渓流の音を引きながら
潅木の尾根へ向かう
苔むした倒木
ぬめり しめり
厳しく鳴く 色とりどりの小鳥
影 押し寄せる
山の霊気
汗 額を伝い
心拍はあがる
狂気のよう ....
昨日、おまえを抱きすぎて、魂まで擦り切れちまった
液体が混ざり合おうが混ざるまいが、俺には関係ない
昨日、代々木公園で確かに殺人があった
午前3時、音楽をかけたDJはゆっ ....
(日本は夜でも宇宙から見るとはっきりその形がわかる)
なんて思いながら
トイレに行く
その廊下で
隣から
義理の叔父と叔母の
喧嘩の音がする
わたしは舅のことを想う
嫁いで二年目
....
カップルよいちゃつけ
俺の目の前でいちゃつけ
公序良俗に反しない程度にいちゃつけ
俺がお前らのいちゃつきぶりを品評してやる
人前でいちゃついて人をムカムカさせるカップル品評委員会のこの俺が
....
どこまでも続く道を
「希望」と呼びたいなら、
その道の選択者は
よっぽど辛抱強くあるべきだろう。
各駅停車しか停まらない
その駅のベンチに
ふと置かれた本が一冊
鞄に入れたつもりが
入らなかったのだろう
風でページがはらはらと
少しだけ浮き上がる
どこか心地よさそう
急行列 ....
(ミルクティを飲まなきゃいけないの
(ミルクティ、ある?
(歯を磨いたんだから、もう寝なさい
最近、きみは早く寝てしまうから
赤いランドセルの留金をひらいて
見てしまったんだ
....
花弁を剥きだしの裸にして、白い水仙が咲いている、
その陽光で汗ばむ平らな道を這うように、
父を背負って歩く。
父はわたしのなかで、好物の東京庵の手打ち蕎麦が、
食べたい、食べたいと、まどろ ....
浅瀬に人影がうかんでいた
ゆらゆらと動いているのは髪の毛ばかりで
まだ生きていた父とふたり
はるか野の際をいく船に手を振り
斜面の草をゆらす風に
白い花びらをちぎっては散らした
....
童貞を失うと もう詩が書けなくなる気がします
だから ごめんなさい
そして ありがとう
詩
、、、やっぱり
詩 書けなくなっても良いです
優 ....
友達同士は
そのとき気分で
だなんて
なんだか寂しい気がするな
友達だと思っていても
困ったときには知らんぷり
お釈迦様の蜘蛛の糸。とっくに切れてしまったよう
ファイト・ ....
「もしもしかいちゃんいますか?」
かいちゃんは今日も
おもちゃの受話器を耳に押し当て
どこかへ電話をする
「もしもし もしもし」
まだ言葉にならない言葉で
一生懸命お話をす ....
たましいは裁きをうけ
その烙印は
消えることがないのか
肉たちに
耳を澄ませば
海鳴りが
聞こえている
たましいは裁きをうけ
その烙印は
....
餓えているのではなく
影を落とす孤独が
乾いていくということ
砂漠
その影に
息づくものがある
星は照らしているけれど
遠い過去が
輝いているだけで
君が乾くとき
僕は海を ....
母の筏に乗る子供を
クロールで追いかける
ときどき中州に立って
子供と手のひらを見せあう
中州を指差すと母は
あれはお父さんよとおしえている
また手のひらを見せあって二人笑う
筏が中州か ....
満員電車の中のつり革を
片腕を伸ばしたまま
必死になって握り締め
このつり革は自分ものだと
態度で主張する
そんなわずかな場所が
そんなに欲しいのかい
数分後にはみんな降りてしまうよ
....
よく晴れた日
玄関を開くと
小さい{ルビ向日葵=ひまわり}の植木鉢が
倒れていた
恋に傷つき震える
君のようで
ぼくは{ルビ屈=かが}んで
倒れた鉢を両手で立てた
....
吟遊詩人は詠うでしょう
小さなひとつの島国を
四季折々の
顔がある
小さな小さな島国を
吟遊詩人は詠うでしょう
春には
梅の木が香り
桜が咲き乱れ
至る所で生 ....
傘持ちて吾子を迎えに行くことも
久し振りなり雨もまたよし
さりげなく扇風機の風 吾が方に
向けてくれし子は漫画読み継ぐ
見知らぬ子 通りがかりの吾れに寄り
トンボが居るよと ささやき ....
鎖骨に君がいつまでもいて
消えてゆかない
朝が生まれ変わる度
君がいることを確かめて
私を何枚も脱ぎ捨てても
君はいたずらっこのように
チョコンと鎖骨にいる
白いサマー ....
空から堕ちた星のカケラと
春のはかない桜の花と
迷えど天秤
決めかね憐憫
月の静かな雫の涙と
夜道に影する小さな街灯
夜道は神秘
はかない心機
迷えど天秤
決めかね憐憫
....
とりあえず一服させてくれないか?
仕事は仕事でちゃんとやるからさ
昨日のメールも今日中に返すから
とりあえず一服させてくれないか?
喫煙所はこの先しばらく無いから
あなたの嫌いな煙を風下 ....
“三歩下がって付いてゆきます”
いつだって女は
そう思っているの
紅差し指に光る
永遠の絆
永遠なんて
そんな簡単に掴めるものじゃない
わかっている
わかっているから
....
肩が外れた
外れた肩を持って闇市に行った
拾ってきた新聞紙を広げ
粗末な店を開き肩を置いた
たくさんの人が前を通り過ぎた
みな急ぎ足だった
しばらくして
職業軍人らしき人が買っていった
....
抱きしめたもの
全部ひっくるめて
冷蔵便で送るよ
君にとってはもう
要らないものばかり
かもしれない
{引用=fromAB}
あのとき雪を頂いていた山はもう
緑もずいぶんと深くなって
あのとき枯れ草を敷き詰めたようだった田はもう
水が張られて田植えの準備が整い
あのときどんよりと重く垂れ込めていた空は ....
2007/06/05
かりんとうを
長万部で買う
駅の待合室には
仕事にあぶれた人たちが
冷えた弁当をストーブに載せて
暖めている
ヤカンから湯気が出てい ....
「宇宙」と書いて「ソラ」と読む
自称詩人の始まりだとしたら
私は間違いなく
それにあたると思うんです
「本気」と書いて「マジ」と読むとは
ちょっと違うのです
....
おなじ星に
おなじ時を刻むのに
想いを伝えられない
もどかしさ
ひとりでせつなくなることが
あなたが悪いわけじゃない
想いの向こうがみえないから
あたしせつなくなるんです
おなじ星 ....
肉のぬくもりは
肉のぬくもりでしか
うめられないの
耳のおくに感じる海鳴り
心たちが胸をおす
ふたりのさいごの
ため息にふたりは
なにをか忍ばせる
肉のぬくもりは
肉のぬくもりで ....
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