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カメラは、設置されていない


高架下に紛れてしまい印象に残らぬ翳りを
僅かに掲げ示するように頭を前後する
ぐず、ぐず、ぐず、と音を立てる老婆の喉は
翳りそ ....
私の潤みが見上げたら
あなたの潤みが見下ろして
液体・固体間で混乱してしまいますので
固体であることを確かめるには
錯誤の原因に満ちた視界を 失くすことです
そうして 固体ふ ....
金魚鉢に
南は燃えうつるか
わたしは見ている


溶けない黒出目金の生体
燃えない色彩の存在を
本当は願っている


願いながら
燃える南に金魚鉢を晒す
晒しながら ....
赤い傘を、どうしても、心持ち高く掲げました
救われない愛らしさが骨を伝い腕を伝い無意味に流れてしまい
雨景色を溺れ終えた傘と掌が打ち上げられた上がり框にて
ああ、と言ったらそれ ....
ビルディングの肩はとうに壊れていて
投げ損ねられた昼がアスファルトで砕け続ける
どれが致命傷なのかわからないくらいの夜が始まる
黒々と割れたビルディングの窓は
誰かの死に愕然としたまま死ん ....
午後には、カーテンに漂白され、
白色に、夏の気はふれてゆく


目蓋で覆い尽くすも、白光する夏、白光する、午睡混じりの

色など要らないと叫びたかった私は、
今は、誰

 ....
街路樹の木漏れ日の
軽い暗号から、単なる錯乱への
変質
街路樹の木漏れ日の
軽い暗号から、単なる錯乱への
変質



染み込まない
土瀝青


指の隙間から覗く ....
夏の日が
この白いカーテンを掴み引くことを正しいと言い切り
この白いカーテンを掴み引く私の手の甲を
えぐる、痛い、傷口は
眩しい



下垂した詐術を失った途端
険しく ....
午睡が
目蓋をあとにして 引いた頃
残された畳は
幾重もの夕刻で磨耗して
いつしか
青みを失っていた


かつて 
お伽噺の 
わざとらしい色合いの湿度を
痒がって むず ....
鳴きちる鳥の満ちる朝に形が満ち
形を得た形たちを再び濁らせゆくのは
千切れけぶる花の煙


それは なれの果てではなく
気が遠くなるほど緩やかな横溢
浮かされ翻弄されているのは
 ....
屋根瓦に置かれた夕刻の重みで
玄関を飛び出したまま私は戻りません


西空の 夜にかけての諦めが
すべて諦め終わった証拠
としての 暗い打撲跡の広がり
そして癖になったそ ....
春泥が
明るいインクの
滲み、です


その滲みが
無意識に漏れる
芳香、です


その芳香が
呼吸のような
肌色、です


文字を読む幼子の口調の明朗さで
明 ....
どれほど 
雲の束縛を破り 雲間から降り立つも
乾いたグラウンドに
冷え切った夕刻に
結局は 卒倒しがちな冬の光線です


そこにあるのは
どこにも尾を引かぬ手の平
だからこ ....
分離、分離、分離、そして、分離


静かなる透析の果てに
冬が、あり


眼球を、振り切る
圧倒的に、眼球を、振り切る
赤のみ知っていれば許される踏切のサイレンの赤の ....
まばゆさの
明かり障子 前にして
あらゆる形状の輪郭は 
努めて 溶け
まばゆさの内にあり 薄く 美しい水墨のようで
それでいて 
あらゆる形状は 悲しかった


思わせ振り ....
雨が降ってばかりの午後の終わりになって
雨が止んでばかりであること、感づいた
数億粒の喪失、愕然として足を止めた
ずぶ濡れのアスファルト踏みしめるゴムタイヤ
が群れ行き
音、が愛撫を ....
温い溜まりへ ひとつ
温い溜まりから ひとつ
蛇口の縁から
温い空ろ の余滴
そこから始まった
輪 は
瞬時に
洗面器の縁で 
終わる

ほら
蛇口の 縁で
ふたつ目が諦める頃 ....
前方後円墳さんのA道化さんおすすめリスト(17)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
付着現場- A道化自由詩505-10-14
海の部屋- A道化未詩・独白305-8-24
冷たい背理法- A道化自由詩705-8-4
上がり框にて- A道化未詩・独白504-11-17
秋のカルテ- A道化自由詩1004-9-29
漂白色- A道化自由詩604-8-28
偏愛する土瀝青- A道化自由詩404-7-2
白骨- A道化自由詩404-6-15
お伽、隠滅- A道化自由詩504-4-22
横溢過程- A道化自由詩604-4-15
転落時刻- A道化自由詩504-4-5
肌色の春泥- A道化自由詩804-3-23
冬の物理学- A道化自由詩704-3-18
駄々、瓦解- A道化自由詩504-1-19
水墨姿- A道化自由詩604-1-5
黄土色- A道化自由詩303-12-20
温い空ろ- A道化自由詩503-12-20

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