
ふれこう まい
なぜとう ゆび
ほほ それ て
の にちる し
世界は
もっと不思議なままでよかったのに
虹の七色
逃げ水
姿見
知ってしまった全てが
恨めしい
君よ
その背中を覆う漆黒は
僕の夜だ
初めに与えたのは君のほう ....
水びたしの指で
コンセントに差しこもうとした
叱られた
しらない世界はいっぱいある
目のまえのオーブンの火照りもしらない
けれど追いかけたりしない
食パンにまかせて
いいとおもう
....
どうにもやるせない自転車です。雨水の玉つぶてなサドルの革を「そうでもなく茶色だ」と言って、拭き取ればままよ、と走りました。光、スロウ、アウェイ。そして溶解するするりとした残像を肴に、ウィスキーに言い訳 ....
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