追憶
吉岡ペペロ
生まれた命のかずだけ
追憶はある
みんな誰かしらの
何かしらの追憶なのだ
この夜も、あの朝も
昼間もあったか、夕暮れもあったか
七千年まえのナイルの少年の
二億年まえの生物の切実の
六十億年まえの素粒子たちの
百年まえのロシアの小説の
十年まえ娘を失ったわたしの
生まれた命のかずだけ
追憶はある
みんな誰かしらの
何かしらの追憶なのだ
自由詩
追憶
Copyright
吉岡ペペロ
2010-01-22 20:08:09