鬱陶しいものが
わたしを柔らかく包んで
膜を作っていく
ほんとうは嫌だけど
鬱陶しい膜を
破ってしまって
鬱陶しい液体に
塗れるのも嫌だから
鬱陶しい膜
を我慢する
たまに
ぷち ....
{引用=からだの奥から
たらたらと
わたしが滴り落ちていく
産声とともに泣いた日の
わたしの初めの一滴を含んだ雨で
シーツを洗いたい

足跡にそって
てんてんと広がった池を
みじめな ....
生まれた命のかずだけ

追憶はある

みんな誰かしらの

何かしらの追憶なのだ


この夜も、あの朝も

昼間もあったか、夕暮れもあったか

七千年まえのナイルの少年の

 ....
十二月の
さみしい水の底から
きみのささやきに
耳を澄ませる

ふるえる感情の
ひとつ ひとしずく
その波紋
その不自由

どうして人は
急ぐのだろうね
日時計の影が
伸び縮 ....
バスターズ

信号が変わって 足早に歩き始める。
通勤途中の人の列は 流行のインフルエンザの影響で
マスクをかけている人が目立つ。
少々苦しいが 感染したくないので我慢してかける。
しかし ....
うっすらと

冷えた微風にほんのりと

さやかな湿度とキンモクセイ

夜道をスーツは落ちてゆく

まよこを電車が落ちてゆく

ほんのりと

さやかな湿度と焚火のなごり

胸 ....
光が花をまね
朝になる
一房一房が
波を追う



丘を昇る霧
向かい合う手
結晶


くちびるの色を
手鏡に塗り
歯は透る{ルビ雷=らい}
透る{ ....
私がふたごだったとき
ずっと森で暮らしてた
ふたりおそろいの服を着て
毎晩同じベッドで夢を貪りあった
ふたり一緒にいること
それが当たり前の世界だった

私がふたごだったとき
世界はひ ....
 いくつもの、
 接がれない
 夕刻のだいだい色を
 ポケットにしまおうとして
 持ちかえれない
 そんな夜は暗闇に目を凝らした

この病棟の窓から見える夜景は
いつもと変わらない
 ....
星は瞬きを禁じられ
月は白む空に輪郭を透かす
夜が死に
朝が生まれ落ちるまでの
混沌と森厳に漂う

四海の色を数える頂
一瞬は濃淡により誓われ
時は不動のまま移ろう

雲 ....
なんでこんな晴れた日に
なんでこんなときなのだろう.

ぶつかりたいし 名前を言いたいし
みつけてほしい
みつけて
みつめ



その指にあまがみをして
サンプリングをして残した ....
ある赤ちゃんは公園で

暖かい風に吹かれながら

ベビーカーから見える青い空を見上げる

ある幼稚園児は

ジャングルジムのてっぺんから

人より少し高い所から

雲がゆっくり ....
{引用=嬰子の褥


闇のひとつ奥に蠢動する白光体がたしかにあった
血に焼かれた嬰子が視えない手のひらに止まって
私の身体に続いている
いやへその緒はぜんまい状に闇に溶けて
それはもうわ ....
{引用=
麻酔の切れた
風見鶏は
錆びついた羽で
取り戻したくて
逆回りを始める
けれど
優秀な風見鶏は
一度たりとも
選択肢を誤ったことは
なかったので
わからなかった
西な ....
魚よりも自由に水の中を泳ぎまわりたくて
馬よりも自由に草原を駆け回りたくて
狂ったように吹き荒れる窓の外を眺めながら
ずっと煙草を吸っているよ

鳥が自由じゃないのは知ってるし
死ぬまで泳 ....
水玉模様の細い首輪を嵌めた
羊みたいな純白の犬を従えて
リードを手に黒縁のレイバンが座る、
ゆらゆらと木漏れ日の蠢くベンチ

――お姉ちゃん、犬が好きか?

ああ、こいつビンゴっていう名 ....
引力が、

 ある

きみと、ぼく

 地球と 月

  引力がある

 ひきあう

すべては ひきあう

  きみに ぼくはひかれる

 きみも ぼくに 月に
 ....
{引用=死ぬ気になれば何でもできる…

それは瀬戸際に立たされたことの無い人間の言葉}


新地に棲んでいた頃の母を良く知っているといって
狐目の男が自宅を訪れることがあった

その度 ....
もし(まことの人)がいるならば
一体、どんな面影の人であろう? 

彼は、この世の体という{ルビ着包=きぐる}みの内に 
薄っすら透けた(もうひとつの体)を 
宿している。 

机上に丸 ....
「 いってきます 」 

顔を覆う白い布を手に取り 
もう瞳を開くことのない 
祖母のきれいな顔に 
一言を告げてから 
玄関のドアを開き
七里ヶ浜へと続く 
散歩日和の道を歩く 
 ....
ふゆふあ


あったかいふとん
ふゆふあ
つめたいあしが
ふゆふあ

こぽこぽおふろ
ふゆふあ
じーん、かたまで
ゆげのけつろ

つかのまのひざし
ふゆふあ
めれんげにく ....
ぼくは少年のころ
特別な存在だった
月光が家の前の袋小路を照らすころに
宇宙から迎えの使者がくるはずだった

トイレの中の窓がまぶしく光る夜
ぼくは何事かと小窓をあける
袋小路に円筒の光 ....
遠い 遠い 空の 空の 下
あなたはどうしているのでしょうか

ただ胸にポカリと開いた穴から
静かにトウトウと流れ出していくようで

酩酊して
街の片隅のコンクリートで忘れ去 ....
こぼしたら
うまくふけなくなってしまった
たまご

きみが崩れてしまったから
やさしくすくってあげないと

クツシタノなかの皮ふが冷たいの
くつしたでつつんでるのに

きみを囲んで ....
月の出が遅くなって

月光が細く熟れはじめると
満月の熱狂が恋しく思われる

冷たい光に微熱して 謳った
銀光は金属の肌ざわりで 熔けた
この魂のざわめきが

満月の色彩は朧なグラデ ....
雷鳴に犬が怯える空で
やさしい言葉のように冷たく凍ったものが
老人ばかりの街を無数の宝石で覆い
 (あるいは灼石灰のような骨の粉)
まぶしく結晶に閉じこめる

今だけはうつくしいだろう ....
夢のなかで草原を走りまわってきた
飛び乗った駐輪場の屋根が思ったより熱かった

スーパーの裏口で搬入のおっさんとの
ちょっとしたバトルに勝利を収めてきた
玄関のペットボトルのむこうに
 ....
歩けない事が
空にのびていくために
必要なのだと
言い聞かせる事に
酔いしれ擦り切れ
根をかじる
悪食に
倒れたら
仲間になれそうな
錯覚を満たす

ひくことも
さることも
 ....
はじまりの中に
あなたは最初から
潜んでいたか
いたり、
いなかったり

選択できる
あいまいな自由に
わたしは
頬を赤くする
けれど

地べたに座りこむ
ことばの断片
引 ....
おまえはひとりのふりをするがいい
常に書かざるを得ないものなら
おまえの余裕の臭いがわかる
おまえはそうして滅びるがいい
ひとりのひとりを知るものは
岩を岩を岩を岩を
 ....
池中茉莉花さんのおすすめリスト(279)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
鬱陶しい膜- チアーヌ自由詩510-6-6
火群- 夏嶋 真 ...自由詩37+*10-4-2
追憶- 吉岡ペペ ...自由詩1010-1-22
ピアニシモ- 佐野権太自由詩28*09-12-12
バスターズ- 砂木散文(批評 ...6*09-12-6
子を想う- 吉岡ペペ ...自由詩1709-10-21
遠い鈴- 木立 悟自由詩509-9-11
私がふたごだったとき- 未有花自由詩24*09-9-3
幼さ- かんな自由詩12*09-8-18
雲海- 夏嶋 真 ...携帯写真+ ...17*09-7-17
1639- 唐草フウ自由詩4*09-6-26
見上げたのは同じ空- こめ自由詩1509-6-18
「嬰子の褥」返詩_胎児のわたしから母へ- 夏嶋 真 ...自由詩30+*09-4-28
彼は空を飛びたかった- 亜久津歩自由詩21*09-3-11
鳥よりも自由の空を飛びまわりたくて- 虹村 凌自由詩8*09-3-9
温み- atsuchan69自由詩11*09-2-10
ぐるぐる- 北大路京 ...自由詩21*09-2-9
新地のひと- 恋月 ぴ ...自由詩27*09-2-8
永遠の塔_- 服部 剛自由詩409-2-7
海に還った祖母に捧ぐ_- 服部 剛自由詩3509-1-24
ふゆふあ- 唐草フウ自由詩8*09-1-20
白い風船- 殿岡秀秋自由詩309-1-18
AM05:46- 瀬田行生自由詩21*09-1-18
冬とたまご- 唐草フウ自由詩6*09-1-15
月の音- アハウ自由詩5*09-1-13
やさしき雪にふるえて- たりぽん ...自由詩9*09-1-13
猫が顔を洗ういくつかの事情- 角田寿星自由詩7*09-1-12
地上- 砂木自由詩15*09-1-11
択ぶ- かんな自由詩6*09-1-11
ノート(おまえに_おまえに)- 木立 悟自由詩209-1-10

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